微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)を原料にした培養土、テスト販売を開始

株式会社ユーグレナと小橋工業株式会社は、微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)を原料にした培養土「ユーグレナの培養土」のテスト販売を開始した。内容量は14Lで価格はオープン。

この培養土は、両社が行ったユーグレナを原料とする有機肥料に関する共同研究で製造されたもので、ユーグレナを用いて作製した肥料が、植物の生育に有用な効果を示したという内容が研究によって確認されたという。

図1 「ユーグレナの培養土」パッケージ イメージ
微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)は、ワカメや昆布、クロレラ等と同じ藻の一種。
動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミンやミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランス良く含む。ユーグレナ特有の成分として、β-グルカンの一種であるパラミロンも含むことから、近年ではヘルスケア分野などでの活用が期待されているという。

株式会社ユーグレナは、微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)の「食用屋外大量培養技術」の確立に成功した企業で、ユーグレナを活用した機能性食品等の開発・販売ほか、バイオ燃料の生産に向けた研究・開発を手がける。
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「農業環境エンジニアリングシステム」の開発にも参画しているという。

小橋工業株式会社は、農業用トラクターに使用する耕耘爪や田んぼの代かき・あぜ塗りに使用する作業機等を製造する農業機械メーカー。持続可能な社会を目指したサスティナビリティに向けた企業活動も展開する。

ユーグレナ(ミドリムシ)が持つ生物上の特徴に着目


両社が行った共同研究ではユーグレナ(ミドリムシ)が持つ生物上の特徴に着目。
ユーグレナは多様な栄養成分を含んでいるだけでなく、細胞壁がないという特徴から他の植物と比べて微生物による分解速度が早く、微生物の増殖促進と活性化の効果が期待できるという。

研究では、ユーグレナを含む培養土とユーグレナを含まない培養土の2つを使用。
コマツナを対象にした栽培実験では根長や伸長が確認され、ミニニンジンを対象にした栽培実験では根張りが良くなることが示されたそうだ。
ユーグレナ培養土を作製する工程の地温を検証する実験では、地温の上昇ほか土中微生物の活性化も確認されたとのこと。

コマツナの比較実証
図4 ユーグレナ培養土を用いたミニニンジン栽培結果ミニニンジンの比較実証
同社では「ユーグレナの培養土」を、バイオマス利用の考え方である「バイオマス5F※Food(食料)・Fiber(繊維)・Feed(飼料)・Fertilizer(肥料)・Fuel(燃料)」のひとつに位置付け、今後もバイオマス利用における肥料の可能性について研究を進めていきたい考えだ。


株式会社ユーグレナ
https://www.euglena.jp/
小橋工業株式会社
http://www.kobashiindustries.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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