人工衛星データと地上環境データを活用する実証試験、2020年10月からスタート

株式会社天地人、明治大学農学部野菜園芸学研究室、株式会社誠和の3者は、人工衛星データと地上環境データを農業分野で利活用するための実証実験を2020年10月から開始する。

この実証試験は、内閣府が推進する省エネ施設園芸に向けた2020年度の事業「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ活用モデル実証プロジェクト」として採択されたもの。3者は、この試験を通じて「スマート農業技術のさらなる高度化と生産者の所得向上につながる技術を確立したい」としている。


天地人は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立したJAXA認定のベンチャー企業。地球観測衛星のデータを活用して、気候風土の情報を解析する独自開発の土地評価エンジン「天地人コンパス」を使用したプロジェクト等を展開する。

誠和は、施設園芸用の環境制御機器や養液栽培システム、省エネ・省力機器の製造販売、大規模プラントの開発・製造・販売等を手がける農業資材メーカー。2019年4月期の売上高は59億円で従業員数は183名を数える。(2020年7月現在)

誠和が開発したハウス内環境測定器「プロファインダークラウド

民間企業の農業参入が相次ぐ中、スマート農業の重要性が高まる


農業分野は、政府の成長戦略に基づき農地の集約化や大規模化が進んでおり、2009年の農地法の改正以来、民間企業による農業分野への参入も急増している。2019年時点の農地所有適格法人数は2010年時点の約1.8倍に増加し、農地リース方式による一般法人の参入も約8倍に増加したという。

政府は、国内食料自給率を向上させるために今後も民間企業による農業参入を促していく方針を固めているが、「既存の農業者を含む事業者の所得向上にはスマート農業の普及が欠かせない」としている。

人工衛星データと地上環境データを活用し、最適な条件の土地を解析


スマート農業の普及により、ハウス栽培では作物の収穫量の増加や品質向上を目的に、温度やCO2、湿度、光気流速など管理する高度な環境制御技術が用いられている。

今回の実証試験では、人工衛星から取得した気候風土などのデータと地上環境データを活用して、栽培に必要な日射量の分析を行うとともに、病害虫の発生や高温障害、冬季温度、最適雨量などのリスクをマップ化して、作物に応じた最適な条件の土地を解析する。

地上環境データの取得には、誠和のハウス内環境測定器「プロファインダークラウド」が用いられ、栽培は明治大学の農学部野菜園芸学研究室が担当する。現時点では、地上環境データと人工衛星データに差異が生じることも想定しているそうで、「データ補正や検証などの試験も行う」としている。

栽培を担当する明治大学農学部野菜園芸学研究室の学生たち
スマート農業の普及は、民間企業による農業分野への参入により、トマトやレタス、アスパラガスといった一部の作物のみ生産量が伸びている状況にあるという。しかし、その他の作物においては、生産量・出荷量・栽培面積のどれもが減少傾向で、輸入品においても新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響している。

天地人、明治大学農学部野菜園芸学研究室、誠和の3者は、人工衛星データおよび地上環境データと植物の生育状況の相関関係を探ることで、スマート農業のさらなる高度化と食料の安定供給を実現していきたい考えだ。


株式会社天地人
https://tenchijin.co.jp/
株式会社誠和
https://www.seiwa-ltd.jp/
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WRITER LIST

  1. 堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
  2. 大槻万須美
    管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
  3. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  4. 田中克樹
    32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  5. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
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