台風シーズン本格化! 接近前後に確認したい圃場・ハウス・農機の対策
台風シーズンは、農家にとって予定を立てにくい時期です。強風による倒伏や枝折れ、短時間の大雨による滞水、ハウスの被覆材の破れ、倉庫や農業機械の浸水など、被害は作物だけに限りません。夏場は台風が通過した直後に日差しが戻り、圃場やハウス内の温度・湿度が急に上がることもあります。
被害を少しでも抑えるには、直前にすべてを済ませようとするのではなく、台風前と台風後で確認する順番を分けておくことが大切です。
この記事では、圃場、ハウス、倉庫・資材・農業機械に分けて、台風前後に見ておきたい点を、重要度に沿って整理していきます。


台風対策で最初に考えるべきは、作物や施設の保全よりも作業する人の安全です。排水路の詰まり、ハウスの破れ、外に置いた資材が気になったとしても、暴風雨の中や水路・河川が増水している間に見回りに出るのは避けましょう。
台風が通過したあとも、すぐに圃場へ入れるとは限りません。倒木、切れた電線、崩れた法面(圃場まわりの斜面)、曲がったハウス部材、割れたガラスや金属片などが残っていることがあります。安全に近づける状況になってから動くようにしましょう。
地域や自治体単位での主な被害の確認先には、以下のようなものがあります。まずはこれらの情報をチェックしましょう。
主な台風・大雨災害などの際の情報提供元
復旧作業は、片づけ、防除、修繕、出荷調整が重なりやすく、焦ってしまいがちですが、夏場は蒸し暑さで体力も削られます。水分と塩分を取り、休憩を挟み、家族や従業員と声をかけ合える体制を作ってから作業に入りましょう。
台風の進路が判明してくると、自分の地域にどれくらいの影響が出るかはある程度予測できます。余裕を持って、できる限りの対策を事前に施しましょう。
露地では、台風前に「水の逃げ道」と「風で飛びそうなもの」を確認します。まず見ておきたいのは、水がどこから入り、どこへ抜けるかです。
排水路、明渠(圃場内に掘った排水用の溝)、畝間、排水口などに、泥、草、落ち葉、使い終わった資材が詰まっていると、水が抜けにくくすぐに貯まってしまいます。
過去に水がたまった場所、低い場所、川沿いの土地、粘土質で乾きにくい圃場などは、早めに点検しておきたいところです。
作物別に見る台風前のチェックポイント
・露地野菜
畝間の滞水は、根傷みや湿害につながりやすい要因です。畝間や排水口に詰まりがないかを見ておきましょう。
・水稲
排水口や落水口の詰まり、畦畔の崩れ、漏水しそうな箇所を確認します。強い雨が予想される場合は、水尻の板やせきが動かせるかを見ておき、地域の水管理に従いながら、水位を下げやすい状態にしておくと安心です。
・果樹
根への負担に加えて、支柱、棚、防風網、誘引線の緩みが被害を広げる場合があります。風を受けやすい場所を中心に、緩みや破損がないかを確認し、必要に応じて補強しておきましょう。
作物の種類や生育段階、圃場条件によって、優先して見るべき場所は変わります。地域の農業技術情報、JA、普及指導センター、病害虫防除所の発信もあわせて確認し、自分の圃場で被害が出やすい場所から点検することが大切です。
また、ついつい置きっぱなしになりがちな圃場周辺のコンテナ、マルチ、防虫ネット、支柱、収穫かご、かん水チューブ、苗箱などは、風で飛んだり、雨で流されたりすることがあります。軽いものは倉庫へ移し、屋外に残す場合でも、ひもや重しで固定しましょう。
排水口の近くに資材を置いていると、流された資材が水の通り道をふさいでしまうことがあります。台風が近づいてから慌てないよう、数日前から少しずつ片づけておくと安心です。
もし収穫前の作物がある場合は、収穫や出荷を前倒しできるかも検討します。ただし、無理な収穫や夜間作業は事故につながります。品質、作業人数、集荷の予定を見ながら、できる範囲を決めておくことが現実的です。

ハウスでは、台風前の点検項目を「風」「水」「停電」の3つに分けると整理しやすくなります。被覆材や開口部だけでなく、排水まわりや電源まわりまで見ておくことで、通過後の被害を抑えやすくなります。
・風への備え
