農林水産省、農業用ドローンの補助者無し目視外飛行の実現に向けて実証プランを募集

農林水産省は、農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会の仕組みを活用し、「農業分野における補助者なし目視外飛行実証プロジェクト」の実施を決定した。

現在、ドローンの飛行許可に関しては、さまざまな制限が設けられている。代表的な規制として、ドローン操縦の際は補助員が必要であることや、ドローンを見ずに運転してはいけない目視外飛行の禁止がある。

安全性の観点からこういった規制がされているのだが、農業分野においては、人手不足がかなり深刻な問題となっているため、補助者無し目視外飛行を認めてドローンの普及拡大を目指すべきだとの声が高まっていた。


具体的な内容としては、農業分野において、ドローンの補助者無し目視外飛行を行おうとする農業事業者や民間事業者などから、実証プランを募集するというものだ。

応募方法は、飛行時期や飛行目的などの事項を所定の応募様式に記載して、メールで提出する。なお、応募期間は2019年7月19日(金)で終了している。

提出した実証プランについては、後日、農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会運営事務局が、応募内容の詳細をヒアリングするために連絡をする。

農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会とは、官民が連携して関係者のニーズやシーズを吸い上げ、農業用ドローンの普及拡大に向けたさまざまな取組を推進していくために設けられた機関だ。

この協議会は農業用ドローンの普及拡大に関係するすべての方が参加でき、実際、農業法人や農協、ドローンメーカーや地方公共団体などさまざまな関係者が、会員として名を連ねている。このような多様な関係者が行っている取組や保有している知見に関する情報共有や連携をスムーズに行うことができるよう、農林水産省のHP上に協議会を常設し、随時、情報収集に当たっている。

農業用ドローンの普及は、農業の担い手確保の問題解消のための喫緊の課題。ドローンの補助者無し目視外飛行が認められれば、一度に広範囲に農薬などを散布できるようになり、省力化の実現だけでなく、生産性の著しい向上も期待できる。

今回の取り組みは実証プランの募集にとどまり、あくまでも承認申請書作成の前段階の位置づけだが、農業用ドローンの普及拡大において一歩あゆみを進めたことは間違いない。この取組を発端として、農業用ドローンが普及し、人力でなくとも作業がほぼ完了する次世代型農業が発展していくだろう。

<参考URL>
農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会「農業分野における補助者なし目視外飛行実証プロジェクト」実証プランの募集について:農林水産省
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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