Life Lab、農業に特化したカーボンクレジットサービスを提供開始

株式会社Life Labは、農業分野における民間主導のカーボンオフセットサービス「アス・カーボンオフセット」の提供を開始した。温室効果ガス(GHG)の排出削減や除去プログラムの運用により、気候変動と農業生態系の調和を促進し、持続可能な食糧生産を維持することを目的としている。


リモートセンシングによるモニタリングなどを実施


Life Labは、農業専門の人材派遣や農業求人情報サイト「農業ジョブ」の運営を手がける企業だ。

農業生産者は同社の「アス・オフセットプログラム」を通じて、カーボンクレジットによる収益を得ることができる。また、企業はプログラムへの投資を通じて農業プロジェクトを支援したり、クレジットの購入により炭素排出量を相殺できるという。


「アス・オフセットプログラム」では、GHG排出削減や除去に加え、気候変動と農業生態系の調和を促進するため、生態学的な影響をモニタリング。「プロジェクトが環境にどのような影響を与えているか?」、「農業現場の環境を保護しながら農業生産者に経済的な利益をもたらしているか?」を調査し、質の高いカーボンクレジットを生成する。


また、モニタリング活動の一環として、衛星画像や地理情報システム(GIS)を活用し、プロジェクト地域の環境データの収集と分析を実施。GIS情報を活用することで、地形や土地利用などさまざまな地理データを蓄積し、衛星を通じて常に変化するプロジェクト地域の状態をモニタリングすることができる。

リモートセンシングモニタリングにより、広範な地理領域の包括的な評価や、実測とリモート分析の適切な活用によるコストの削減も可能になるという。

なお、科学的根拠を用いた高品質なオフセットサービスを提供するため、早稲田大学名誉教授の堀口健治氏と東京農業大学名誉教授の後藤逸男氏を外部アドバイザーに迎えている。


「アス・オフセットプログラム」は、2024年度のクレジット初生成に合わせ、年内に農業分野においては日本初となる民間レジストリシステムの正式オープンを計画。レジストリシステムとは、カーボンクレジットの取引に関連する情報(クレジットの発行、無効化、キャンセルなどすべての情報)を記録・公開・追跡する重要なシステムのことである。

この運用により透明性の高いカーボンクレジットを提供し、日本の農業分野で最大の削減量の達成を目指すと共に、民間オフセットサービスの模範事例として日本の気候変動対策に貢献したいという。

今後は、日本の2地域(関東と中国・四国地方、約70ヘクタール)で進行中の「水田の中干し期間延長プロジェクト」の規模を、2024年までに拡大し、2030年には約10万tCO2eの相殺サービスを提供することを目標に掲げている。

また、土壌管理や輪作などを通じて、農地での炭素の貯蔵と吸収を最適化させる環境に優しい農法である「カーボンファーミング(炭素隔離)」に関する新たな方法論の導入も検討。2024年から国内約5000ヘクタール規模でのプロジェクト開始を目指す考えも示している。

農業カーボンプロジェクトを通してのGHG削減・消去の可能性が非常に高い地域である東南アジアを中心とした海外展開を視野に、2024年からベトナムでのプロジェクトも開始し、フィリピンやタイに拡大していく予定だという。

株式会社Life Lab
https://www.life-lab.co.jp/
「アス・カーボンオフセット」
https://www.us-offset.com/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
パックごはん定期便