ビニールハウスでは、被覆ビニールの破れやたるみ、ハウスバンドや留め具の緩み、出入口や換気部の閉まり具合を確認します。小さな破れや隙間から強風が入り込むと、ビニールが内側から押し上げられ、破れの拡大や骨組みのゆがみにつながることがあります。
老朽化したビニールハウスや簡易なパイプハウス、作物が入っていないハウスなどでは、予想される風の強さによっては、屋根面や側面のビニールをあらかじめ外す、または巻き上げておくといった判断が必要になる場合もあります。密閉してハウス内を守るのか、ビニールを外して骨組みを守るのかは、ハウスの状態、作物の有無、地域の指導情報、施工業者の助言などを踏まえて判断する必要があります。
ただし、ビニールを外す作業そのものにも危険があります。台風が近づいてから高所作業をしたり、風が強まってから作業したりするのは避けましょう。実施する場合は、早めの段階で複数人で行い、外したビニールや留め具が飛ばされないよう、保管場所まで決めておくことが大切です。
・水への備え
谷樋(連棟ハウスの屋根と屋根の間にある雨どい)、縦樋(雨水を下へ流す管)、排水溝、ハウス周辺の水路を確認します。落ち葉や泥、資材が詰まると、雨水があふれてハウス内へ入り込むことがあります。
また、ハウス周辺の小石、小枝、使っていない資材などは、強風時に被覆材を傷つける飛来物になる場合があります。排水を妨げるものや飛ばされやすいものは、無理のない範囲で早めに片づけておきましょう。
・停電への備え
換気、かん水、遮光・保温カーテン、環境制御装置、電照・補光設備などは、停電により止まった場面を想定してみましょう。非常用電源がある場合は、燃料の残量と動作を確認しておきます。
非常用電源がない場合でも、天窓や側窓を手動で開けられるか、カーテンを動かせるか、水を一時的に確保できるかは見ておきたい点です。台風後に晴れると、閉め切ったハウス内は短時間で高温になることがあります。誰がどの設備を動かすのかも、事前に共有しておくと初動が取りやすくなるでしょう。
倉庫や資材置き場では、肥料、農薬、種子、段ボール、出荷用の箱や袋といった水に弱いものを、水にぬれにくい場所へ移します。床に直接置いているものは、棚やパレットの上に上げるだけでも被害を抑えやすくなります。紙袋の肥料や段ボール、種子は一度ぬれると扱いにくくなるため、台風が近づく前に置き場を見直しておきましょう。
農薬や燃料類は、容器の破損や流出を防ぐため、ふたの閉まり具合と保管場所を確認します。屋外の燃料タンク、ポリタンク、空のコンテナなども、強風時には動いたり飛んだりすることがあります。屋内へ入れるか、動かないように固定しておくと安心です。
トラクター、管理機、田植機、コンバイン、防除機、発電機などの大型農業機械は、低い場所や水が集まりやすい場所に置いたままにしないことが大切です。高い場所や浸水しにくい倉庫へ移し、移動後は輪止めや固定まで済ませておきます。移動作業は風雨が強まってからでは危険になるため、数日前から段取りを組んでおきましょう。
台風通過後は、晴れて気温が急上昇する場合があります。とはいえ、たまった雨水や気温上昇などが、間接的な被害をもたらすこともあります。慎重に台風の影響を確認し、行動しましょう。

台風後の圃場では、作物に近づく前に、安全に入れるかを確認します。倒木、垂れ下がった電線、崩れた畦畔、法面(圃場まわりの斜面)、飛散物がないかなどを安全な位置から見ます。
そのうえで、滞水、排水路の詰まり、土砂の流入など確認します。水が残っている場所では、無理のない範囲で水の逃げ道を作ります。
・露地野菜
水を外へ逃がし、根が酸素不足にならないようにします。その後、折れた茎葉や傷んだ葉を整理し、株元がぐらつくときは土寄せで支え直します。根傷みが大きい時は、肥料を急に効かせすぎると株への負担になる場合があるため、草勢や天候を見ながら、地域の技術情報に沿って判断しましょう。
・水稲
冠水後の排水、稲の倒伏、泥の付着、病害の有無などを確認します。収穫が近い時期であれば、品質への影響も見ながら、早めの刈り取りや乾燥調製の段取りなども組み直します。
・果樹
防風網、支柱、棚、誘引線の緩みや、落果、枝折れ、葉傷みを確認します。沿岸部で潮風を受けた場合は、地域の技術情報に沿って、真水で洗い流す必要があるかを判断します。
