玄米を炊飯器の「白米モード」でおいしく炊く方法! 水加減や浸水時間は?

管理栄養士の大槻万須美です。

白米に比べて糖質の代謝に欠かせないビタミンB1やミネラルをより多く含む「玄米」。糖質がエネルギーに変換されやすいうえ、鉄分やマグネシウムなどのミネラル、食物繊維が豊富で、便秘対策や血糖値の急上昇が気になる人、健康的な食事をめざす人の強い味方です。

そんな玄米ですが、おうちの炊飯器に「玄米モード」がないからといってあきらめていませんか? 炊飯器に「玄米モード」がないときでもおいしく玄米を炊く方法をお伝えします。


炊飯器に「玄米モード」がなくても玄米は炊ける?


炊飯器に玄米モードがない場合、玄米をどうやって炊けばよいのか迷うこともあると思います。

玄米は、もみ殻のみを取り除いたあと、白米のように精米の際にぬか層を削り取らず、基本的には米ぬかや胚芽を残した状態のお米です。

玄米の表面には、「ロウ層」と呼ばれる、水分が浸透しにくい層があるため、洗米や浸水が不十分になった場合、ふっくらと炊き上がらずボソボソとした食感になりやすいのです。

土鍋や圧力鍋で炊く方法もありますが、炊飯器で炊く場合は、玄米と白米では炊き方がやや異なるため、白米と全く同じ方法で炊くと食感や味の面でもうまく炊き上がらないことも。

炊飯器の玄米モードは、白米を炊く通常モードよりも炊飯時間が20~40分ほど長く設定されていたり、炊飯中の火力にも違いがあったりと、自動で玄米がおいしく炊けるようにコントロールされているので、玄米を通常モードで炊く際には、ひと工夫が必要です。

水加減や浸水時間を多くとるなどのポイントをおさえると、炊飯器に玄米モードがない場合でも玄米をおいしく炊くことができますよ。

「通常モード(白米モード)」でおいしく玄米を炊く方法



玄米を通常モードで炊く際には、次のポイントをおさえておきましょう。

お米によって加工度合いが違っているものもあるため、まずはパッケージの裏面のおいしい炊き方をチェックしてくださいね。

洗米


表面に「ロウ層」と呼ばれる水分が浸透しにくい層が加工されずに残っている製品は、ロウ層を削り取るように洗米することがポイントです。表面に傷をつけることで吸水しやすくなり、ぬかのにおいなども軽減されます。

ザルとザルのひと回り大きめのボウルを準備し、ザルの網目に玄米をこすりつけるように玄米の表面を磨くように洗い、さっとすすいで水を捨てて洗米します。このとき、力を入れすぎて米粒が割れたり胚芽が取れたりしない程度に力加減を調節しましょう。

こすり洗いからすすぎまでを数回繰り返して水があまり濁らなくなったら洗米完了です。

水加減


玄米モードがある場合、炊飯器の内釜には玄米用の目盛りがついており、その通りに水加減をしておけば問題なく炊くことができますが、玄米モードのない炊飯器では、玄米に合った水加減を自分で調節する必要があります。

水加減はお米の容量の1.3~1.5倍を目安とします。白米よりも水加減が多くなるので、ふきこぼれを防ぐため、一度に炊く玄米の量は炊飯器の上限の半分程度にしておきましょう。

1合に対してひとつまみほどの食塩(塩味が付かない程度の少量)を入れると、よりおいしく仕上がります。食塩には、玄米の独特のにおいを軽減したり玄米を柔らかくしたりする効果があるといわれています。

また、炊き上がりの硬さに応じてお好みで水加減を増減してください。

浸水時間


玄米は白米より水を吸収しにくくなっているため、浸水は十分に時間をとるようにします。浸漬時間は5、6時間以上、時間があれば夏は8時間、冬は12時間ほどとるとやわらかく炊くことができます。

夏は数時間で水が傷んでしまうため、数時間ごとに水を入れ替えるか、炊飯時まで冷蔵庫に入れて浸水することをおすすめします。また、炊く前に新しい水に入れ替えましょう。

もっと簡単に玄米をおいしく炊く方法


洗米や浸水に時間がかかり、玄米を毎日続けられない、心がくじけそう、というお悩みもよく聞かれます。そんなときには、洗米や浸水のいらない「無洗米玄米」のような加工玄米を選ぶのがおすすめですよ。

通常の玄米では、水分が浸透しにくい「ロウ層」に傷をつけるように洗米する必要がありますが、無洗米玄米は、この作業をしなくても済むようにあらかじめ加工されています。

さらに、この加工によって、洗米だけでなく浸水時間も短縮することができます。

また、炊飯器の白米モードで炊飯ができるようになっているものも多く、玄米モードのない炊飯器でも簡単に玄米を炊くことができます。

ぬか層や胚芽を取り除くことなく加工しているので、玄米の栄養価も高い状態にキープされているのも魅力ですね。


このように、おうちの炊飯器に玄米モードがなくても、ポイントさえおさえれば通常モードでも玄米をおいしく炊くことができます。

時間がなかったり難しかったりするときには、無洗米玄米のような加工玄米を活用して、ぜひ玄米ライフを楽しんでくださいね。

参照:炊飯コースの使い分けを知りたいです。:日立の家電品炊飯ジャでの玄米をやわらかく炊くにはどうしたらいいですか? | よくあるご質問(FAQ) | お客様サポート|象印マホービン 
大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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