2026年も猛暑の見込み! 7月に考えるべき、農家と作物を守るための高温対策の心構え

今年もいよいよ夏がやってきます。暑さが本格化する7〜9月は、作物の生育だけでなく、作業する人の体力にも負担が大きい時期。特にここ数年は「今年も暑くなるのか……」「水管理や遮光をどこまで準備しよう……」と、早め早めの準備が求められています。

気象庁の2026年(令和8年)6月23日発表の3カ月予報では、7〜9月の平均気温は全国的に高い見込みとされています。降水量はおおむねほぼ平年並みの見込みですが、局地的な大雨や乾燥のリスクもあります。

引用:気象庁 | 季節予報解説資料(https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?term=P3M)
今回は、本格的な夏の農作業に向けて、最新予報をもとに作物ごとに注意すべき点を見ていきます。


7〜9月は今年も「暑さが続く前提」


一般的に7月は梅雨明け前後の大雨や急な高温、8月は強い日差しと乾燥、9月は残暑と台風・秋雨の影響が重なりやすくなります。

作物に目を向けると、気温が高い年は生育が前進したり、収穫適期が短くなったりすることがある一方で、雨が続けば防除や収穫の予定がずれ、晴れた日に作業が集中しやすくもなります。

そのため、夏の対策は作物だけを見るのではなく、作業時間・人員・圃場ごとの差も含めて考える必要があります。予報は不安を大きくするためではなく、作業の優先順位を早めに決めるための判断材料として活用していきましょう。

ここからは、2026年7〜9月の気象庁の予報をもとに、今から準備しておきたいポイントを確認していきます。いずれの作物でも、この作業や準備をしておけば万全、といった単純なものではないのが難しいところ。さまざまな状況を想定して、臨機応変に動ける選択肢を用意しておくことが、大きな被害を未然に防ぐために重要です。



水稲:登熟期の高温と水管理の確認が必須


水稲では、出穂後から登熟期にかけての高温が品質に影響します。農林水産省の資料でも、水稲の生育期間における高温化傾向が白未熟粒などの発生につながり、米の品質低下の要因になっているとされています。

ただし、高温の影響は品種、移植時期、圃場条件、水管理、肥培管理によって変わります。「高温だから一律にこの対策」と決めるのではなく、地域の栽培暦や普及指導情報を確認しながら判断することが重要です。

その意味で、7〜8月の時期に注意したいのは、中干し後の田面の状態、用水の確保、出穂期の見通し、葉色や生育のばらつきです。特に登熟期に高温が予想される場合は、地域の技術情報に沿って、水管理や追肥の判断を早めに確認しておくと、問題が発覚したときに動きやすくなるでしょう。


露地野菜:高温・乾燥・急な雨の振れ幅に備えを


露地野菜では、高温による生育停滞、品質低下、収穫適期の前進に注意が必要です。ネギ、キャベツ、レタス、タマネギ、果菜類など、品目によって現れ方は異なりますが、共通して見ておきたいのは「乾燥」と「急な雨」の振れ幅です。

乾燥が続けば、根の働きが弱まり、草勢の低下や肥料の効き方に影響することがあります。反対に、乾燥後にまとまった雨が降ると、裂果、根傷み、病害の発生につながります。

農林水産省は、野菜産地における高温等の影響や、遮光資材、細霧冷房、耐暑性品種の導入などの対策事例を紹介しています。

露地栽培の場合は、かん水設備の点検、マルチや敷きわらによる地温・乾燥対策、防除計画の前倒し確認などが、早めに確認しておきたい項目です。

ハウス野菜:作物と人の“暑さ対策”を分けて考える


ハウス栽培では、作物の高温障害と作業者の熱中症リスクを分けて考える必要があります。

トマト、キュウリ、ナス、ピーマンなどの果菜類では、着果不良、草勢低下、日焼け、裂果などが問題になることがあります。

対策としては、換気、遮光、循環扇、細霧冷房、かん水・液肥管理などが挙げられます。ただし、設備の有無やハウスの構造によってできることは違います。まずは、日中の温度・湿度の記録、換気経路の確認、遮光資材の設置時期など、今ある環境で見直せる部分から確認していきましょう。

一方、ハウス内作業は人への負担も大きくなります。農林水産省は、農作業における熱中症対策の情報を公開し、地域ごとの救急搬送状況なども更新しています。作業時間を早朝に寄せる、休憩場所を確保する、単独作業を避けるなど、予報を確認しながら作業スケジュールそのものの見直しも検討しましょう。



果樹:日焼け・着色不良・水分ストレスに注意


果樹では、夏の高温による日焼け果、着色不良、水分ストレス、樹勢低下に注意が必要です。農研機構では近年、果樹の着色不良や日焼けなど、温暖化に起因する被害が増えていると説明しています。

柑橘、リンゴ、ブドウ、ナシ、モモなど、樹種によって注意点は異なりますが、夏場は果実だけでなく樹全体の状態を見ることも大切です。樹勢が弱い園地、乾きやすい園地、日当たりが強い場所は、早めに優先順位をつけて確認しましょう。

かん水設備や水源の点検、草生管理、敷きわら、反射資材や遮光資材の使い方、摘果量の見直しなどは、園地条件に合わせて検討したい対策です。すべてを一度に行うのではなく、影響が出やすい園地から手を入れていきましょう。


酷暑はもはや前提。作業スケジュールなどを見直そう


7〜9月の真夏の対策では、作物の管理と同じくらい、作業する人の安全と段取りが重要です。高温の中で、防除、草刈り、かん水、収穫、出荷準備などが重なると、予定通りに進めるだけでも体力的に大きな負担になります。

まずは、作業の優先順位を決め、暑い時間帯に無理な作業を集中させないこと

次に、圃場ごとの状態を見ながら、先に手を入れる場所を決めることが大切です。

どうしても手が回らなかったり、猛暑の中で作業が大変な場合は、防除や草刈りなど一部の体力的負担が大きな作業を外部に委託する方法もあります。すべてを自前で抱え込むのではなく、地域や経営条件に合わせて、夏場を乗り切れるような作業方法・日程を、この時期にあらためて検討してみましょう。


暑い時期の作業負担を見直したい方へ
夏場は、防除、草刈り、水管理、収穫前後の作業が重なりやすい時期。
作業の一部を外部に委託することで、繁忙期の負担を抑えられます。
少しでも気になったらまずは相談してみましょう。
▶︎農作業委託サービスを確認する
 
相談・問い合わせ(フォーム)
※対応エリア・料金・作業条件は、地域や圃場状況等により異なる場合があります。


参考資料
気象庁「季節予報解説資料 3か月予報」
気象庁「季節予報」
農林水産省「水稲の高温障害の克服に向けて」
農林水産省「野菜における夏季の高温対策」
農林水産省「熱中症対策」
農研機構「果樹の温暖化被害(着色不良・日焼け・晩霜害)を予測するシステム」

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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