スマート農業の拠点「新富アグリバレー」が11月10日に開設 地元農家・民間企業・行政が協力

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構は、地元農家、行政、起業家らがタッグを組み、ロボットやAIなど先進技術やサービスを開発するスマート農業の拠点「新富アグリバレー」を、2019年11月10日に開設した。

同日は開設を記念したイベント「スマート農業サミット in 宮崎」を開催し、町内の農業者を始め、行政、金融機関、農業ベンチャーら130名が来場。

会場では、株式会社ソラシドエアの高橋宏輔による基調講演のほか、農業ベンチャー6社によるプレゼンテーション、多彩なゲストによるパネルディスカッションなどが行われた。 こゆ財団は同イベントにて「スマート農業推進協会」の設立を宣言。ビジョンに賛同する会員を募りながら、スマート農業の技術開発や人材育成に注力し、100年先まで持続可能な農業を実現する計画だ。

ソラシドエア高橋社長による基調講演(写真:Yuta Nakayama)

スマート農業の実装へ向けての取り組み

農林水産省未来投資×地方創生検討会の資料「スマート農業の展開について」では、農業の競争力強化のためには「スマート農業」の開発・実装が急務であると示されている。

その背景には、基幹的農業従事者の高齢化があり、同資料における65歳以上の期間的農業従事者の割合は、フランスの3.0%(2015年)、オランダの9.2%(同)などの主要国と比較しても、日本は64.6%と突出して高い状況だ。

こうした状況をふまえ、こゆ財団では担い手不足を補うだけでなく、データを活用した農業を実践することで高効率化、収量向上にチャレンジしようと、若手農家や農業ベンチャーによる「儲かる農業研究会」を2018年6月に発足。高専との共同研究を重ねながら、スマート農業の実装に取り組んできた。

「新富アグリバレー」とは、そうした地域の基盤に新たな農業ベンチャーを誘致し、技術と人材を集積するための取り組みである。

農業ベンチャーの事業紹介ブースではゲストや来場者との交流が盛んに行われました(写真:Yuta Nakayama)

「スマート農業推進協会」設立

こゆ財団は、「スマート農業サミット in 宮崎」において、100年先まで持続可能な農業を実現するという趣旨に賛同する企業・団体の組織「スマート農業推進協会」の設立を宣言。

同協会には、2019年11月14日時点で7社の入会が決定。コワーキングスペース「新富アグリバレー」において、スマート農業事業の情報発信、事業者間の交流・連携、採用支援などを実施する。また、2020年2月には「スマート農業サミット2020 in 東京」の開催を予定。2019年11月中に入会を完了した事業者にブース出展と登壇機会を提供する。

同協会は会員企業100社を目標に活動し、事業者間や自治体、他分野との連携を加速し、農業分野で活躍するIT人材の育成、AIやロボットといった技術の研究開発に取り組んでいく。

<参考URL>
こゆ財団公式サイト
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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