ハウスでは、骨材、被覆材、換気部、電気設備、かん水設備、環境制御装置を順に確認します。制御盤、モーター、ポンプといった電子機器の周辺がぬれている場合は、不用意に通電せず、電気工事店やメーカー、販売店などに相談してから対応しましょう。
もしこれらの設備が動かない場合は、手動換気、応急的なかん水、動噴での防除など、代わりの手立てを早めに組み立てます。
また、防虫ネットや出入口が破れてしまった場合は、害虫の侵入にも注意が必要です。破れた部分を応急的にふさぎ、アザミウマ類やコナジラミ類などの発生を見ながら、その後の防除要否を判断します。
倉庫では、入口まわり、床のぬれ、浸水跡、棚の倒れ、資材の散乱などを確認します。農薬や燃料類の容器が破損している場合は、素手で触らず、換気をしながら周囲への流出がないかを慎重に見ます。
農業機械が浸水している場合は、その場でエンジンをかけず、JA農機センターや販売・整備業者などの点検を受けてから扱うようにしましょう。見た目に大きな異常がなくても、エンジン内部や電気系統に水や泥が入り込んでいる場合があります。
台風後は、片づけや修繕に追われます。それでも、少し落ち着いた段階で、どの圃場に水がたまったか、どの排水路が詰まりやすかったか、どの資材が飛んだか、どのハウス部材が緩んだか、といった被害状況を記録しておくと、次の台風前に迷いにくくなります。
倉庫や機械に被害が出た場合は、片づける前に写真を撮っておくことも有効です。浸水した高さ、ぬれた資材、破損した機械や燃料タンクを写真として保存しておくと、共済・保険、自治体への相談、修繕見積もりなどに使える場合もあります。
台風への備えは、完璧に仕上げられるものではありません。排水路の掃除、資材の固定、倉庫内の置き場、農業機械の避難先、ハウスの補修、停電時の動き方を、毎回少しずつ見直していくものです。
人の安全を守りながら、できる備えを早めに済ませ、通過後は落ち着いて順番に確認することが、被害を減らし、復旧を早める土台になります。
参考資料
農林水産省「被害防止等に向けた技術指導」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/gijyutu_sido.html
農林水産省「台風第6号の接近に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導の徹底 について」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/attach/pdf/gijyutu_sido-202.pdf
農林水産省「施設園芸の台風、大雪等被害防止と早期復旧対策」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/sisetsu/saigaitaisaku.html
農林水産省「農業用ハウスの災害被害の防止に向けた技術指導の徹底について」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/sisetsu/attach/pdf/saigaitaisaku-34.pdf
農林水産省「豪雨や台風等の風水害に備えるための予防減災情報」
https://www.maff.go.jp/j/saigai/taisaku_gaiyou/yobou_gensai.html
農林水産省「ハウスの点検・補修等を確実に実施し、豪雨や台風襲来に備えましょう」
https://www.maff.go.jp/j/saigai/taisaku_gaiyou/hausu.html
農林水産省「浸水した農業機械はエンジンをかけないでください。ショートします」
https://www.maff.go.jp/j/saigai/taisaku_gaiyou/kikai.html
被害を少しでも抑えるには、直前にすべてを済ませようとするのではなく、台風前と台風後で確認する順番を分けておくことが大切です。
この記事では、圃場、ハウス、倉庫・資材・農業機械に分けて、台風前後に見ておきたい点を、重要度に沿って整理していきます。
まずは人の安全を最優先!
