九州栄養福祉大学とオプティム、「食環境データサイエンス学科」を2025年4月に新設

学校法人東筑紫学園九州栄養福祉大学(以下、九州栄養福祉大学)は、株式会社オプティムと協働して「食環境データサイエンス学科」を2025年4月に新設すると発表した。また、同学科の設立に向けて、2024年8月21日に包括連携協定を締結。同日に小倉北区キャンパスで包括連携協定締結式が執り行われた。


食農健康分野の知識とデータサイエンススキルを持つ人材を育成


食環境データサイエンス学科とは、食農健康分野の専門知識とデータサイエンスのスキルを併せ持つ、グローカルな人材を育成することを目的とした学科だ。

昨今、IoTやAIの発展にともない農作物や食品の生産、流通、健康への影響などに関するビッグデータが急速に増加している一方で、これを分析できる専門家が不足しているという。

九州栄養福祉大学とオプティムは、この現状に応えるため、食健康分野の専門知識とデータサイエンスのスキルを併せ持つデータサイエンティストを育成することで、未来の豊かな食生活と健康の実現に貢献することを目指す。

入学する学生は、食環境データサイエンス学科での学びや研究を通じて食環境とデータサイエンスの両方に関する高度な知見と技術を身につけることができる。また、関係企業・団体とのインターンシップやフィールドワーク、共同研究などの人材交流を通して、実践的なスキルを習得可能だ。

データサイエンスの知識や技術は、どの業界でも活躍し得る汎用的で有力な分野横断的能力となるため、研究機関をはじめ多くの企業での活躍が期待できるという。

食環境データサイエンス学科が使用する新学科棟(5号館改修)には、各種講義室やゼミ室をはじめ、学生のコミュニケーションやイノベーションを創発する「コミュニティエリア」や、独自の冷食研究を目指して冷凍食を提供する「フローズンダイニング」、食・栄養と睡眠、身体の観点からさまざまな実験データを測定できる「R&Dエリア」が設けられる。

R&Dエリアには、食・栄養と睡眠の関係性を研究するエリア、食・栄養と身体の状態の関係性を研究するエリア、モーションキャプチャにより人体の動きをデータ化し研究を行うエリアの3つのエリアを完備している。

新学科棟イメージ図

今回締結された協定は、九州栄養福祉大学と株式会社オプティムをはじめとする27の企業・団体が互恵の精神に基づき、相互が有する知識および人的・物的資源を活用して包括的な連携を図ることを目的としている。

食環境データサイエンス学科は、最新の社会実装を基にした研究を可能とし、オプティムはその食や栄養の研究データを活用してサービス開発に役立てていくことで、互いにさらなる価値創造へつなげられる。また、多様な分野での連携を持続的・効果的に推進することにより、北九州地区における学術研究の発展、地域産業の振興、教育・人材育成に寄与するという。

包括連携事項について
・教育・人材育成に関する事項
・インターンシップに関する事項
・共同研究に関わる事項
・競争的外部資金獲得に向けた幅広い研究体制の構築に関わる事項
・その他、本協定の目的を達成するために互いに必要と認められる事項

なお、包括連携の具体的なテーマおよび実施内容については、相互で都度協議して決めていくとしている。


オプティムは、食環境データサイエンス学科新設のため、カリキュラム策定や新学科棟のデザイン・設備の企画・検討を九州栄養福祉大学と取り組んできた。今後も、包括的に連携・サポートすることで、同社が保有するAI・データサイエンスの知識・経験・技術を生かした講義や地域企業との研究を実施し、社会問題の解決能力を兼ね揃え、さまざまな業種で活躍できるデータサイエンティストの育成を目指す。

また、オプティムはこれまでもあらゆる産業のDXを進めてきたが、その中でも最も力を入れている領域の一つが農業DXだという。DXにより、農業の構造的な課題を克服し、豊かな産業となること、また農業DXで産み出された農作物が人々の健康を支える上で最適な形で食せる調理・加工・貯蔵の新しいテクノロジーをデジタルと栄養学の融合から創り出すのが狙いだ。


九州栄養福祉大学 食物栄養学部 食環境データサイエンス学科
https://www.knwu.ac.jp/datascience/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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