イオン環境財団、植樹活動や教育分野でリモート・センシング技術センターと連携

イオングループの公益財団法人イオン環境財団は、リモートセンシング技術の活用を巡り、一般財団法人リモート・センシング技術センターと連携協定を締結すると発表した。同技術を「イオンの森づくり」などの植樹活動や、環境教育の推進に役立てるとしている。




環境課題の解決を担う「リモートセンシング」

リモートセンシングとは、人工衛星や航空機に搭載した専用の観測機器(センサ)を用い、離れた位置から地球表面などの対象物を観測する遠隔探査技術。特定地域における土壌や大気の水分量、地表や海面の温度、植生、地表面変位などを計測・可視化し、 衛星画像データとして提供する。

近年では、アマゾンの森林保全や違法伐採防止のため、これらの衛星監視システムにALOS画像を組み入れた「ALOS衛星画像利用プロジェクト」が実施されるなど、森林分野における課題解決策としての応用が進んでいる。

また2015年に国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の15項目において、「陸上生態系の保護、回復及び持続可能な利用の推進、持続可能な森林の管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止及び逆転、ならびに生物多様性の損失を阻止する」とのグローバル指標を掲げる一方、「持続可能な開発目標報告2018」では、地球上の森林面積が2015年までの過去15年間に、約1億ヘクタール(日本全土の約2.6倍の面積)縮小したことも発表。

日本をはじめ各国の活動が地球全体に与える影響や、その社会的責任が問われている中、リモートセンシング技術は、持続的な森林管理や気候変動対策を実施するための重要な手段として、幅広い分野への適用が期待されている。

これらを前提に2019年7月、イオン環境財団はリモート・センシング技術センターと連携協定を締結し、同技術を持続可能な地域づくりに活用していく方針を固めた。


持続可能な地域づくりと環境啓発の強化

イオン環境財団は1990年の設立以来、環境活動に取り組む団体への助成や、世界各地での植樹、生物多様性への取り組みを主な事業としてきた。2019年2月末時点で、同財団の植樹本数が累計1,193万本に達したことをきっかけに、現在は地域に密着した多面的な環境活動の発展や新たな分野での挑戦を見据えている。

一方、リモート・センシング技術センターは1975年、リモートセンシングに関する総合的な研究開発や普及啓発を通じ、同技術を社会インフラとして定着させ、社会経済の発展や国民生活の向上に寄与することを目的に設立。衛星の運用から観測データの受信・処理、解析にいたるまでのリモートセンシング技術を生かし、防災や環境保全、農業利用、資源探査などのソリューション事業に取り組んできた経緯がある。

今回の連携では、次代を担う子どもたちに持続可能な地域と豊かな自然を引き継ぐため、地域住民などの多様なステークホルダーとともに取り組む「イオンの森づくり」や環境教育を対象に協働していく。

具体的には、リモートセンシング技術で得られる広域的かつ長期的な地表面の情報により、森や地域の状態を綿密に調べ、植樹候補地の選定に必要な情報や、植樹前後の森林の状態を客観的に把握する。これによりイオン環境財団が手がける植樹などの森林管理活動を、より正確で効果的に行うことが可能となる。

また教育の場においては、リモートセンシング技術を活用した環境教育の推進により、森林の減少や地球温暖化、大気汚染などのさまざまな環境問題を把握・理解し、地域の持続的発展を図る新たな活動に繋げていくとしている。


<参考URL>
公益財団法人イオン環境財団
一般財団法人リモート・センシング技術センター
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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