農研機構、AIを用いた「ばれいしょ異常株検出支援システム」を開発
農研機構は、AIを活用した「ばれいしょ異常株検出支援システム」を開発した。本システムの運用を通じ、健全な種馬齢しょ生産の軽労化と技術継承を目指す。
現在日本では、約220万トンの馬齢しょが生産されている。しかし、高齢化などを背景に面積や生産者の減少が続いており、栽培技術の維持・継承や作業の軽労化が喫緊の課題となっている。
特に病気に感染した異常株などを抜き取る作業は、健全な種ばれいしょ生産に不可欠な作業だが、罹病の有無を的確に判定できる経験者の不足や、広大なほ場から異常株を搬出する労力の確保が課題となっており、異常株の判定を技術的に支援しつつ軽労化を図る仕組みが求められている。
そこで、農研機構種苗管理センター、農研機構農業情報研究センター、農研機構北海道農業研究センター、農研機構技術支援部北海道技術支援センター、十勝農業協同組合連合会、シブヤ精機株式会社らはコンソーシアムを形成し、異常株検出の要となるAI等の実用化に向けた取り組みを進めている。
研究では、馬齢しょ生産において大きな脅威となるモザイク症状・黄化症状・萎れ症状・矮小株などを検出対象としたAI搭載型の処理装置および、それらを搭載する自走式のほ場管理車両により構成される試作機を開発。これまでは人間が歩行しながら2畦ごとに目視判定していた異常株の検出を最大6畦まで増やし、抜き取りのため追従している作業者に音と画像によって通知できる。
また、ほ場における異常株検出では、「馬鈴しょの品種により感染症状が多岐に渡ること」、「判定精度が気象条件、特に日射条件の影響を受けること」、「準リアルタイム処理を成立させるため極短時間での判定が必要であること」、「大規模ほ場で運用するため時間当たりの処理株数を増やすこと」の4つの課題解決が求められていた。
そのため、教師データの追加作成や直射日光への対処、抜取り作業に支障がない時間での判定、撮影カメラの増設、検出プログラムの高速化を実施。その結果、馬齢しょの品種のひとつである「トヨシロ」の撮影画像を用いた検証で、作業期間中における延べ4回の検出の内、1回当たり83%の検出精度を達成した。
さらに、検出精度の向上や対応品種の拡大に不可欠なAIの深層学習を行うため、農研機構北海道農業研究センターと十勝農業協同組合連合会の2カ所に、研究用に罹病させた種馬齢しょを作出する試験ほ場を設置。農研機構種苗管理センターに在籍する抜取り作業に熟練した職員が教師データを作成したことにより、判定が難しい病徴の検出も可能になったとのこと。
現在は、動画像の撮影時に生じるスパークプラグノイズの解消や、植物体の生長に合わせてカメラ位置を調整できる機能の付与など検出精度の安定化に向けた取り組みを進めている。
2024年度には、原原種生産現場等へ試験導入し、検出精度の向上や同時検出を可能とする畦数の増加、検出プログラムの操作性を高めるGUIの開発、処理装置の小型化など、システムの実用性や利便性向上を目的とした改良を進め、2025年度には種馬齢しょ生産者による試験利用を開始する方針を示している。
また、現時点では「トヨシロ」のみを検出対象としているが、今後は「コナヒメ」や「キタアカリ」など作付け面積が大きい品種にも適用を拡大し、国内約5000ヘクタールの種馬齢しょの生産現場に普及するようなシステム開発を目指すとしている。
農研機構
https://www.naro.go.jp/index.html
異常株を除去する抜取り作業を軽労化
現在日本では、約220万トンの馬齢しょが生産されている。しかし、高齢化などを背景に面積や生産者の減少が続いており、栽培技術の維持・継承や作業の軽労化が喫緊の課題となっている。
特に病気に感染した異常株などを抜き取る作業は、健全な種ばれいしょ生産に不可欠な作業だが、罹病の有無を的確に判定できる経験者の不足や、広大なほ場から異常株を搬出する労力の確保が課題となっており、異常株の判定を技術的に支援しつつ軽労化を図る仕組みが求められている。
そこで、農研機構種苗管理センター、農研機構農業情報研究センター、農研機構北海道農業研究センター、農研機構技術支援部北海道技術支援センター、十勝農業協同組合連合会、シブヤ精機株式会社らはコンソーシアムを形成し、異常株検出の要となるAI等の実用化に向けた取り組みを進めている。
研究では、馬齢しょ生産において大きな脅威となるモザイク症状・黄化症状・萎れ症状・矮小株などを検出対象としたAI搭載型の処理装置および、それらを搭載する自走式のほ場管理車両により構成される試作機を開発。これまでは人間が歩行しながら2畦ごとに目視判定していた異常株の検出を最大6畦まで増やし、抜き取りのため追従している作業者に音と画像によって通知できる。
また、ほ場における異常株検出では、「馬鈴しょの品種により感染症状が多岐に渡ること」、「判定精度が気象条件、特に日射条件の影響を受けること」、「準リアルタイム処理を成立させるため極短時間での判定が必要であること」、「大規模ほ場で運用するため時間当たりの処理株数を増やすこと」の4つの課題解決が求められていた。
そのため、教師データの追加作成や直射日光への対処、抜取り作業に支障がない時間での判定、撮影カメラの増設、検出プログラムの高速化を実施。その結果、馬齢しょの品種のひとつである「トヨシロ」の撮影画像を用いた検証で、作業期間中における延べ4回の検出の内、1回当たり83%の検出精度を達成した。
さらに、検出精度の向上や対応品種の拡大に不可欠なAIの深層学習を行うため、農研機構北海道農業研究センターと十勝農業協同組合連合会の2カ所に、研究用に罹病させた種馬齢しょを作出する試験ほ場を設置。農研機構種苗管理センターに在籍する抜取り作業に熟練した職員が教師データを作成したことにより、判定が難しい病徴の検出も可能になったとのこと。
現在は、動画像の撮影時に生じるスパークプラグノイズの解消や、植物体の生長に合わせてカメラ位置を調整できる機能の付与など検出精度の安定化に向けた取り組みを進めている。
2024年度には、原原種生産現場等へ試験導入し、検出精度の向上や同時検出を可能とする畦数の増加、検出プログラムの操作性を高めるGUIの開発、処理装置の小型化など、システムの実用性や利便性向上を目的とした改良を進め、2025年度には種馬齢しょ生産者による試験利用を開始する方針を示している。
また、現時点では「トヨシロ」のみを検出対象としているが、今後は「コナヒメ」や「キタアカリ」など作付け面積が大きい品種にも適用を拡大し、国内約5000ヘクタールの種馬齢しょの生産現場に普及するようなシステム開発を目指すとしている。
農研機構
https://www.naro.go.jp/index.html
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