トプコン、タイ農業のスマート化に向けてタイ農業省との開発協力に合意

IT農業ソリューションを提供する株式会社トプコンは、2019年9月20日にタイ農業省(MOAC)とスマート農業の開発協力に関する基本合意書(MOU)の調印を行った。

合意に基づき、タイ政府が推進するコメ、キャッサバ(芋)、トウモロコシ、サトウキビ、パイナップルのスマート農業実証実験に参画。トプコンの保有するスマート農業ソリューションを提供する。


タイが抱えている課題とは

タイのスマート農業推進計画は、政府が国家プロジェクトとして掲げる長期経済開発計画「タイランド4.0」に基づき、最新技術を活用した農業の生産性の向上、コストの削減を目指すもので、タイの主要産業である農業を次世代に向けて発展させるため重要な実証実験と位置付けられている。

タイは国土の4割が農地で、農業がGDPに占める比率や、農地面積、農業雇用、農村人口など多くの関連指標は、他のASEAN諸国と比べても高いものの、1ヘクタールごとの生産性及び品質がASEAN諸国と比較して低いことが課題として挙げられており、今回の実証実験はスマート農業用のビッグデータプラットフォームを今後作成発展させる上で重要な役割を果たすこととなる。

トプコンは、タイ農業省とともに農機用の自動操舵(オートステアリング)システム、レーザー式生育センサー「CropSpec」、整地用のランドレベリングシステムを活用し、生産性の向上、コストの削減効果の検証を実証実験にて行う。

トプコンのスマート農業への取組み

「医・食・住に関する社会的課題を解決し、豊かな社会づくりに貢献する」を経営理念に掲げており、「食(Agriculture)」の事業分野において、世界的な人口増加に伴う食糧不足の対処、IT農業ソリューションの充実、農業の生産性及び品質の向上を目指している。

土木におけるICT施工で培った精密GNSS技術を利用した自動制御技術を応用し、営農サイクルの計画、種まき、施肥、農薬散布、収穫などの効率化を実現。また、レーザー式生育センサー「CropSpec」や自動操舵システム、可変散布システムの組み合わせで農薬散布や追肥の最適化を実現するソリューションを提供している。

今回提供するソリューションの紹介


(1) 自動操舵(オートステアリング)システム

精密GNSS技術を用いて2~3cm精度でトラクタの位置を測位し、その情報をもとに設定された線上を走るようトラクタを自動で操舵するシステム。オペレーターの疲労軽減、夜間作業、真っすぐな田植え・播種による収量増加、作業記録等が可能になる。

(2) レーザー式生育センサー CropSpec
トラクタに取り付けて圃場内を走るだけでリアルタイムに生育状況を計測できるレーザーセンサー。GNSSと組み合わせることで、正確な位置情報に基づいた生育マップを作製、また圃場内の各エリアの生育度に合わせた量の肥料を可変施肥可能。これにより、肥料の過不足をなくし、生育状況を均一化することができる。

(3) 整地用のランドレベリングシステム
圃場内の地形の凸凹は水の流れに影響し、水が多いところでは根腐れ・少ないところでは枯れを引き起こす。ランドレベリングシステムはGNSS、又はレーザーを用いて、平らな圃場へ整地し、水の流れを最適化できる。

<参考URL>
株式会社トプコンが提供するソリューション
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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