動物性堆肥とは? 種類別の作り方・効果・使い方総まとめ【AGRI PICK連携企画】

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そんな「AGRI PICK」さんとの連携企画が実現! 前回に引き続き、新規就農を目指している方から家庭菜園などで土いじりを始めたいという方まで役立つ「堆肥」について教えていただきました!

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植物を育てるときに大切な土づくり。土壌をよくするために使う「堆肥」には、落ち葉やワラを原料とする植物性堆肥と家畜などのふんを原料とする動物性堆肥があります。今回は、動物性堆肥について、その種類や効果、使い方の違いなどを解説いたします。

動物性堆肥とは


動物性堆肥とは、鶏ふんや牛ふんといった家畜のふんを堆積して発酵させたものです。植物性の堆肥に対して動物性の堆肥は土壌を良くすると同時に、植物の生長を促進させる効果があります。リン酸、カリウム、窒素といった栄養分を多く含むので肥料のようにも使われます。家畜の種類によって、その効果や持続性にも差があります。

  • 鶏ふん堆肥
  • 牛ふん堆肥
  • 豚ぷん堆肥
  • 馬ふん堆肥

種類別 堆肥の効果・成分と作り方【動物性堆肥】


動物性堆肥を作るのは難しい

動物性の堆肥は植物性の堆肥と異なり家畜のふんが必要です。そのため一般的な家庭で作るのはなかなか難しく、基本的には購入することになるでしょう。

動物性堆肥の作り方

動物性の堆肥を作るときには、専用の「堆肥舎」というものが牧場などに建てられ、そこで発酵を進めることが多いです。家畜のふんにおがくずやワラなどを混ぜ、何度も切り返して空気を入れながら発酵させます。3~6カ月ほどで完成です。動物性堆肥の中でも、鶏ふん堆肥や牛ふん堆肥はよく使われます。

動物性堆肥の種類と特徴

4つの動物性堆肥についてその成分、効果、使い方を紹介します。それぞれに一長一短であり、ブレンドして使うことも多いです。

1. 鶏ふん堆肥


■ 成分
リン酸、カリウム、窒素など

■ 効果
鶏のふんを堆積発酵させたものです。鶏は家畜の中でも濃厚な飼料をよく食べるため、肥料としての効果も非常に高いです。特に植物の育成に大事なリン酸、カリウム、窒素をバランス良くしかも多く含み、カルシウムやマグネシウムも豊富です。そのため化学肥料にも近い栄養供給効果があり、即効性も高いです。しかしその分効き目が強すぎるため、使いすぎると多肥になってしまい悪影響もあります。また効果が持続する期間が短かったり、繊維成分をほとんど含まないために、土壌の物理的な性質を変える効果もあまりなかったりといったデメリットもあります。

■ 使い方
植物を育てる際の元肥(植物を植え付ける前にあらかじめ用土の中に混ぜ込んでおく肥料)や追肥(元肥では足りなかった栄養分を補うために追加される肥料)として使われます。元肥の時には植物を植え付ける一週間くらい前にまいて、すき込んでおきます。追肥の時には化学肥料のように、植物の近くにまきます。あまり近くでやりすぎたり、散布量が多かったりすると肥料過多で植物が傷む可能性があるので注意してください。

2. 牛ふん堆肥


■ 成分
リン酸、カリウム、窒素など

■ 効果
牛ふんを積んで発酵させた堆肥です。牛は繊維質の高い植物を多く食べるため、牛ふん堆肥には土を柔らかくする効果があります。また非常に多くの微生物を含みます。この微生物は植物が利用しやすいように有機物を分解してくれたり、土を水や空気が通りやすい「団粒構造」に変えてくれたりと大きな役割をこなしてくれます。鶏ふんや豚ぷんと比較して肥料分が少ないことが特徴です。時間をかけてゆっくりと分解するため、効果も長続きします。

■ 使い方
畑にまいてすき込むことで、柔らかく通気性の良い土になります。土壌の改良効果が高いにもかかわらず肥料としての役割もあるため、元肥としてもよく使われます。ただし発酵が不十分で未熟な牛ふん堆肥は臭いがきついです。植物の生育に必要な窒素や炭素が奪われてしまう危険性もあるため、発酵が十分に進んだ黒くてサラサラした牛ふん堆肥を選んで使いましょう。

3. 豚ぷん堆肥


■ 成分
リン酸、カリウム、窒素など

■ 効果
豚のふんに、おがくずなどを堆積させて発酵させたものです。豚は穀類や油かすなどの栄養分が高い飼料をよく食べるため、肥料分を比較的多く含みます。ちょうど鶏ふんと牛ふんの中間くらいの性質になります。

■ 使い方
植物を育てる土壌の元肥などに使われます。肥料の効果が長く強く続くため、野菜や果実を栽培するときなどに向いています。

4. 馬ふん堆肥


■ 成分
リン酸、カリウム、窒素など

■ 効果
馬ふんにもみ殻やワラなどを混ぜて発酵させた堆肥です。植物の繊維を多く含むため、土の通気性や排気性を高めます。

■ 使い方
畑全体に2~3cmほどまき、すき込むことで土壌がよくなります。全体的な効果や使い方は牛ふん堆肥とよく似ています。

まとめ・動物性堆肥の基本をおさえよう

土に通気性や柔らかさ、栄養分まで与える動物性堆肥。今回は動物性堆肥の種類やその特徴、作り方について解説しました。植物の生長に理想的な土づくりを目指して、堆肥を活用してみましょう。

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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