身近なことからはじめよう! 食品ロス削減に向けた国内の取り組み8選

世界的にも問題視されている食品ロス。最近ではSDGsへの関心が高まり食品ロス削減に向けたさまざまな取り組みが行われているものの、まだまだ大量の食料が捨てられていることを知っていますか?


食品ロス対策は消費者・事業者双方での協力が必要となりますが、各家庭で取り組む場合、日常のちょっとしたことに気を付けるだけでも食品ロスを減らすことにつながります。

そこで本記事では、国内で行われている具体的な取り組みや、家庭で簡単に取り入れられる食品ロス対策を紹介します。

食品ロスの状況


食品ロスは、まだ食べることができるのに捨てられてしまう食品のことを言います。日本の食品ロス総量は年間約522万トン(2020年度)で、家庭系から約247万トン、事業者系から275万トン廃棄されているのが現状です。この中に農場から出る規格外野菜などは含まれていません。

依然として高い数値であるものの、食品ロスの計測が開始された2012年(食品ロス量 642万トン)以降、年々減少傾向にあります。

年間で発生している食品ロスの中でも、家庭から出るものは買い過ぎや保存方法によって起こる「直接廃棄」、作りすぎや好き嫌いによる「食べ残し」、野菜の皮やヘタなどの「過剰除去」が主な原因とされています。

一方食品関連の事業者から出る食品ロスは、規格外品や売れ残りなどが主な原因です。日本の食品流通業界では3分の1ルールと言って、食品の納入期限を賞味期限の1/3以内とする商習慣があり、商品の賞味期限が残り3分の1になると廃棄されてしまう可能性があります。

現在は同ルールについて見直す動きもありますが、まだ一部の事業者のみでしか実践されていないという状況です。

食品ロス削減で得られる効果は?


国際食料農業機関(FAO)の調査によると、世界全体では年間約13億トンの食品ロスが発生していることがわかっています。これは、世界で生産された食料の3分の1が食べられずに捨てられていることになるそうです。

食品ロスの発生原因については国によっても違いがありますが、日本を含む中・高所得国では、消費の段階で無駄になっている割合が高いということもわかっています。これだけの食品ロスを減らすことでどのような効果が得られるのか、ひとつずつ見ていきましょう。

より少ない資源でより多くの食料供給が可能に



農産物や畜産物を作る過程では、水をはじめ作物に施す肥料や動物に与える飼料など多くの資源を必要とします。また、これらの生産に利用されている土地も資源のひとつです。

まだ食べられるのに食料を捨てるということは、これらの資源が無駄に利用されているということ。食品ロスを削減することでより少ない資源でより多くの食料を供給することが可能になります。


二酸化炭素の排出削減




食料の生産から加工までのすべての過程においてエネルギーが使用され、CO2が排出されています。また、廃棄された食品を焼却施設などで処理する際にもCO2は発生しています。

食品ロスを削減することで、廃棄処理にかかる余分なコストやCO2による環境負荷を抑えることが可能です。


水不足問題



先述した通り、食料を生産するには水が必要不可欠です。水資源が豊富な日本ではあまり実感が湧かないかもしれませんが、食料を輸入に頼っている部分が多い日本は、間接的に海外の水資源に依存している状態とも言えます。

世界では人口の増加や気候変動の影響によって水不足が深刻化していると言われているため、貴重な水資源を無駄にしないためにも食品ロスを減らしていくことが重要です。

国内で行われている食品ロス対策


こうした状況から、日本では、2030年までに食品ロスを半減させることを目標に消費者向けの取り組みとして「てまえどり」や期限表示の意味を正しく理解するためのキャンペーンなどが実施されています。また、最近では企業などでも食品ロスに関連する取り組みが見られるようになってきました。

ここでは、食品ロス削減につながるサービスやアプリなど、誰でも気軽にできる食品ロス対策を紹介します。

通販サイト


規格外や3分の1ルールで省かれる食品を扱う「クラダシ」

出典:https://kuradashi.jp/pages/about
クラダシは、規格外や3分の1ルールなどによって通常の方法では販売できなくなった食品などを安く購入できる通販サイトです。

お菓子や飲料といった食品をはじめ、野菜や肉などの生鮮食品、日用品などが販売されています。購入金額の一部は環境や動物保護、フードバンク等の団体に寄付される仕組みになっているので、社会貢献をしたいと考えている方も利用しやすい通販サイトとなっています。