台風対策で最初に考えるべきは、作物や施設の保全よりも作業する人の安全です。排水路の詰まり、ハウスの破れ、外に置いた資材が気になったとしても、暴風雨の中や水路・河川が増水している間に見回りに出るのは避けましょう。
台風が通過したあとも、すぐに圃場へ入れるとは限りません。倒木、切れた電線、崩れた法面(圃場まわりの斜面)、曲がったハウス部材、割れたガラスや金属片などが残っていることがあります。安全に近づける状況になってから動くようにしましょう。
地域や自治体単位での主な被害の確認先には、以下のようなものがあります。まずはこれらの情報をチェックしましょう。
主な台風・大雨災害などの際の情報提供元
| 確認先 | 用途 |
|---|---|
| 気象庁|防災情報 | 気象庁の防災情報全般の入口 |
| 気象庁|台風や大雨に関する最新の防災気象情報 | 台風・大雨時に確認したい情報のまとめ |
| 気象庁|気象警報・注意報 | 警報・注意報の発表状況を確認 |
| 気象庁|キキクル(危険度分布) | 土砂災害・浸水害・洪水害の危険度を地図で確認 |
| 気象庁|台風情報 | 台風の進路や強さを確認 |
| 気象庁|指定河川洪水予報 | 指定河川の洪水予報を確認 |
| 国土交通省|川の防災情報 | 河川の水位、雨量、河川カメラなどを確認 |
復旧作業は、片づけ、防除、修繕、出荷調整が重なりやすく、焦ってしまいがちですが、夏場は蒸し暑さで体力も削られます。水分と塩分を取り、休憩を挟み、家族や従業員と声をかけ合える体制を作ってから作業に入りましょう。
台風前に確認すること
台風の進路が判明してくると、自分の地域にどれくらいの影響が出るかはある程度予測できます。余裕を持って、できる限りの対策を事前に施しましょう。
露地の場合……「水の逃げ道」と「飛ぶもの」を見る
露地では、台風前に「水の逃げ道」と「風で飛びそうなもの」を確認します。まず見ておきたいのは、水がどこから入り、どこへ抜けるかです。
排水路、明渠(圃場内に掘った排水用の溝)、畝間、排水口などに、泥、草、落ち葉、使い終わった資材が詰まっていると、水が抜けにくくすぐに貯まってしまいます。
過去に水がたまった場所、低い場所、川沿いの土地、粘土質で乾きにくい圃場などは、早めに点検しておきたいところです。
作物別に見る台風前のチェックポイント
・露地野菜
畝間の滞水は、根傷みや湿害につながりやすい要因です。畝間や排水口に詰まりがないかを見ておきましょう。
・水稲
排水口や落水口の詰まり、畦畔の崩れ、漏水しそうな箇所を確認します。強い雨が予想される場合は、水尻の板やせきが動かせるかを見ておき、地域の水管理に従いながら、水位を下げやすい状態にしておくと安心です。
・果樹
根への負担に加えて、支柱、棚、防風網、誘引線の緩みが被害を広げる場合があります。風を受けやすい場所を中心に、緩みや破損がないかを確認し、必要に応じて補強しておきましょう。
作物の種類や生育段階、圃場条件によって、優先して見るべき場所は変わります。地域の農業技術情報、JA、普及指導センター、病害虫防除所の発信もあわせて確認し、自分の圃場で被害が出やすい場所から点検することが大切です。
また、ついつい置きっぱなしになりがちな圃場周辺のコンテナ、マルチ、防虫ネット、支柱、収穫かご、かん水チューブ、苗箱などは、風で飛んだり、雨で流されたりすることがあります。軽いものは倉庫へ移し、屋外に残す場合でも、ひもや重しで固定しましょう。
排水口の近くに資材を置いていると、流された資材が水の通り道をふさいでしまうことがあります。台風が近づいてから慌てないよう、数日前から少しずつ片づけておくと安心です。
もし収穫前の作物がある場合は、収穫や出荷を前倒しできるかも検討します。ただし、無理な収穫や夜間作業は事故につながります。品質、作業人数、集荷の予定を見ながら、できる範囲を決めておくことが現実的です。
■ハウスの場合……「風・水・停電」を分けて備える
ハウスでは、台風前の点検項目を「風」「水」「停電」の3つに分けると整理しやすくなります。被覆材や開口部だけでなく、排水まわりや電源まわりまで見ておくことで、通過後の被害を抑えやすくなります。
・風への備え
