「スマート農業が当たり前な世の中に」青森県黒石市で「まっしぐら」を育てる太田さん【令和6年産スマート米 農家紹介】

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全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米作りをしている「スマート米」。先進のIT技術を利用し、農薬や肥料の使用量を最小限に抑えて育てたお米です。残留農薬不検出のお米も。各地のおいしい銘柄をラインナップしています。

今回は、2024年(令和6年)に初めて独立し、スマート米「まっしぐら」の生産に取り組んだ、青森県黒石市の太田翔さん(ライスポップ)にお話をうかがいました。

太田さんは、2024年に稲作を中心に専業農家として独立したばかりの34歳。年々担い手の高齢化などで耕作地が減っていく現状を憂い、日本の食料生産を支えるべく、スマート農業を積極的に活用し、地域に貢献したいと考えています。

太田翔さん(ライスポップ)

青森生まれの新しいブランド米「まっしぐら」


2006年に青森で生まれた新しいブランド米「まっしぐら」。青森の気候に合わせ、県内全域で栽培できるように開発されました。

太田さんがお米作りをする黒石市は、青森県のほぼ中央に位置します。東には八甲田連峰が連なり、豊かな自然と良質な土壌、豊富で清らかな雪解け水に恵まれた、青森県有数の米どころでもあります。

「まっしぐらは、丼物などの味の濃いものが上に載っていてもご飯が負けることがなく、ご飯の味も主張しすぎないのでどんなおかずにも合います」と太田さん。甘みが強すぎずさっぱりしており、歯ごたえがあって粒がしっかりしている、青森県民に親しまれているお米です。



安心安全なお米を作り農地を守るために「スマート米」に賛同


太田さんが農業と出会ったきっかけは音楽でした。

「もともと音楽をやっていて、それを続けるために1年ずつ仕事を転々としていました。そんな時に、タクロンさん(アグリーンハート代表の佐藤拓郎氏)と音楽がきっかけで出会ったんです。農業をやりたくて就職したわけではなかったのですが、日本の農業の状況を見て、農業について考えるようになっていきました」

太田さんの実家も農家ではありませんでしたが、そこは米どころの青森県だけに、周囲に田んぼがある光景は、幼少期から太田さんにとっての原風景でした。

「自分の家の周りにも田んぼがたくさんありましたが、正直なところ、すべて手で植えていると思っていました。アグリーンハートに勤めるまでは、それくらい農業にまったく興味も関心もありませんでしたね」


しかし、実際に青森が置かれている環境、農業の状況を見ていくうちに「やばいなぁ」と感じ始め、強い思いが湧き上がってきます。

「アグリーンハートでは70町歩近く作っていましたが、田んぼの持ち主さんがどんどん高齢化していって、毎年のようにリタイアされたりお亡くなりになられる方もいました。人口も減っているし、担い手が増える見込みはまずない。残った担い手で減っていく農地をどうやって維持するかと考えた時に、農業に携わりたいと強く思うようになっていったんです」

そんな思いが強くなった太田さんは、独立してスマート農業を活用した効率的な米づくりをしたいと考え始めます。

「当時、アグリーンハートでは有機栽培に力を入れるようになっており、一方でスマート農業も実践していました。タクロンさんともよくこれからの農業について話しましたが、私は有機ではない方向で、スマート農業やいろいろな技術を使って、生産性の向上を突き詰めていきたいと考えるようになりました。それで、思い切って独立してチャレンジしたい、と伝えたのです」

独立して最初の圃場は、アグリーンハートが請け負っていた10haを引き継ぐかたちからのスタート。もちろん、佐藤氏とは今でも季節に応じて農機を借りたり、栽培に関する相談も行っています。

「オペレーター技術は全てタクロンさん直伝です」


ドローンを使って、効率的な栽培を実践


こうして独立した2024年(令和6年)ですが、社員としての農作業と独立1年目の農作業とでは勝手も変わってきます。そんな中で、アグリーンハートも取り組んでいた「スマート米」として栽培することになりました。

