「農業コンサルタント」のイメージが悪いのはなぜか【フードカタリスト 中村圭佑のコラム 第1回】

SMART AGRI読者の皆様、はじめまして。FOOD BOXの中村圭佑と申します!

福岡県久留米市の果樹専業農家の倅・4代目として生まれましたが、家業は妹が継いでおり農家の倅としては失格と言えます(笑)。

明治大学農学部を卒業後、日本農薬株式会社という農薬専業メーカーで約7年働き、海外営業としてビジネスの基礎をたたき込んでいただきました。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、2019年に農業ベンチャー「FOOD BOX」を起業しました。

オフィスにて、弊社・池田と撮影(東京都中央区)

弊社は、フードプランニング事業、プラットフォーム事業、代理事業の3つの柱があります。直近は、主に下記の方々向けにプランニング支援を行っています。

  1. 農家・農業生産法人様:「農業のフランチャイズ化」の計画・推進、新商品の開発支援、新規販路開拓の支援等
  2. 一般企業・ベンチャー企業様:農業事業の立案、農業参入のサポート、海外農業の市場調査、農業用ドローンリモートセンシング技術の競合ベンチマーク調査等
  3. 地方自治体様:農業後継者育成塾の年間運営、地域の観光農園化の計画策定、農林水産業ステキ女子キャリアアップ講座の年間運営等

今回、「SMART AGRI」のSNSのライター募集に応募したことをきっかけに、私の専門分野である「フードプランニング(コンサルティング)」についてご紹介させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

中村圭佑プロフィール


なかむらけいすけ。福岡県久留米市生まれ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社で約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX(現在登記準備中)を2019年7月に起業。


多くの人が抱く「農業コンサルタント」の悪印象の理由は?


皆さんは、「農業コンサルタント」という存在にどのような印象をお持ちでしょうか?

うさんくさい、報酬が高額、上から目線、現場を知らない、もしくは聞いたことはあるが何をしているかわからない、怪しい……などのマイナスな印象が大半を占めるのではないかと思います。

30年以上農業に携わってきた私の父親に言わせると、
農業コンサルタントとか辞めとかんか。うさんくさかし、絶対に食っていけん

このように、食・農業界における「農業コンサルタント」のイメージは、すこぶる悪いです……。

誤解を恐れず自戒を込めて言わせていただくと、「報酬に見合った成果を出せない、腰が重い“口だけコンサルタント”が多い」からであると、私は考えています。

これまでネット等が発達する以前は、特に情報格差があったため、「経営計画を作ったが机上の空論で意味がない」、「そもそも口だけで何もしてくれなかった」、「補助金・助成金、認可等を得るために高額な頭金を請求する」、「異常に高い報酬を要求する」など、さまざまな形で農家を裏切ってきたコンサルタントが多かったのではないかと思います。


農業でコンサルタントを活用できる場面とは


ここまでは農業コンサルタントの負の側面ばかりを書いてきましたが、逆に市場が激しく変化している現代、また新型コロナウイルスという人類史上稀にみる世界的危機が発生している中で、コンサルタントの強みを生かして素晴らしい活動をされている方々も多くいらっしゃいます!

この記事を読んでくださっている方のなかで、農業コンサルタントはどういった場面で活用できるのか、ご存じだという方はどれほどいらっしゃるでしょうか。「どのような人たちに、どのような状況時に、コンサルタントが役に立つんですか?」という質問もよくいただくので、この場を借りてコンサルタントの活用法を共有していきたいと思います!

ひと言でまとめると、

『何かやりたい』と漠然と考えていることが自社・自身だけでは実現できていない場面において、他人の手を借りてでもスピーディーに計画・実行したい

というときです。

例えば、長年具体的に考えていた新規事業の推進、商品開発、加工事業化、海外販路の開拓等の攻めのアイデア、またコスト削減による収益改善、業務の効率化、組織改革等の守りのアイデア等、多岐にわたる計画を抱えている方がいるとします。

農猿メンバーの圃場にて作業(北海道空知郡南幌町にて、筆者撮影)

このようなときに、頭脳を借り、一緒に走り、農家の一員として親身に動いてくれるのが農業コンサルタントという存在です。

食・農業界において特に大きな課題とされているのは、優秀な幹部人材の不足。現在、農業経営者の想いや考えを形にし、実行してくれる人材が圧倒的に足りていません。そこで、今後変化が激しい時代を生き抜いていく上で、食・農業界でもコンサルタントの必要性が高くなってきていると考えています!


