有機キノコメーカーのハルカインターナショナルがソーラーシェアリング事業を開始

有機JAS菌床キノコメーカーの株式会社ハルカインターナショナルは、菌床キノコの有機栽培と太陽光発電を組み合わせたソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)事業を開始した。2021年5月に香川県にモデル農場を立ち上げ、参入を希望する企業を対象に事業の提案を行っていく。

ハルカインターナショナルが生産する有機JASシイタケとエリンギ

ソーラーシェアリングとは、農地の上部空間に設置した太陽光パネルを使用して電力を供給する、営農しながら太陽光発電を行う設備のことである。

同社が開始したソーラーシェアリング事業では、発電した電力を有機認証のキノコ栽培の加温などに活用。寒冷地での栽培や栽培管理の平易化につなげることができるという。

当面は、農地や耕作放棄地など近隣に余剰地が多い製造工場を有する国内の大手メーカー等を優先に参入を受け入れる。参入企業には、培養・栽培ハウスや菌床等の専用資機材を提供して、環境省や農林水産省が支援する補助金の積極的な活用を促すと同時に、事業の早期立ち上げや有機JAS認証の取得を支援していく方針だ。

事業立地や条件等によっては、キノコ菌床製造メーカーとして事業を展開してくれる協業者も求めている。

「SDGsモデル農林業普及振興研究会」を発足


日本の菌床キノコ栽培事業は、中国と並び世界最先端の技術レベルを誇るといわれているが、安売り競争の激化による栽培管理の高コスト化、商品の差別化等の課題から市場全体が疲弊しているという。

同社はこのような課題を背景に、郡上市役所、岐阜県庁林政部、十六銀行、肥料メーカーの株式会社花ごころと共同で「SDGsモデル農林業普及振興研究会」を発足。国連総会職員向けのSDGsカンファレンスで最優秀の事例発表に選出された有機農業リーダー小祝政明氏を主要メンバーに迎え、栽培を終えた有機菌床を堆肥として活用する事業モデルの全国展開も行っていく。

ハルカインターナショナルが取り組むSDGsモデル事業の概要図
また、2020年冬に開発した有機JASキクラゲのジェル加工品については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集している宇宙日本食への申請準備もスタートした。宇宙空間では、紫外線によるビタミンDの生成が困難な上、骨粗しょう症が地上の10倍の速度で進行するなど、ビタミンDやカルシウム等の栄養価を確実に摂取できる保存食品の開発が求められてきた。

同社が申請するジェル加工品は、次世代型の開放型栽培と天日干しを用いたビタミンD含有量が高い有機認証キクラゲを原料にしている。厚生労働省が示している成人一日当たりの目安量の約3倍を摂取することが可能になるという。


株式会社ハルカインターナショナル
https://www.haruka-int.jp
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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