植物工場を運営する村上農園が経団連に入会 野菜メーカーとして初

発芽野菜や高成分野菜、 レストラン向けのマイクロハーブの生産・販売等を手がける株式会社村上農園は、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)への入会を発表した。

経団連は、日本を代表する企業や各業界団体等が所属する経済団体で、野菜メーカーの入会は同社が初めてとなる。同社は、経団連が推進するSociety 5.0の実現およびSDGsの達成に向け、農業分野での技術革新に貢献したい考えだ。


高成分野菜の生産を全国で展開する野菜メーカー


村上農園は、 気候に左右されない栽培で安定した供給が可能な豆苗や、ブロッコリー スーパースプラウト等を生産する広島県の野菜メーカーだ。栽培環境や生育に関するさまざまな情報をデータ化して、均一な商品化を実現。2020年12月期の売上高は106億1500万円で、生産センター(千葉・神奈川・静岡・山梨・三重・広島・福岡)、営業所(東京・名古屋・大阪・広島)、関連会社(沖縄)を全国で展開する。

同社が生産する豆苗は、 異常気象による野菜価格の高騰や再生栽培に取り組む消費者の増加を受け10年で5倍以上の出荷量に急伸。ブロッコリー スーパースプラウトについても、10年で7倍以上の出荷量に達している。

2011年には、最先端技術を取り入れた山梨北杜生産センターを開設。2015年にはオランダ企業と提携して高級レストラン向けに販売しているマイクロハーブを栽培品目に、山梨マイクロハーブ生産センターを開設した。


今回の入会は、経団連が2018年9月に提言した「農業 先端・成長産業化の未来~Society 5.0の実現に向けた施策~」と2020年2月に示した「新たな食料・農業・農村基本計画に対する意見」を受けてのもの。その将来像の実現のために、経団連会員企業と連携し事業に取り組んでいくという。

今後は、農業の担い手確保のため、栽培ノウハウのAI化を計画。また栽培技術のパッケージ化を加速して、アジア各国を中心にライセンスを提供する方針を固めている。

株式会社村上農園 代表取締役社長 村上清貴氏のコメント



「野菜メーカーとして初の入会を光栄に存じます。 当社は、 1996年の病原性大腸菌O-157集団食中毒事件の風評被害で売上が1/4に低迷する中、 抜本的なビジネスモデルの再構築を行い、 機能性野菜や豆苗などの新野菜を世の中に定着させることで、 それ以前の5倍強の成長を遂げてまいりました。 当社のモットーはピンチはチャンスです。 日本の農業が曲がり角に差しかかっている中で、 経団連の皆さまと共に新たな技術開発で農業ビジネスを発展させ、 またこれらの輸出による外貨獲得を実現したいと考えています。」


株式会社村上農園
https://www.murakamifarm.com
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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