「第14回農業WEEK」の注目農業ソリューション【後編】スマート農業機器・農業ロボット等
2024年10月9~11日の3日間、「第14回農業WEEK」が千葉県の幕張メッセで開催された。国内最大級の農業関連展示会だ。
今回は前回から引き続き、「国際農業資材EXPO」、「国際スマート農業EXPO」、「国際6次化EXPO」、「国産畜産資材EXPO」に、「農業 脱炭素・SDGs EXPO」で構成された。
そんな農業WEEK展示物のなかから、編集部の注目ブース&アイテムを紹介していきたい。
後編となる本稿では、スマート農業機器・ロボット等のハードウェアを紹介して行こう。農業ロボットは特に水稲向けが先行して普及していたが、いよいよ汎用ロボットや露地野菜向けロボットの社会実装も近づいている雰囲気を感じる。
▼前編
「第14回農業WEEK」の注目農業ソリューション【前編】 バイオスティミュラントとハウスの暑熱対策資材
日本の老舗作業機メーカーのやまびこブースでは、今回の農業WEEKでも、自社開発している多様な環境技術・製品・システムを、全方位的に紹介していた。そんななかから編集部が注目したのは「電動牽引式追従ロボット台車」である。日々の運搬作業を楽に、簡単に、安全にしてくれる台車だ。
テザーハンドルを持つ作業者に台車が追従してくれるから、運搬に力はいらない。収穫後の農作物を軽トラックまで運んだり、肥料や資材を軽トラックから圃場まで運んだりといった、農作業の“ラスト数十メートルの運搬”を軽労化・効率化・安全にすることを目指して開発された。
あえて自律走行型にせず作業者を追従する形にしたことで、作業者には安心感が生まれた。まるで犬の散歩でもするように、作業者を選ばず誰でも楽に重量物を運搬できるのだ。やまびこ商品戦略部の田中剛さんが教えてくれた。
「テザーハンドルを引く角度や角速度をパラメータにしてさまざまなアルゴリズムを試して、今できる最善を形にしました。その結果、台車を気にすることなく歩いても、自然に台車が追従するようになりました。作業者が歩いたルートを台車がトレースするので、台車が障害物などに衝突する危険性がほぼなくなる、という安全上のメリットも生まれました」
やまびこでは、自律運転機能を備えたロボット農機についても中長期的な目標として着々と開発を続けているが、現段階では農業生産者はそこまでの機能を求めていない、と分析している。
「農業生産者にとって大切なのは、軽労化を実現しつつも安心感があること、それと適価であること、だと考えています。特に重要なのは、適価であるという点。この『電動牽引式追従ロボット台車』は、補助金の活用を想定して、一般の運搬車と同等に近い価格となるよう配慮して開発を進めています。
今回は台車本体のみの展示でしたが、荷物の積み降ろしに便利なリフトなどのオプションも開発中です。今回はコンセプトモデルとして発表しましたが、2025年夏の製品化を目指しています」と展望を語ってくれた。
この「電動牽引式追従ロボット台車」の電池には、昨年と今年の農業WEEKで同社が展示していた「DC50V」バッテリーを使用している。「DC50V」バッテリーは、同社製の小型作業機械のほか、他社との協業やバッテリーの供給による脱炭素社会の実現に向けて開発したものである。
やまびこは農業生産者の軽労化ニーズに応えるべく、優れた電動化製品を適価で提供することで、脱炭素社会に向けてさらに歩みを進めようとしている。
やまびこ
https://www.yamabiko-corp.co.jp/
CO2施用機の「アグリーフCO2システム」で知られるフタバ産業だが、実は同社の主業は自動車部品だ。
農業事業の主力商品である「アグリーフCO2システム」は、暖房機の排気ガスに含まれる二酸化炭素を作物の局所施用に使用するが、暖房機の排気ガスから有害物質を除去する技術には自動車の排気系部品のノウハウが活用されている。
そんなフタバ産業が今回の展示会では、主に有機農業で活用する「可視光半導体レーザーを活用した自律走行型除草ロボット」を展示していた。ロボット(車体)は電動の四輪駆動であり、雑草を見つけるとレーザーで除草するという。フタバ産業事業開発本部アグリーフ事業開発室主査の齊藤隆さんが説明してくれた。
「車体下部にカメラを搭載しており、AI画像処理を駆使して作物と雑草とを瞬時に識別。雑草であると検出したらピンポイントでレーザーを照射して除草する、完全自律的に除草を行うロボットを開発しています。畝から畝への移動も可能な仕様とし、将来的には害虫を検知して駆除できる害虫防除機能も搭載したいと考えています」
