「農地も地域も食も、未来に残すためにいまできること」新潟県で「こしいぶき」を育てる大倉さんインタビュー【令和5年産スマート米 農家紹介】

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全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米作りをしている「スマート米」。先進のIT技術を利用し、農薬や肥料の使用量を最小限に抑えて育てたお米です。残留農薬不検出のお米も。各地のおいしい銘柄をラインナップしています。

今回は、新潟県新発田市(しばたし)のスマート米「こしいぶき」の生産者である大倉翼さん(豊浦中央ライスセンター)に、30代の若手農業者としてスマート農業に取り組む意義などを聞きました。

大倉さんが育てたスマート米「新発田 こしいぶき」(残留農薬不検出)の購入はこちらから

大倉翼さん(豊浦中央ライスセンター)

新発田産の「こしいぶき」はどんなお米?


「こしいぶき」は、コシヒカリを親に持つ「ひとめぼれ」と「どまんなか」の交配によって、新潟県で生まれた新品種です。コシヒカリに続く期待の品種として開発され、爽やかな甘味とあっさりした食味を特徴としています。新潟県以外では栽培されていないため、隠れた名品種とも言われています。

「コシヒカリよりも草丈が低くて栽培しやすく、早めの時期から育てられる早生品種なので、先にこしいぶきを作られている生産者が多いですね。どうしてもコシヒカリと比較されてしまいがちですが、粘りは控えめで、冷めても甘みが残るあっさりした味わいのため、どんなおかずでも合いますよ」と大倉さん。

ほどよい硬さで粒感がある米のため、いまどきの若者好みとも語っています。相対的に価格は安めなので、毎日食べるお米として地元新潟県で愛されていますが、大倉さんは「全国的な知名度の割に、満足感の高いお米と胸を張って言えます」と自信を持っています。



「スマート米」参画のきっかけは無償のドローン


大倉さんの実家は米農家。幼い頃から農業に触れており、高校は農業高校を選択し、そのまま農業系の大学に進学します。「高校卒業で進路を考えるときにも、頭の片隅では“いつか農業をするんだろうな”とずっと思っていましたね」

県外の大学に進学し、新しい友人たちに実家の米をふるまった際、思いのほか喜んでもらえたのが強く記憶に残っているのだそう。おいしそうに実家の米を食べる友人の姿を見て、「自分はいい米を食べていたんだな」ということに気づきます。

大学を卒業後、そのまま就農してしまうと社会を知らないままになってしまうと考え、他産業で1年間社会人として従事したのちに、父親が勤めていた豊浦中央ライスセンターへ就農。地元で米農家としての経験を積んでいく中で、年齢が若いこともあり、自然とスマート農業にも積極的になっていきました。


豊浦中央ライスセンターの職員として勤めながら、将来を見越してドローンの免許も取得。しかし、コスト面で本格的にドローンを導入するまでには至っていませんでした。そんな時にオプティムの「スマート米」のことを耳にします。

「新発田市内の先輩たちの『ドローンが無償で使えるらしい』という話から、オプティムのことを知りました。きっかけはドローンを無償で使えるというメリットからでしたが、実際にスマート米の技術やビジネスモデルについて聞きながら、その“志”に賛同したんです。それから、一緒にいろいろな実証実験などに取り組んでいく中で、食の安全・安心についても考え直す機会をいただきました」

というのも、「スマート米」に取り組むまでの約10年間、大倉さんはチャレンジなどをせず、次第に“惰性でお米を作っているのではないか?”と考えていたのだそうです。「スマート米」に参画することは、自らの殻を破るいいチャンスにもなりました。

「この先、自分がどんなふうに農業をしていけばよいかがわからない状態で、ひとりでは答えが出せず悩んでいました。ですが、新発田市の仲間やオプティムさんに協力してもらうことで、農業に対しての目標や自分なりのスタイルがなんとなく見えてきた気がします」



令和4年産米から、残留農薬不検出を達成


令和4年産の「こしいぶき」で活用したオプティムの技術は、ドローンによる除草剤の自動散布とピンポイント施肥。それ以外に研究開発にも協力しており、ドローン湛水条播などにも試験的に取り組んでいます。

特に効果が大きかったのは、やはりドローンによる農薬の自動散布。仲間の生産者の奥様たちが集まってドローンパイロットとして活躍する女性ドローンチームも設立し、毎年活動の幅も広がっています。

「大型の圃場の場合、以前は圃場の中心部まで除草剤や肥料がうまく届かないという問題がありました。でも、ドローンは自動飛行でまんべんなく散布してくれるので、確実に労力の軽減になりました。また、仲間と一緒に散布作業することで、自分の圃場の“こしいぶき”にとって最適なタイミングで散布でき、薬剤の効果のロスもなくなりました」

その甲斐もあって、令和4年産の「こしいぶき」は残留農薬不検出という目標を達成。しかも同時に、通常使用している農薬の使用量を50%削減することにも成功しています。

「万が一にも検出されることのないように、従来の農薬使用量を削減した育て方も同時に実現できたのは、スマート農業の技術のおかげです」


将来の農業を維持するために、栽培ノウハウを「見える化」


「スマート米」の栽培2年目を終え、大倉さんは50haのうち5haを「スマート米」として栽培しており、今後も拡大していきたいと意気込んでいます。そこまで「スマート米」に掛けようとする大きな理由は、データによる圃場分析ができたことでした。

「スマート米に取り組んで一番良かったと思えたのは、栽培状況がデータでわかったことです。今まで経験則や目視などから栽培や防除のスケジュールを立てていましたが、画面などを通して後輩や従業員に自分の考えや予測などをわかりやすく伝えられるようになりました。同時に、今回の記事のように『スマート米の生産者』として、自社の名前を広くアピールしていただけるのも魅力的ですね。オプティムがやろうとしてる新しい技術の研究に参画させてもらえることも単純に楽しくて、日々の作業の刺激ももらっています」

※ ※ ※

日本は米の消費が落ち込み続け、米余りの中で稲作への補助金に対する風当たりなども強くなってきています。そのような中で大倉さんは、農業が土地利用型の産業であるという側面を大切にしながら、さまざまな方々と協力して農業を守っていきたいと言います。

「自分の子どもや家族を見ても、昔ほど米を食べているかと言われると、残念ながらそうでもありません。農業というものを俯瞰的に見ると、農林水産省が推し進めている、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する“みどりの食料戦略”といった取り組みも確かに大切だと思います。ただ、“対消費者”という面も大事なのですが、しっかりこの土地を守っていくという部分も大切にしたいんです。

担い手は確実に減っていきます。しかし、親の世代が開拓してきた圃場を、私たちの世代では仲間たちと協力できる体制を作った上で、みんなで頑張るカタチにしていきたいですね」

未来の日本の食を守ろうと奮闘している若手農業者の頑張りを、「新発田こしいぶき」を食べることで少しでも応援していきましょう。


■毎日食べるお米だからこそ、より「あんしん」にこだわりませんか


毎日食べるお米は、子どもや家族みんなにあんしんな商品を選びたいですね。

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、AI・ドローンなどを利用し、農薬の使用量を抑えたお米です。

玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米をお選びいただくことができます。

各地の人気銘柄から、あまり見かけない貴重な銘柄までラインナップ。お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

【特集】スマート米生産農家インタビュー
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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