香り米って何? ジャスミンライスとバスマティライスの違いは?

管理栄養士の大槻万須美です。

香り米というお米を食べたことはありますか。

世界では、インドやパキスタンの香り米「バスマティ米」やタイの「ジャスミンライス」が知られていますが、日本の香り米も注目されているんですよ。

香り米のもつ香りにやみつきになり、毎日の食卓になくてはならない存在になっているご家庭もあるほど。

いつものお米とひと味違った香り米の特徴やおいしさについてご紹介しましょう。


香り米ってどんなお米?


香り米とは、文字通り、独特の香りを持っているお米です。

日本でも、麝香米(じゃこうまい)、匂い米、香子(かばしこ)、ねずみ米、有臭米などともよばれ、古くから世界各地で多くの種類が栽培されてきました。

日本最古の農書の一つともされる『清良記』にも、江戸時代中期には、九州から東北にかけて数種類の香り米が栽培されていたことが記されています。

さまざまな香り米がありますが、世界の米市場では値段が高く、白米の倍以上の単価で取引されるものも。

中でも、インドやパキスタンの香り米「バスマティ米」は世界最高峰のお米とも称され、高い評価を受けています。形状は細長く、強い香りが特徴で、「ビリヤニ」と呼ばれるスパイシーな炊き込みごはんに使われることも多いお米です。

タイの通称「ジャスミンライス」は、「カオ・ダク・マリ」や「カオ・ホーム・マリ」というお米で、バスマティ米と同様に細長い形をした最高級の輸入米として知られています。

ガパオ、カオマンガイなどで食べられることが多く、タイでは以前は50種以上の香りの異なる香り米が栽培されていたとの記録もあります。

炊き方は、日本のうるち米の炊飯方法ではなく、「湯取り法」と呼ばれる、たっぷりのお湯でゆでたあとに水分を切ってから蒸らす方法や、鍋で調理する方法が基本です。

日本の香り米を食べてみよう



日本の香り米は、明治時代以降に奨励品種に置き換えられ格段に減ってしまった歴史もありますが、香り米のもつ食味効果などの高い価値が見直されています。

日本の香り米には、バスマティ米をルーツに持つ「プリンセスサリー」や、在来種から育成された「ヒエリ」などがあります。

南アジアの最高級米といわれるバスマティ米ですが、日本で栽培すると出穂時期が遅くなるなど、日本の気候条件に適していませんでした。

日本でも栽培・収穫ができるように、バスマティ米と日本のお米「日本晴」を掛け合わせ品種改良をほどこしたのが、インド女性が着る「サリー」にちなんで名づけられた「サリークイーン」です。

サリークイーンをさらに品種改良して作られたプリンセスサリーは、炊くと茹でた枝豆やポップコーンのような香りがあり、冷えてもかたくなりにくい特性をもっています。アミロース含有量が高めで、パラっとした食感がピラフやカレー、パエリアなどのエスニック料理に向いています。

一方ヒエリは、高知県で多く栽培され、香りが強いのが特徴です。「かまどで炊いたような懐かしい香ばしいにおい」と表現されることもあります。

ヒエリのように香りの強いタイプのお米は、多く使いすぎると好みが分かれますが、白米に対して3~10%のブレンドにして、ほんのりと香るほどに調整するとほどよいおいしさに。また、古くなったお米やにおいが気になるお米などにブレンドすると食べやすくなることもあるといいます。

香りの弱いタイプのお米は全量で、香りの強いタイプはブレンドして炊くというように、銘柄によって使い分けることがポイントです。

香り米の有力な香り成分である2-アセチル-1-ピロリンは米粒の外側に多く分布しており、精白の歩合が高まるにつれて香りが弱くなる傾向にあります。そのため、洗米のしすぎにも注意が必要です。

日本の香り米は、基本的には、通常の炊飯器、炊飯方法で炊き上げることができますよ。プリンセスサリーは、湯取り法でも炊くことができ、パラパラとした食感に仕上がります。

香り米は、栽培後のお米だけでなく、稲穂や葉からも香るそう。開花時期の田んぼのそばを通るとよい香りがするそうですよ。

神事の供物や祭礼に用いられるなど、日本でも昔から大切にされてきた香り米。香り米を使えば、ひと味違った食卓を楽しめること間違いなしですね。


猪谷富雄『赤米・紫黒米・香り米 「古代米」の品種・栽培・加工・利用』(農山漁村文化協会)
https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_4540992066/
『香り米品種における玄米と葉身の香り鑑定法の検討』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcr/65/0/65_43/_pdf/-char/ja
農林水産省 イネ 「こんなにいろいろあるんだ!」
https://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_tanken/ine/03.html

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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全国各地のこだわりの農家さんと共にスマート農業を活用し、農薬の使用量を抑えて育てています。
玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米、農林水産省ガイドライン「節減対象農薬50%以下」のお米、そして「特別栽培米」も選ぶことができ、家族みんなにあんしんなお米です。

お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

 
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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