除草と害虫駆除をロボットが完全自律的に担ってくれるなら、露地野菜等での有機栽培挑戦のハードルはグッと下がるはずだ。
自律走行に関するノウハウにも、同社が自動車部品製造で得られたノウハウを活用しているという。今後の開発に期待したい。
フタバ産業 農業事業
https://www.agleaf.jp/
ファーモといえば、低コストでハウス内環境のモニタリングを実現する「ハウスファーモ」や、水田の水管理をスマホでできる「水田ファーモ」が有名だが、それらはいずれもユーザーの声に応える形で製品化されてきた。
参考記事:“使える”スマート農業サービス「ファーモ」成功の秘訣は、とことん農家の課題解決に寄り添い続けること
https://smartagri-jp.com/smartagri/8457
そんなファーモが新たに発表したのが、スマホやパソコンから水門の開閉ができるスマート水門「アクアドライブ」だ。どこからでも水門の開閉ができるから、水門管理を圧倒的に効率化できる。
営業部長の塩野目敬章さんは、「水門管理は地域の方が行っており、危険な場所も多く、夜間・休日問わず管理する必要があります。この水門管理の課題は全国共通のものです。この課題を解決すべく、『アクアドライブ』を開発いたしました。」と、開発背景を説明してくれた。
「アクアドライブ」は水田ファーモなどと同じく電源不要だから、山間部などでも利用可能。また、あらゆる水門に後付けできる。そのうえファーモ製品らしく、圧倒的な低コストを実現するという。現在、デモ機実演受付中というから、ご興味を持たれた方は是非、ファーモにコンタクトして欲しい。
ファーモ
https://farmo.info/
最後にご紹介するのは、北菱電興のブース。石川県金沢市に本社を置く同社は、農業分野では水田用自動給水機「アクアポート」で知られている。
上限センサー・下限センサーが水田の水位を感知して、自動で給止水する「アクアポート」は販売開始から3500台が出荷されており、今春にはタイマー機能をプラスした高機能モデルと、センサーを省きタイマー機能に特化したモデルを追加している。
そんな北菱電興のブースから編集部が注目したのは、開発中の「開水路用新型マイクロ水車」だ。農業用水路の落差工を利用して発電できるというから、稲作が盛んな地域での普及が期待できそうだ。北菱電興社会システム事業部電機部統括部長の松下正人さんが教えてくれた。
「環境省が行った調査によると、日本全国の農業用水路には16~24万kWもの発電ポテンシャルがあるそうです。それを活用すべく当社では、さまざまなサイズ、タイプの水力発電システムを製造・販売しています。農業分野では、営農施設や獣害対策の電気柵の電源として、また地域で活用する避難施設の非常用電源やEV充電装置の電源として活用されています。
今回発表した『マイクロ水車』は、発電した電気を全量売電しても良いですし、もちろん自家消費にも活用できますが、利用用途は発電ポテンシャルに依存する形となります。
『マイクロ水車』は農業用水で発電する際に課題となる塵芥問題と、かんがい期/非かんがい期での流量変動について対策を施した製品です。そのため機能面での課題はないのですが、大流量・低落差での発電ということで、水車構造が発電出力に対して大きくなるという点はデメリットとなります。
ただし、大規模停電の際でも水が流れていれば電気を自由に使うことができる、というお金には代えられない価値を評価していただければ、普及が見込めるものと考えています」
この「マイクロ水車」は2025年1月から発売予定であるという。今後も動向をウォッチして行きたい。
北菱電興
https://www.hokuryodenko.co.jp/
2024年の「農業WEEK」全体を見渡して目立っていたのが、大手ドローンメーカーの出展見合わせだ。DJI、XAG、ヤマハなどが出展せず、毎年大規模なブースを構えていただけにかえって目立っていた。
では、ドローン自体が下火かといえばそんなことはなく、今後は安価で扱いやすい機体の方が求められ、普及期に入っているという見方が正しいだろう。一部の人しか使えなかった農業用ドローンは、手が届く価格帯のものになりつつある。
そんな中で、農業用ドローンの多様な活用方法が提案されていた。NTT e-Drone Technologyでは、農業用ドローンの「AC101」に鳥獣忌避装置「クルナムーブ」を搭載し、動物が苦手な光によって鳥獣害を追い払う実証実験を始める。使用するドローンは「AC101」を流用できる。