ビニールハウスでは、被覆ビニールの破れやたるみ、ハウスバンドや留め具の緩み、出入口や換気部の閉まり具合を確認します。小さな破れや隙間から強風が入り込むと、ビニールが内側から押し上げられ、破れの拡大や骨組みのゆがみにつながることがあります。
老朽化したビニールハウスや簡易なパイプハウス、作物が入っていないハウスなどでは、予想される風の強さによっては、屋根面や側面のビニールをあらかじめ外す、または巻き上げておくといった判断が必要になる場合もあります。密閉してハウス内を守るのか、ビニールを外して骨組みを守るのかは、ハウスの状態、作物の有無、地域の指導情報、施工業者の助言などを踏まえて判断する必要があります。
ただし、ビニールを外す作業そのものにも危険があります。台風が近づいてから高所作業をしたり、風が強まってから作業したりするのは避けましょう。実施する場合は、早めの段階で複数人で行い、外したビニールや留め具が飛ばされないよう、保管場所まで決めておくことが大切です。
・水への備え
谷樋(連棟ハウスの屋根と屋根の間にある雨どい)、縦樋(雨水を下へ流す管)、排水溝、ハウス周辺の水路を確認します。落ち葉や泥、資材が詰まると、雨水があふれてハウス内へ入り込むことがあります。
また、ハウス周辺の小石、小枝、使っていない資材などは、強風時に被覆材を傷つける飛来物になる場合があります。排水を妨げるものや飛ばされやすいものは、無理のない範囲で早めに片づけておきましょう。
・停電への備え
換気、かん水、遮光・保温カーテン、環境制御装置、電照・補光設備などは、停電により止まった場面を想定してみましょう。非常用電源がある場合は、燃料の残量と動作を確認しておきます。
非常用電源がない場合でも、天窓や側窓を手動で開けられるか、カーテンを動かせるか、水を一時的に確保できるかは見ておきたい点です。台風後に晴れると、閉め切ったハウス内は短時間で高温になることがあります。誰がどの設備を動かすのかも、事前に共有しておくと初動が取りやすくなるでしょう。
■倉庫の場合……資材・農業機械は浸水と飛散を防ぐ
倉庫や資材置き場では、肥料、農薬、種子、段ボール、出荷用の箱や袋といった水に弱いものを、水にぬれにくい場所へ移します。床に直接置いているものは、棚やパレットの上に上げるだけでも被害を抑えやすくなります。紙袋の肥料や段ボール、種子は一度ぬれると扱いにくくなるため、台風が近づく前に置き場を見直しておきましょう。
農薬や燃料類は、容器の破損や流出を防ぐため、ふたの閉まり具合と保管場所を確認します。屋外の燃料タンク、ポリタンク、空のコンテナなども、強風時には動いたり飛んだりすることがあります。屋内へ入れるか、動かないように固定しておくと安心です。
トラクター、管理機、田植機、コンバイン、防除機、発電機などの大型農業機械は、低い場所や水が集まりやすい場所に置いたままにしないことが大切です。高い場所や浸水しにくい倉庫へ移し、移動後は輪止めや固定まで済ませておきます。移動作業は風雨が強まってからでは危険になるため、数日前から段取りを組んでおきましょう。
台風後に確認すること
台風通過後は、晴れて気温が急上昇する場合があります。とはいえ、たまった雨水や気温上昇などが、間接的な被害をもたらすこともあります。慎重に台風の影響を確認し、行動しましょう。
■露地の場合……安全を確認してから排水と作物の状態を見る
台風後の圃場では、作物に近づく前に、安全に入れるかを確認します。倒木、垂れ下がった電線、崩れた畦畔、法面(圃場まわりの斜面)、飛散物がないかなどを安全な位置から見ます。
そのうえで、滞水、排水路の詰まり、土砂の流入など確認します。水が残っている場所では、無理のない範囲で水の逃げ道を作ります。
・露地野菜
水を外へ逃がし、根が酸素不足にならないようにします。その後、折れた茎葉や傷んだ葉を整理し、株元がぐらつくときは土寄せで支え直します。根傷みが大きい時は、肥料を急に効かせすぎると株への負担になる場合があるため、草勢や天候を見ながら、地域の技術情報に沿って判断しましょう。
・水稲
冠水後の排水、稲の倒伏、泥の付着、病害の有無などを確認します。収穫が近い時期であれば、品質への影響も見ながら、早めの刈り取りや乾燥調製の段取りなども組み直します。
・果樹
