生産管理システム「AGRIOS」が多言語対応、12月まで試用無料

株式会社ファームオーエスが、農業の生産者が開発した生産性管理システム「AGRIOS(アグリオーエス)」が多言語化対応を開始し、まずはベトナム語対応からスタートしたことが発表された。また、それに伴い、さらに利用しやすい新料金体系となった。

PC用ダッシュボード画面
PC用作業一覧画面

ファームオーエスは、農業×IT×人に関する社会的課題を解決し、ビジネスとして魅力ある農業を創造し、食料の安定供給と社会の発展に貢献している。2025年に3,000件の農業経営者を横につなげ、ビックデータの利用や、パートナーシップの構築、販売網の共有、優良農業経営モデルをFC化することを目指す。

ファーエムオーエスが提供している農業生産性管理システム「AGRIOS」は、農業の生産性と労務生産性を管理し、畑でのKPIをかるがる確認できるクラウド型生産性管理システム。人と人を、人と組織を、農家と企業をつないで結び、農業経営の生産性の向上、ビジネススタイルを大きく変えるシステムを提供している。

もともと、トマトの生産者でもある株式会社井出トマト農園代表の井出寿利氏が、「生産量や雇用の管理技術向上」のために5年かけてエンジニアとつくってきたソフトウェアであるAGRIOSは、自らが十数年農業を営む過程で、人が増えるとなぜ効率が下がるのか、どうすれば効率を上げられるのか、と悩んだことがきっかけで開発が始まった。

これまで、農業の雇用管理や、各種データ管理に直結したサービスはあまり見られなかったが、最も適したサービスをつくりたいという想いから取り組んで生まれた。今後も農業のハードウェアとソフトウェア(人)をつなぐ「OSとなるサービス」を目指し、日本の農業が利益の出る、若者にも魅力のある業種になるよう支援するとともに、重要な労働力となる外国人にとっても、働きやすい環境を支えるサービスの提供をしていく。

外国人労働者にとっても快適な労働環境を提供

政府が発表した外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案が可決され、新制度が施行された昨今。2019年4月1日から5年間で、人材不足が深刻化している14業種の労働支援のために、労働支援のため34万5000人の外国人労働者が入国する。農業においては7万人の不足見込みに対して、3600~7300人の外国人労働者の受け入れが予測されている。

これまで日本人が就労したがらない業種に外国人の労働力を雇入れる一方で、外国人労働者へ提供する労働環境、条件への配慮が不足していることが問題視されてきた。その配慮不足の解消として、まずは、近年日本の農業への就労人口が増えているといわれるベトナム人と、雇用している農家への支援のために、AGRIOSでベトナム語の表示を対応していく。

スマートフォン画面 左からダッシュボード、サイドメニュー、作業一覧

これにより「作業内容の明確化」、「作業量指標の明確化」、「評価指標の明確化」がされ、働きやすい環境や働き甲斐、技術力向上のスピード化の解消が見込まれる。また、評価制度により賃金へ反映させることで、他業種に負けない、農業においてのより良い労働環境の提供を目指していく。

また、今回のサービスのブラッシュアップに伴い、料金も新体系に一新された。

これまで20アカウント以下は月額2万5000円で、21アカウント以上は1アカウントにつき月額1000円が上乗せされていたが、今後は1アカウント月額3980円で1アカウントにつき月額1000円が増額されることになる。少人数で経営する農家でも利用しやすく、また料金の改定による利用機能制限もなくフルスペックでの利用が可能となった。

なお、2019年12月末までは無料で利用できる。

農業の現場では、常に課題となっている「言葉の壁」によるコミュニケーション不足。このことが原因での離職が減少するように、ファームオーエスはサービスをブラッシュアップしていく。

<参考URL>
株式会社ファームオーエス
AGRIOSサービスページ
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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