農林水産省「農林水産研究イノベーション戦略2020」を策定 重点課題はスマート農業、環境、バイオの3分野

農林水産省は、食料・農業・農村基本計画に基づく農林水産分野のイノベーション創出と内閣府が推進するSociety5.0(サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムを用いて、経済発展と社会的課題解決の両立を目指す取り組み)の実現を目指した、「農林水産研究イノベーション戦略2020」を策定した。

「農林水産研究イノベーション戦略」とは、農林水産省が毎年度策定する科学技術の進展等を踏まえた農業政策の指針だ。指針は農林水産省が世界トップレベルのイノベーション創出を目指し策定され、国内農林水産分野における研究開発の方向性が示されている。



農林水産省が目指す2040年のスマート農業の姿

2020年度はスマート農業・環境・バイオの3分野に重点


「農林水産研究イノベーション戦略2020」では、スマート農業・環境・バイオの3分野を重点とし、取り組むべき研究開発の方向性が示されている。


スマート農業分野


労働力不足の解消に向けた実証や新サービスの創出、新しいビジネスモデルの確立、農業機械の完全自動化・無人化、AIを活用したデータ駆動による農業、ムリ・ムダのないスマートフードチェーンを課題としている。

環境分野


地産地消型エネルギーシステム、生産・流通段階の温室効果ガスの大幅削減、農地・森林・海洋における炭素の隔離と貯留、バイオマス資源のフル活用、気候変動適応技術の開発、土壌微生物の機能解明等による生産方式の開発を課題に挙げている。

バイオ分野


腸内細菌および代謝物の機能解明、健康に良い食の提案と提供、データ駆動型スマート育種、健康や環境に役立つ次世代植物の開発、生物機能を活用した新素材、動物医薬品等の開発、異分野と連携した新産業の創出が課題だ。


農林水産省では、今年度の策定にあたり「関係府省等と協力して、目指す姿の早期実現に取り組んでいきたい」とコメントしている。


農林水産研究イノベーション戦略2020
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/200527.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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