NTT東日本、プランティオ、タニタが都市型スマート農園を開設

NTT東日本、プランティオ株式会社、株式会社タニタの3社は、都市型スマート農園の開発や新規就農につながる機会の創出など、都市部における「食」と「農」と「健康」の課題解決を目的とした新たなアーバンファーミング事業に向けた食農事業を開始した。

協業の第1弾としてタニタ本社敷地内に「タニタふれあい農園」を開設し、2023年8月1日~2024年3月31日(予定)まで実証実験を実施する。

IoTを活用した都市型スマート農園のテストフィールド「タニタふれあい農園」
(タニタ本社敷地内・東京都板橋区)

都市型スマート農園の開発・有効性の評価などを実施


近年、国内の農業分野において、食糧自給率が40%を下回るなど食の安定供給に対するリスクが深刻な課題となっていて、国全体での食料生産基盤の強化が求められている。こうした中、世界で急速に広がるアーバンファーミングの文化を国内で醸成する動きが注目されている。

アーバンファーミングとは、都市部のビルの屋上や屋内で行われる「都市型農業」のことで、地産地消・旬産旬消の新鮮な野菜を環境負荷の低いプロセスで供給できるほか、地域コミュニティの創出や景観形成、生物多様性の維持、避難場所や環境緩衝地としてなど、さまざまな機能が期待できるとしている。

今回の協業では、NTT東日本が有するICTを活用した営農支援の実績やノウハウ、通信環境の構築で培ったエンジニアリング力、プランティオの持つIoTを活用した野菜栽培の仕組みやシェアリング型の農園運用のノウハウ、タニタの健康づくりや食のノウハウを組み合わせ、参加者同士が交流しながら共同で野菜を育てていける都市型スマート農園の構築と検証を進める。

IoTを活用した都市型スマート農園のテストフィールド「タニタふれあい農園」

具体的には、プランティオが独自開発したIoTセンサー「grow CONNECT(グロウコネクト)」を活用し、土壌の温度の積算をモニタリングするとともに、他の5つのセンサーデータを肉付けし、前後1週間の天候データと対比して予測するAI技術である「Crowd Farming System」と、専用のアプリ「grow GO」を通じて水やりや間引きのタイミングなどの栽培アドバイスを実施。

これにより、誰でも手軽に野菜を栽培することができるという。実証実験では、同アプリの評価と開発へのフィードバックを実施していく。

また、「grow GO」が農園の利用者同士がコミュニケーションを取れる機能も備えているほか、収穫した野菜をタニタ食堂やタニタカフェのレシピを基に調理して参加者に提供するなど、コミュニティを活性化させるさまざまなアクティビティも展開する。

実証実験では、「タニタふれあい農園」におけるコミュニティやアクティビティへの参加を募り、参加者の行動態様や事業性を検証していく。

この他、健康増進のアプローチ手法としての農作業の可能性を検証したり、「タニタふれあい農園」において栽培した野菜の近隣飲食店での消費、アプリを通じた栽培活動による特典の付与、周辺地域の施設への誘客など、地域経済圏の活性化を図る仕組みづくりを検討していく。

利用者や導入企業のみに負担が集中することのない、持続可能な農園運営と都市部営農に貢献するモデルを目指す。

IoTを活用し、利用者が分担して手入れをし、収穫する

今後は、実証実験の結果を基にアーバンファーミングの事業化へ向けた具体的な検討を進めていく予定。

IoTやAI、その他実証を通じて効果が見込まれた機能を備えた都市型スマート農園サービスをパッケージ化して遊休地所有者に提供するほか、生産した野菜のタニタ食堂・タニタカフェでの活用、付加価値の高い伝統野菜の一般流通なども視野に入れているという。

さらに、地域の飲食店や施設と連携した誘客の仕組みによる地域経済の活性化についても検討し、世界的に喫緊な課題である食料安全保障を背景に各国で加速するグリーンフードインフラの構築を目指すとのこと。

今回の実証実験をショーケースに、全国の遊休地や自治体への普及拡大を図っていく計画で、3社それぞれの強みを生かしたアーバンファーミング事業の提供を通して、「食と健康にまつわる社会課題の解消に寄与していく」としている。


NTT東日本
https://www.ntt-east.co.jp/
プランティオ株式会社
https://plantio.co.jp/
株式会社タニタ
https://www.tanita.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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