ドローンによる鳥獣害対策としては音などによる対策も検討されてきたが、動物側が慣れてしまうという面もあったという。今回の「クルナムーブ」はすでに設置型では効果が確認されており、ゴルフ場や農業現場での臨機応変な対応も期待できるという。年間約156億円もの被害があるという鳥獣害被害への、初期投資がかからず労力も少ない対策は急務。今後の展開にも注目したい。
NTTイードローン
https://www.nttedt.co.jp/post/ec101-20241008
ドローンに代わって今回特に目立っていたのが、トラクターなどに後付けするタイプの自動操舵システムだ。
トラクターの運転は、まっすぐ走らせるだけでも意外とベテランの経験が必要な作業。買い替え時に自動直進機能付きのトラクターを選ぶ人も増えているというが、肥料などのコスト増でトラクターの買い替えもなかなか進まず、若手やアルバイトに作業を依頼するにしても慣れていない人に任せる不安は大きい。労力はもちろん、精度の高い作業を行うために、自動操舵システムは今後ニーズが高まると予想されている。
そんな市場を見越してか、日本メーカーのトプコンやニコントリンブルをはじめ、いち早く日本で発売を開始した中国のFJD、中国最大手のALLYNAV、CHCNAV、韓国のプラバオートなどが、今年の農業WEEKにそろって出展。出展しながら代理店を募集しているメーカーもあり、まさにこれから日本市場に打って出る、という雰囲気が感じられた。
それぞれに特徴はあるものの、共通しているのは既存のトラクターにハンドルとタブレットのようなモニターを取り付け、ルートの指定などを行うことで自動操舵できるという部分。無人での運用は法的な面でも難しいものの、運転技術がない人でも正確に作業できるというメリットは大きい。また、価格面でも100万円を切るような製品もあり、導入しやすくなってきている。
モノを大事にする日本という風土にもマッチしそうな自動操舵システム。これから普及が進んでいくかもしれない。
ALLYNAV(アリーナビ)|伝農アシスト
https://www.dennouassist.co.jp/agriculture/allynav
CHCNAV(CHCナビ)|AGLOBAL G.K
https://aglobalgk.com/
プラバオート|GINT
https://pluva.jp/
今回は前回から引き続き、「国際農業資材EXPO」、「国際スマート農業EXPO」、「国際6次化EXPO」、「国産畜産資材EXPO」に、「農業 脱炭素・SDGs EXPO」で構成された。
そんな農業WEEK展示物のなかから、編集部の注目ブース&アイテムを紹介していきたい。
後編となる本稿では、スマート農業機器・ロボット等のハードウェアを紹介して行こう。農業ロボットは特に水稲向けが先行して普及していたが、いよいよ汎用ロボットや露地野菜向けロボットの社会実装も近づいている雰囲気を感じる。
▼前編
「第14回農業WEEK」の注目農業ソリューション【前編】 バイオスティミュラントとハウスの暑熱対策資材
やまびこ:電動牽引式追従ロボット台車の市販を目指す
日本の老舗作業機メーカーのやまびこブースでは、今回の農業WEEKでも、自社開発している多様な環境技術・製品・システムを、全方位的に紹介していた。そんななかから編集部が注目したのは「電動牽引式追従ロボット台車」である。日々の運搬作業を楽に、簡単に、安全にしてくれる台車だ。
テザーハンドルを持つ作業者に台車が追従してくれるから、運搬に力はいらない。収穫後の農作物を軽トラックまで運んだり、肥料や資材を軽トラックから圃場まで運んだりといった、農作業の“ラスト数十メートルの運搬”を軽労化・効率化・安全にすることを目指して開発された。
あえて自律走行型にせず作業者を追従する形にしたことで、作業者には安心感が生まれた。まるで犬の散歩でもするように、作業者を選ばず誰でも楽に重量物を運搬できるのだ。やまびこ商品戦略部の田中剛さんが教えてくれた。
「テザーハンドルを引く角度や角速度をパラメータにしてさまざまなアルゴリズムを試して、今できる最善を形にしました。その結果、台車を気にすることなく歩いても、自然に台車が追従するようになりました。作業者が歩いたルートを台車がトレースするので、台車が障害物などに衝突する危険性がほぼなくなる、という安全上のメリットも生まれました」
やまびこでは、自律運転機能を備えたロボット農機についても中長期的な目標として着々と開発を続けているが、現段階では農業生産者はそこまでの機能を求めていない、と分析している。
「農業生産者にとって大切なのは、軽労化を実現しつつも安心感があること、それと適価であること、だと考えています。特に重要なのは、適価であるという点。この『電動牽引式追従ロボット台車』は、補助金の活用を想定して、一般の運搬車と同等に近い価格となるよう配慮して開発を進めています。
