TOWINGと三菱総合研究所、高機能バイオ炭「宙炭」を用いたカーボンファーミングの圃場実証を開始

株式会社TOWINGと株式会社三菱総合研究所は、高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を用いたカーボンファーミングの圃場実証を2024年3月1日から宮崎県で開始した。

高機能バイオ炭の散布により、農地の土壌の質を向上させ生産性を高めるとともに、土壌炭素貯留を行うことで温室効果ガスの排出削減を目指す。


農業経営の収益向上と地球温暖化対策の可能性を追究


TOWINGは、名古屋大学のスタートアップとして発足した企業で、土壌改良資材である高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の開発・販売を行っている。これまでに30都道府県で宙炭を試験導入し、小松菜で40%、たまねぎで30%の収量を増加させた実績がある。

三菱総合研究所は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に取り組んでいる。2020年からは、食農分野の重要課題への対策と新たな価値創造を目指し、スタートアップをはじめとした企業との連携、産官学協働の取り組みを実施してきた。

両者が実施するカーボンファーミングは、大気中のCO2を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させ、温室効果ガスの排出削減を目指す農法で、いわゆる環境再生型農業を指す。

機械による高機能バイオ炭散布の様子(イシハラフーズ圃場)

実証試験は、県の主要作物であるさといもを対象に、環境に配慮した農業生産に取り組む農業生産法人イシハラフーズ株式会社、有限会社新福青果の圃場で実施される。

各社5a~10a程度の圃場にTOWINGの高機能バイオ炭を散布し、三菱総合研究所が生産性、農作物の収量や品質など多面的な効果分析・評価を行う計画だ。

また、高機能バイオ炭の散布による土壌炭素貯留効果として、TOWINGでカーボンクレジットを発行する。将来的には、カーボンクレジットの売却益を高機能バイオ炭を使用した生産者が製品購入を行う際にディスカウントして還元していくという。

高機能バイオ炭散布直後の圃場の様子(新福青果圃場)※右側黒い箇所が散布エリア

実証試験は、宮崎県の協力を得て2024年3~11月にかけて行われ、結果の概要は11月末頃に公開予定とのこと。

今後は、宮崎県内において有機性廃棄物からバイオ炭を製造し、農地利用することで、農業経営の収益向上と温暖化対策への貢献を目指し事業を進めていくとしている。


株式会社TOWING
https://towing.co.jp/
三菱総合研究所
https://www.mri.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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