大阪府内初、農業用ドローンを活用した水稲直播の実証実験を実施

「天王地区スマート農業推進コンソーシアム」は、大阪府内で初となる農業用ドローンを活用した水稲直播を大阪府能勢町天王地区にて2021年5月15日に実施した。

天王地区は、「大阪のてっぺん」と呼ばれる大阪府最北端に位置する標高約500mの地域。57世帯が居住する人口約130人の山に囲まれた小さな集落だ。農家戸数は48戸、耕地面積38.9ヘクタールで、稲作を中心とした農業生産が行われているが、近年は人口減少による過疎化が懸念されている。

大阪府能勢町天王地区

地元生産者がドローンを操縦して直播作業を実施


今回のプロジェクトは、「大阪のてっぺん 天王地区スマート農業推進コンソーシアム」が取り組む稲作の省力化技術の実証実験の一環だ。稲作を対象にした収量の5~10%向上と作業時間の最大75%削減を目標にしている。

2020年度(令和2年度)は外部の協力業者に委託して作業を行ったが、本年度は講習会を実施し協力業者の支援のもと、地元生産者自らがドローンを操縦して直播作業を実施する。


水稲直播は通常の栽培方法と比較して労働時間で約2割、10アールあたりの生産コストで約1割の削減効果があると農林水産省の資料で報告されている。

今後は、農薬と肥料の散布時間の削減、生育の違いを可視化する技術の開発や、同地区の関係人口・交流人口の増加に向けた取り組みを実施して、同様の課題を抱える全国の中山間地域の生産者に希望を届けたいとしている。


令和2年度スマート農業実証プロジェクト 大阪のてっぺん 天王地区スマート農業推進コンソーシアム
https://www.naro.go.jp/smart-nogyo/r2/subject/suidensaku/136300.html
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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