今回は台車本体のみの展示でしたが、荷物の積み降ろしに便利なリフトなどのオプションも開発中です。今回はコンセプトモデルとして発表しましたが、2025年夏の製品化を目指しています」と展望を語ってくれた。
この「電動牽引式追従ロボット台車」の電池には、昨年と今年の農業WEEKで同社が展示していた「DC50V」バッテリーを使用している。「DC50V」バッテリーは、同社製の小型作業機械のほか、他社との協業やバッテリーの供給による脱炭素社会の実現に向けて開発したものである。
やまびこは農業生産者の軽労化ニーズに応えるべく、優れた電動化製品を適価で提供することで、脱炭素社会に向けてさらに歩みを進めようとしている。
やまびこ
https://www.yamabiko-corp.co.jp/
フタバ産業:露地野菜の有機栽培に貢献する除草ロボットを開発中
CO2施用機の「アグリーフCO2システム」で知られるフタバ産業だが、実は同社の主業は自動車部品だ。
農業事業の主力商品である「アグリーフCO2システム」は、暖房機の排気ガスに含まれる二酸化炭素を作物の局所施用に使用するが、暖房機の排気ガスから有害物質を除去する技術には自動車の排気系部品のノウハウが活用されている。
そんなフタバ産業が今回の展示会では、主に有機農業で活用する「可視光半導体レーザーを活用した自律走行型除草ロボット」を展示していた。ロボット(車体)は電動の四輪駆動であり、雑草を見つけるとレーザーで除草するという。フタバ産業事業開発本部アグリーフ事業開発室主査の齊藤隆さんが説明してくれた。
「車体下部にカメラを搭載しており、AI画像処理を駆使して作物と雑草とを瞬時に識別。雑草であると検出したらピンポイントでレーザーを照射して除草する、完全自律的に除草を行うロボットを開発しています。畝から畝への移動も可能な仕様とし、将来的には害虫を検知して駆除できる害虫防除機能も搭載したいと考えています」
除草と害虫駆除をロボットが完全自律的に担ってくれるなら、露地野菜等での有機栽培挑戦のハードルはグッと下がるはずだ。
自律走行に関するノウハウにも、同社が自動車部品製造で得られたノウハウを活用しているという。今後の開発に期待したい。
フタバ産業 農業事業
https://www.agleaf.jp/
ファーモ:スマホで水門を開閉できる「アクアドライブ」新登場
ファーモといえば、低コストでハウス内環境のモニタリングを実現する「ハウスファーモ」や、水田の水管理をスマホでできる「水田ファーモ」が有名だが、それらはいずれもユーザーの声に応える形で製品化されてきた。
参考記事:“使える”スマート農業サービス「ファーモ」成功の秘訣は、とことん農家の課題解決に寄り添い続けること
https://smartagri-jp.com/smartagri/8457
そんなファーモが新たに発表したのが、スマホやパソコンから水門の開閉ができるスマート水門「アクアドライブ」だ。どこからでも水門の開閉ができるから、水門管理を圧倒的に効率化できる。
営業部長の塩野目敬章さんは、「水門管理は地域の方が行っており、危険な場所も多く、夜間・休日問わず管理する必要があります。この水門管理の課題は全国共通のものです。この課題を解決すべく、『アクアドライブ』を開発いたしました。」と、開発背景を説明してくれた。
「アクアドライブ」は水田ファーモなどと同じく電源不要だから、山間部などでも利用可能。また、あらゆる水門に後付けできる。そのうえファーモ製品らしく、圧倒的な低コストを実現するという。現在、デモ機実演受付中というから、ご興味を持たれた方は是非、ファーモにコンタクトして欲しい。
ファーモ
https://farmo.info/
北菱電興:農業排水で発電する「マイクロ水車」
最後にご紹介するのは、北菱電興のブース。石川県金沢市に本社を置く同社は、農業分野では水田用自動給水機「アクアポート」で知られている。
上限センサー・下限センサーが水田の水位を感知して、自動で給止水する「アクアポート」は販売開始から3500台が出荷されており、今春にはタイマー機能をプラスした高機能モデルと、センサーを省きタイマー機能に特化したモデルを追加している。
そんな北菱電興のブースから編集部が注目したのは、開発中の「開水路用新型マイクロ水車」だ。農業用水路の落差工を利用して発電できるというから、稲作が盛んな地域での普及が期待できそうだ。北菱電興社会システム事業部電機部統括部長の松下正人さんが教えてくれた。