「今年は10haすべてで湛水直播という方法を用いて、田植機を使って直播きしました。種もみのコーティングはリゾケア、キヒゲンの2種類を試しました。リゾケアは播種後すぐに入水しても発芽します。キヒゲンは播種後、芽が出始めたら入水します」

今年はまだ初年度ということで、ドローンによる除草剤や肥料の散布を実施。おかげで独立1年目にもかかわらず、効率化を図りながら作業できました。


「特に、私がお借りしているのは変形圃場が多いので、今年はほぼ手動飛行で対応しました。自分以外の周りの圃場では一斉防除を行っているエリアもありましたが、雨が降ると長期に延期されたりもして自由度が少ないので、手動で適期に飛ばせたのはありがたかったですね」


ドローン免許の取得もオプティムのサポートで


ドローンに関しては、オプティムの協力で免許の取得もサポートしてもらい、機体もNTTイードローンの「AC101 connect」を無償で借りることができました。

「具体的には、除草剤の散布、肥料の散布、さらにカメムシの防除もすべてドローンで行いました。田んぼも散らばっていて、動力噴霧器を使うのはかなりしんどいのですが、ドローンだと早ければ1日で回れてしまいます。通常の作業工程の半分くらい削減できて、その分ほかのことができる余裕も生まれました」

その余裕で圃場を増やすことも考えてはいるとのことですが、まずはいまの圃場で安定して栽培できるようになってから、段階的に増やしていく算段です。

「10haぶんの品質を含めて、今年だめだったところを全部修正してより自信をつけてから、再来年から増やしていこうと考えています。5年後に15haというのが目標です」

スマート米として出荷するのは、この10haぶんほぼすべて。そこにも、「スマート米」というシステムのメリットを感じています。

「まずは価格が魅力的で、JAに出荷するよりも当たり前に高いです。一等米も二等米も同じ価格で買い取っていただけます。そのための基準として、特別栽培米が前提で、さらに残留農薬不検出という部分もあります」


これから新規就農するならスマート農業は前提


太田さんは、令和6年度(2024年度)の独立を通して、新しく農業を始める人には、スマート農業を活用して労力やコストを下げつつ収量を上げるという方法で成功を目指すべき、という考えをあらたにしたと言います。

「おそらくこれからは、高付加価値の有機栽培・オーガニック栽培と、スマート農業などで生産性を上げて農地を拡大するという二極化が進んでいくと思われます。スマート農業は、どちらかといえば後者に取り組む人にとってのメリットが大きいです。

新規就農を目指す方には有機栽培をやりたいという方も多いと思いますが、農薬を使わない分、雑草対策など生産管理は難しくなります。誰でも農薬を使わない方がいいのは当たり前です。しかし、どこまでやったら採算が取れるのか、失敗した時にどうするのか、という経営的な感覚もないと難しい面はあります。

そういう意味では、新しく始める方にこそ、スマート農業を使って成功を目指してほしいのです」


2024年度はドローンにより作業の労力を軽減できたが、「今後はドローンによるセンシングや水位センサーの活用といった取り組みにも挑戦したい」と語る太田さん。

スマート農業は品質・収量・労力などなど、あらゆる「大変さ」を改善してくれます。スマート農業を活用して栽培した就農1年目の新米「まっしぐら」の味を、ぜひみなさんも味わってみてください。そして、来年以降、太田さんがどんな先進的な取り組みでさらに成長するのかが楽しみです。


■せっかく新米を選ぶなら「あんしん」にこだわりませんか


今年の新米は、どの産地のどんな銘柄のお米を選びますか? お米を選ぶときは、自分好みの味わいだけでなく“栽培方法”も大事なポイントです。農薬や化学肥料の使用量を抑えて育てられた、子どもや家族みんなにあんしんなお米を選びたいですね。

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、AI・ドローンなどを活用し、農薬の使用量を最小限に抑えたお米です。玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米がそろいます。

各地の人気銘柄から、あまり見かけない貴重な銘柄をラインナップ。白米と同じように炊飯器で手軽に炊ける「無洗米玄米」も人気です。

お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

【特集】スマート米生産農家インタビュー
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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