農業コンサルタントに求められるもの


私が考える農業コンサルタントに求められる役割は、下記の3つです。

  1. 農家さんと共通言語・視点を持ち、想いやありたい姿を引き出し、それらをスピーディーにまとめ最低限の見える化(計画化)をする
  2. 上記計画を実行するにあたり、農家・法人の一員として全体統括を行い、スピーディーに目標を達成するまで一緒に伴走する
  3. 農家さんの課題や悩みに対して、世の中のトレンド、他業界での動き、経験や知見から、スピーディーにアイデア・解決策を提案する

まず、大前提である「共通言語・視点を持っている農業コンサルタント」がそもそも非常に少ないと感じています。

農業の基礎である生産・栽培面を全く理解していない、もしくは理解しようとしていない、農業界全体の構造、バリューチェーン、特有の慣習等を理解していないなど……残念ですがこのようなコンサルタントは多く見られます。

また、私は成果や目標を達成して初めて、コンサルタントの価値が出ると考えていますが、その手前の経営計画等の資料作りで終わってしまう無責任な方も少なからずいます。要するに、見える化(計画化・資料化)するまでがコンサルタントの仕事で、それを実行するかしないかは農家さん次第(任せる)といったパターンです。

キレイな資料、例えばパワーポイントやエクセルを使った資料等は最重要ではありません。その中身を実行して、成果を残して初めて意味があるのです。

ふしちゃんファームを視察(茨城県つくば市にて、筆者撮影)
求められているのはスピーディーに計画を進めること。迅速に実行し成果を残すことが、コンサルタントの価値と言っても過言ではありません。

私自身、農家さんのもとに訪問できない、現場に行けない時も多々ありますが、日々LINEやメッセンジャー等のツールでやり取りをし、リモート会議等を駆使しながらサポートしていくことが求められています。


「農業コンサルタント」から「フードカタリスト」へ


フルトリエ・中村果樹園のカフェにてセミナーの様子(福岡県久留米市、筆者撮影)
私は幼い頃から、農家は「プロの作り手=匠」が多い世界で、農業経営のプロや業界全体を変えていくような“異端児”がいないと感じていました。

そこで、私はプロの作り手になるのではなく、もっと農業界全体を変えるような取り組み、その取り組みを行う若手農業経営者の皆さまと一緒に、ワクワクする食・農業界を作って行きたい、そのサポートをしたいと考えています。

また、お話ししてきたような背景から、従来のような「農業コンサルタント」ではなく、「フードカタリスト」という新たなポジションの育成・輩出を目指しています。

「フードカタリスト」とは、フード(食)とカタリスト(触媒、促進の働きをするもの、刺激させる人)を組み合わせた造語で「食・農業界と異業種の繋ぎ役」を指しています。

弊社の取り組み、「フードカタリスト」がどのような活動を日々行っているのか、具体例も交えながら、これからお話ししていきます!

6月に入って農繁期となり、読者の皆様も日々忙しくなってきていると思いますが、新型コロナウイルスに負けずに頑張っていきましょう!!


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WRITER LIST

  1. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
  2. 福田浩一
    ふくだこういち。東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。現在は主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。http://www.ijas.co.jp/
  3. 中村圭佑
    なかむらけいすけ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社に約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX株式会社を2019年7月に起業。Facebook:https://www.facebook.com/foodboxjp/、Instagram:https://www.instagram.com/foodbox_jp/
  4. 百花繚乱
    趣味は料理、漫画、読書のミドルの男です。商社勤務で全国や海外を転々しているうちに、故郷に哀愁を覚え、約10年前に地元の農業関連会社にとらばーゆ。
  5. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。