「環境省が行った調査によると、日本全国の農業用水路には16~24万kWもの発電ポテンシャルがあるそうです。それを活用すべく当社では、さまざまなサイズ、タイプの水力発電システムを製造・販売しています。農業分野では、営農施設や獣害対策の電気柵の電源として、また地域で活用する避難施設の非常用電源やEV充電装置の電源として活用されています。
今回発表した『マイクロ水車』は、発電した電気を全量売電しても良いですし、もちろん自家消費にも活用できますが、利用用途は発電ポテンシャルに依存する形となります。
『マイクロ水車』は農業用水で発電する際に課題となる塵芥問題と、かんがい期/非かんがい期での流量変動について対策を施した製品です。そのため機能面での課題はないのですが、大流量・低落差での発電ということで、水車構造が発電出力に対して大きくなるという点はデメリットとなります。
ただし、大規模停電の際でも水が流れていれば電気を自由に使うことができる、というお金には代えられない価値を評価していただければ、普及が見込めるものと考えています」
この「マイクロ水車」は2025年1月から発売予定であるという。今後も動向をウォッチして行きたい。
北菱電興
https://www.hokuryodenko.co.jp/
NTT e-Drone Technology:ドローン×光による鳥獣害対策
2024年の「農業WEEK」全体を見渡して目立っていたのが、大手ドローンメーカーの出展見合わせだ。DJI、XAG、ヤマハなどが出展せず、毎年大規模なブースを構えていただけにかえって目立っていた。
では、ドローン自体が下火かといえばそんなことはなく、今後は安価で扱いやすい機体の方が求められ、普及期に入っているという見方が正しいだろう。一部の人しか使えなかった農業用ドローンは、手が届く価格帯のものになりつつある。
そんな中で、農業用ドローンの多様な活用方法が提案されていた。NTT e-Drone Technologyでは、農業用ドローンの「AC101」に鳥獣忌避装置「クルナムーブ」を搭載し、動物が苦手な光によって鳥獣害を追い払う実証実験を始める。使用するドローンは「AC101」を流用できる。
ドローンによる鳥獣害対策としては音などによる対策も検討されてきたが、動物側が慣れてしまうという面もあったという。今回の「クルナムーブ」はすでに設置型では効果が確認されており、ゴルフ場や農業現場での臨機応変な対応も期待できるという。年間約156億円もの被害があるという鳥獣害被害への、初期投資がかからず労力も少ない対策は急務。今後の展開にも注目したい。
NTTイードローン
https://www.nttedt.co.jp/post/ec101-20241008
ALLYNAVほか:後付け自動操舵システムが中国・韓国から進出
ドローンに代わって今回特に目立っていたのが、トラクターなどに後付けするタイプの自動操舵システムだ。
トラクターの運転は、まっすぐ走らせるだけでも意外とベテランの経験が必要な作業。買い替え時に自動直進機能付きのトラクターを選ぶ人も増えているというが、肥料などのコスト増でトラクターの買い替えもなかなか進まず、若手やアルバイトに作業を依頼するにしても慣れていない人に任せる不安は大きい。労力はもちろん、精度の高い作業を行うために、自動操舵システムは今後ニーズが高まると予想されている。
そんな市場を見越してか、日本メーカーのトプコンやニコントリンブルをはじめ、いち早く日本で発売を開始した中国のFJD、中国最大手のALLYNAV、CHCNAV、韓国のプラバオートなどが、今年の農業WEEKにそろって出展。出展しながら代理店を募集しているメーカーもあり、まさにこれから日本市場に打って出る、という雰囲気が感じられた。
それぞれに特徴はあるものの、共通しているのは既存のトラクターにハンドルとタブレットのようなモニターを取り付け、ルートの指定などを行うことで自動操舵できるという部分。無人での運用は法的な面でも難しいものの、運転技術がない人でも正確に作業できるというメリットは大きい。また、価格面でも100万円を切るような製品もあり、導入しやすくなってきている。
モノを大事にする日本という風土にもマッチしそうな自動操舵システム。これから普及が進んでいくかもしれない。
ALLYNAV(アリーナビ)|伝農アシスト
https://www.dennouassist.co.jp/agriculture/allynav
CHCNAV(CHCナビ)|AGLOBAL G.K
https://aglobalgk.com/
プラバオート|GINT
https://pluva.jp/
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