防風網、支柱、棚、誘引線の緩みや、落果、枝折れ、葉傷みを確認します。沿岸部で潮風を受けた場合は、地域の技術情報に沿って、真水で洗い流す必要があるかを判断します。
■ハウスの場合……設備と環境を早めに戻す
ハウスでは、骨材、被覆材、換気部、電気設備、かん水設備、環境制御装置を順に確認します。制御盤、モーター、ポンプといった電子機器の周辺がぬれている場合は、不用意に通電せず、電気工事店やメーカー、販売店などに相談してから対応しましょう。
もしこれらの設備が動かない場合は、手動換気、応急的なかん水、動噴での防除など、代わりの手立てを早めに組み立てます。
また、防虫ネットや出入口が破れてしまった場合は、害虫の侵入にも注意が必要です。破れた部分を応急的にふさぎ、アザミウマ類やコナジラミ類などの発生を見ながら、その後の防除要否を判断します。
■倉庫の場合……浸水跡と破損を見てから使う
倉庫では、入口まわり、床のぬれ、浸水跡、棚の倒れ、資材の散乱などを確認します。農薬や燃料類の容器が破損している場合は、素手で触らず、換気をしながら周囲への流出がないかを慎重に見ます。
農業機械が浸水している場合は、その場でエンジンをかけず、JA農機センターや販売・整備業者などの点検を受けてから扱うようにしましょう。見た目に大きな異常がなくても、エンジン内部や電気系統に水や泥が入り込んでいる場合があります。
記録を残すことが次の備えになる
台風後は、片づけや修繕に追われます。それでも、少し落ち着いた段階で、どの圃場に水がたまったか、どの排水路が詰まりやすかったか、どの資材が飛んだか、どのハウス部材が緩んだか、といった被害状況を記録しておくと、次の台風前に迷いにくくなります。
倉庫や機械に被害が出た場合は、片づける前に写真を撮っておくことも有効です。浸水した高さ、ぬれた資材、破損した機械や燃料タンクを写真として保存しておくと、共済・保険、自治体への相談、修繕見積もりなどに使える場合もあります。
台風への備えは、完璧に仕上げられるものではありません。排水路の掃除、資材の固定、倉庫内の置き場、農業機械の避難先、ハウスの補修、停電時の動き方を、毎回少しずつ見直していくものです。
人の安全を守りながら、できる備えを早めに済ませ、通過後は落ち着いて順番に確認することが、被害を減らし、復旧を早める土台になります。
参考資料
農林水産省「被害防止等に向けた技術指導」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/gijyutu_sido.html
農林水産省「台風第6号の接近に伴う農作物等の被害防止に向けた技術指導の徹底 について」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/attach/pdf/gijyutu_sido-202.pdf
農林水産省「施設園芸の台風、大雪等被害防止と早期復旧対策」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/sisetsu/saigaitaisaku.html
農林水産省「農業用ハウスの災害被害の防止に向けた技術指導の徹底について」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/sisetsu/attach/pdf/saigaitaisaku-34.pdf
農林水産省「豪雨や台風等の風水害に備えるための予防減災情報」
https://www.maff.go.jp/j/saigai/taisaku_gaiyou/yobou_gensai.html
農林水産省「ハウスの点検・補修等を確実に実施し、豪雨や台風襲来に備えましょう」
https://www.maff.go.jp/j/saigai/taisaku_gaiyou/hausu.html
農林水産省「浸水した農業機械はエンジンをかけないでください。ショートします」
https://www.maff.go.jp/j/saigai/taisaku_gaiyou/kikai.html
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