お米を食べながら痩せる? アスリートの食事から見るダイエットのコツ【栄養士コラム】

減量を目的としたダイエットを考えるとき、食事はどのようにしたらよいのでしょうか。体重を減らすだけではなく、筋肉量を減らさずに体脂肪を落としたいと考える方も多いはず。

そこで、アスリートの栄養サポートをおこなう栄養士・堀口泰子が、さまざまなカラダづくりを目指すアスリートの食事から見えるダイエットのコツを紹介します。

炭水化物の中でも燃焼効率がよく、脂質が少ないお米を取り入れた、アスリートの食事例を見ていきましょう!

1.美しい体型をつくりたい


競技に芸術性が求められるフィギュアスケートや新体操、クラッシックバレエといった審美的スポーツでは、美しいカラダづくりは大切な要素です。身体能力を発揮しながら、厳しい体型管理が必要となります。

減量においてエネルギーの摂取と消費のバランスを考える時、摂取量が消費量よりも少なくなれば、理論上、体重は減ります。


しかし、減量を繰り返したり、摂取エネルギー量を必要以上に減らすと、代謝は下がりやすくなるため、体重が減少しにくくなる傾向があります。エネルギー不足は太りやすい、燃焼しにくいといった、いわば省エネ体質をつくるきっかけとなることがあるのです。


このような場合、単純に運動量を増やしただけではすぐに代謝が上がりにくいため、摂取エネルギー量の見直しが必要になります。

減量のために主食を減らしすぎていれば、炭水化物の中でも燃焼効率のいいお米を食べて、エネルギー不足を補います。消費量に合わせてエネルギー不足を改善し、代謝を上げる取り組みを行うのです。

さらに、お米には代謝を助けるビタミンやミネラル、血糖値の急上昇を防ぎ腸内環境を整える助けをする食物繊維も含まれています。食事量を減らしたことで摂取量が少なくなりがちな副栄養素も補えるのです。

摂取エネルギー量は代謝を支える大切な要素です。しっかり食べることも大切にしたいですね。


2.体脂肪率を極めたい


階級制があるボクシングや柔道、鍛え抜かれた筋肉を見せるフィジークやボディビルはスタミナを維持しながら体脂肪率を極める減量を行います。

スタミナ源を確保し、なおかつ脂肪燃焼のための燃料の役割をしている栄養素は炭水化物です。中でも、炭水化物が多く、脂質が少ない主食はお米となります。


体脂肪率を極める減量では、減量前からしっかりお米を食べて代謝量を上げ、燃焼しやすいカラダを準備します。

減量中も適度にお米を食べながら、トレーニングで消費エネルギー量を高め、体脂肪率を落としていきます。

重要というべきもう1つの要素は代謝を助けるビタミン、ミネラルなどの副栄養素の確保です。

副栄養素は食べたものをエネルギーに変え、体組織をつくる助けとなる役割をします。先ほども言った通り、お米にはビタミン、ミネラルが含まれています。さらに、具だくさんのみそ汁を組み合わせることで、その力を発揮することができます。

女子ボクサーの実際の食事を見てみましょう。

【実録】女子ボクサーの計量前日の食事



献立のポイント
お米を必要量に応じてしっかり食べることで減量しやすくなりました。具だくさんのみそ汁は緑黄色野菜、きのこ、海藻などを使って副栄養素も意識できています。野菜の切り方もそしゃくを意識できるように工夫。お米を増やしたことで、お通じの改善にも繋がりました。

3.筋肉をしっかりつくりたい


重量級のボクサーや柔道、空手、ラグビー、アイスホッケー、サッカーや陸上競技など、パワーとスピードを求められる競技は、筋肉量を増やすトレーニングを行い、そのための食事を意識します。

筋肉をつくるためには、トレーニング量に見合ったエネルギー、たんぱく質、それらの代謝を助ける副栄養素が必要です。

さらに考慮が必要となるのが栄養バランス。筋肉量増大を意識してたんぱく質量摂取だけに注力していると「エネルギー産生栄養素のバランス」が崩れやすくなります。


肉類などたんぱく質を多く含む動物性由来の食品には脂質が含まれているため、たくさんの量を食べると、脂質を摂る割合が増えてしまうのです。また、ウエイトトレーニングを行う多くのアスリートはプロテインのサプリメントを取り入れているため、食事とサプリメントでたんぱく質を過剰に摂取している場合があります。

過剰に摂取したたんぱく質は脂肪として蓄えられるため、筋肉量を増やす妨げになってしまうのです。活動量に合わせて適度なたんぱく質量を摂取することも、筋肉量を増やすためには大切な要素となります。

そこで、お米を6割、残り4割をおかずと具だくさんのみそ汁で食べるようにすると、理想的なエネルギー産生栄養素のバランスに整えることができるのです。

また、ウエイトトレーニングやたんぱく質量を意識しているにも関わらず、筋肉量がつきにくい場合、腸内環境や消化吸収に着目することも大切です。よく噛んで食べることは消化吸収を助けます。このような点からも、そしゃくを意識できるお米を食べることが筋肉をつくる助けをしているとも言えるのです。

アイスホッケー選手とウェルター級ボクサーの食事例を見てみましょう。

【実録】アイスホッケー選手の食事




献立のポイント
理想的なエネルギー産生栄養素のバランスを意識した食事。具だくさんのみそ汁も理想的です。お米から摂取できるたんぱく質量を踏まえて、肉の使用量を調整した上で豆腐を追加しています。脂質摂取量を抑えることができました。

【実録】ウェルター級ボクサーの減量中の食事



献立のポイント
お米と具だくさんみそ汁を軸にしてバランスよく食べています。忙しくて調理ができなくても、コンビニ惣菜なども活用しながら、主菜にはさまざまな食品を使っています。楽しんで食事をとっていることも継続できるポイントになっています。

アスリートの食事から見えるダイエットのコツ

  1. エネルギー量は減らしすぎない
  2. 副栄養素を意識する
  3. エネルギー産生栄養素のバランスを整える

いかがでしたか。アスリートの実録からダイエットのコツを参考にして、お米を食べるからだづくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

堀口泰子
栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じてさまざまな食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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