プラントベースミート(代替肉)とは? なぜ今注目されているのか?

植物性の原料を使用して作られた代替肉であるプラントベースミートをご存知でしょうか。欧米諸国を中心に健康意識が高まってきたことをきっかけに広がりを見せていますが、環境や社会が抱えるさまざまな課題解決につながるひとつの策としても注目され始めています。

そこで今回は、プラントベースミートの種類をはじめ、普及することで社会にどういった影響があるのか、日本での現状はどうなっているのかを解説します。


プラントベースミートとは

 
プラントベースミートは植物からできた代替肉の総称で、オルタナティブミートやフェイクミート、ベジミートなどさまざまな呼び方で知られています。

菜食文化が進んでいる欧米諸国では主にえんどう豆を使用したものが主流ですが、日本では大豆を使用したものが一般的で、大豆ミートの老舗ともいわれるオーサワジャパンをはじめ、加工肉メーカー大手の日本ハムや伊藤ハムでも大豆を使用した商品が販売され始めています。

プラントベースミートの種類


プラントベースミートの種類には大豆、小麦(グルテン)、エンドウ豆の3つを主原料としたものが一般的です。ここではそれぞれの違いや特徴をご紹介します。

・大豆ミート

大豆ミートは大豆たんぱくを主原料にしたもので、日本国内では一番手に入りやすいプラントベースミートです。ミンチ状になってるものから薄切り肉やブロック肉のようになっているものなど、料理によって使い分けることが可能。湯戻ししてから使う乾燥タイプの他に、時間が無いときでもすぐに使えるレトルトや冷凍タイプなどさまざまな種類が販売されています。

・グルテンミート

小麦たんぱくを使用した代替肉はセイタンやグルテンミートと呼ばれています。日本では缶詰に入ったブロック状のものや瓶詰されたそぼろ状のものが販売されていて、醤油などで下味が付けられているのが特徴です。

・えんどう豆ミート

えんどう豆たんぱくを使用して作られるえんどう豆ミートは、主にアメリカやヨーロッパの企業から販売されています。えんどう豆はアレルギー特定原材料の28品目にも該当していないことから、大豆や小麦と比べてもアレルギーを引き起こすリスクがかなり低く、味のクセもなく食べやすいのが特徴です。

プラントベースミートに注目が集まる理由


かつてはベジタリアンやビーガンなどの多くは、健康意識や動物愛護の観点から脱肉食を選択するというのが主流でしたが、プラントベースミートはその他にも地球全体が抱える課題の解決につながるとして注目を集めています。

環境問題の解決


畜産は、家畜の排せつ物やそれらの処理が適切に行われないことで起こる温室効果ガスの排出や、水質汚染といった環境負荷が問題視されています。植物から作られているプラントベースミートは畜産が抱える環境問題の解決につながると考えられ、最近ではこうした環境問題への意識の高まりからベジタリアンやビーガンといった食生活を選択する人が多くなってきています。

人口増加による食糧問題


国連の発表によると、2050年には世界人口が96億人にまで増加すると予測されていて、人口増加による食糧不足の問題が指摘されています。プラントベースミートは、こうした食糧問題下の貴重なタンパク質源としても期待されています。

食の多様性


宗教上の理由やアレルギーなど、それぞれが持つ体質や思想によって肉類を食べることができない人にとって、プラントベースミートは食を豊かにするひとつの選択肢として注目されています。

日本での現状は?


日本においてはフードテックベンチャーのネクストミーツ株式会社が2020年に誕生し、「NEXTカルビ」や「NEXT牛丼」などさまざまなタイプのプラントベースミートがスーパーや外食チェーンで広く流通し始めています。

また、環境省が2021年6月に発表した環境白書においては、代替肉が新たな食の選択肢として国内の事例と共に紹介され、国としても推進していく意向が示されました。また、内閣府や都庁の職員食堂では大豆ミートを使用したベジタリアンメニューの提供がされるなど、多様な食文化に対応するための取り組みが行われています。

しかし欧米諸国と比べると肉の消費量が少なく、ヘルシーな食習慣を持つ日本ではプラントベースミートが浸透しているとは言えないのが現状です。


菜食主義の人が食べるものというイメージが強く、一般の消費者にはなかなか馴染みのなかったプラントベースミートですが、最近では著しい進化を遂げ、味や見た目などかなり肉に近い物が気軽に手に入る時代になってきています。

ビーガンになる必要性はないですが、肉類を過剰に消費することは自分の体や環境にとって好ましいとは言えません。いきなり食生活を見直すのは負担になるので、ミートフリーマンデーのように週に1度だけ肉類を食べるのをやめてプラントベースミートに置き換えてみるという取り入れ方がおすすめです。


ネクストミーツ株式会社
https://nextmeats.co.jp/
環境省 令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書「第3章 地域や私たちが始める持続可能な社会づくり」
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/pdf/1_3.pdf
農林水産省「調査結果」
https://www.maff.go.jp/j/jas/attach/pdf/yosan-27.pdf
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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。