ワケあり品をECで販売「豊洲市場ドットコム」

出典:https://www.tsukijiichiba.com/user/collection/264
豊洲市場ドットコムは、豊洲市場で取引されている商品の中で発生する“訳あり品”を購入できる通販サイトです。

市場ならではの鮮魚やフルーツなどをはじめ、スーパーではなかなか見かけることのない珍しい加工品なども販売されています。

アプリ


売れ残り食品や規格外の食品を業者・消費者のいずれも利用可能「Let」

出典:https://let.jp/apps/top/
Letは、売れ残りや規格外品の野菜や果物、肉類などをお得に購入できるアプリです。

消費者は基本的に登録無料ですが、月額290円でよりお得に買い物が楽しめるプレミアム会員になることもできます。事業者が規格外品などを販売する場合は、商品が実際に購入された場合のみ商品代金+送料に対して15%の手数料がかかる仕組みになっています。

賞味期限の近い食材を組み合わせるレシピを提案「pecco」

出典:https://pecco.app/
peccoは、冷蔵庫の中に入っている食材を登録するとAIがレシピを提案してくれるアプリです。

賞味期限の近い食材があれば通知で教えてくれるだけでなく、その食材を使ったレシピも提案してくれます。食材管理が楽になり無駄を減らせるのはもちろんのこと、栄養バランスのグラフ化や管理栄養士からのアドバイスなど栄養面でのサポートも行ってくれるのが特徴です。

その他


期限切れなどの食品を無人で販売「fuubo」
出典:https://www.nofoodloss.com/
fuuboは、納品期限が過ぎたものや季節限定パッケージのお菓子など、さまざまな理由で廃棄されてしまう食品をボックス型の無人販売機に入れて販売するサービスです。

現在は、関東を中心に全国50カ所以上に設置されています。

お持ち帰りタッパーのイマドキの呼び方「ドギーバッグ」

出典:https://www.doggybag-japan.com/
ドギーバッグとは、飲食店などでの食べ残しを入れて持ち帰ることができる容器などのことを言います。

2009年に「ドギーバッグ普及委員会」が設立され、安全に食べ残しを持ち帰るための行動指針の制定や、外食産業のドギーバッグの取り組み推進、持ち帰りの履歴などが確認できるアプリのリリースなど、さまざまな普及活動が行われています。

単に持ち帰ればいいというわけではなく、そもそも持ち帰らなくて済むような適量の注文を心がけることや、持ち帰ったことで体調を崩すことがないよう、細菌を入れない工夫の仕方についてもしっかりレクチャーされています。


書籍


「捨てられる食べものたち(食品ロス問題がわかる本)」

出典:http://www.office311.jp/report.html
「捨てられる食べものたち(食品ロス問題がわかる本)」は、世界と日本の食品ロスの現状や発生原因をはじめ、食品の無駄を減らすために自分たちにできることについても学ぶことができる一冊です。

イラストも多用されていて見やすいので、子どもと一緒に食品ロスを学ぶのにもピッタリな本となっています。

「ひと目でわかる! 食品保存事典 簡単! 長持ち! 節約!」

出典:https://www.shimamotomiyuki.com/books.html#
「ひと目でわかる! 食品保存事典 簡単! 長持ち! 節約! 」は、意外と知られていない食品の保存方法を知ることができる本です。

生鮮食品だけでなく、乾物や加工食品など全部で200品目の保存方法がオールカラーでわかりやすく掲載されているのが特徴。家庭で実践できる食品ロス対策をお探しの方に役に立つ一冊となっています。

小さな行動も積み重なれば大きな削減につながる


食品を捨てるということは、それらを生産するために使用された土地や水などの資源を無駄にし、さらに余計な環境負荷を与えてしてしまうことにもつながるということがおわかりいただけたかと思います。

各家庭や個人で食品ロスを発生させないようにするには、「買い過ぎない」、「作りすぎない」、「注文しすぎない」ことを徹底することが基本です。今回紹介した食品ロス対策はどれも気軽に取り組めるものばかりなので、できるところからはじめてみてはいかがでしょうか。


食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_4-52.pdf
食品ロスの現状を知る|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html
農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_4-52.pdf
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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  3. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。