新米と古米は一緒に炊いてもいいの? 古米をおいしく食べるコツ

管理栄養士の大槻万須美です。

新米が店頭に並びはじめると、家に残ってしまった前年度産のお米(=古米)を新米と混ぜて炊いてよいのか迷うことも多いと思います。

新米と古米って一緒に炊いてもいいでしょうか?

新米と古米の特徴に合わせた炊き方の違いや、古米をおいしくいただくコツについてお伝えします。


新米と古米の特徴


新米とは、「原料玄米が生産された当該年内に精白され、包装されたお米」のことを指し、それ以外は「新米」の表示ができない決まりになっています(食品表示法に基づいた食品表示基準による)。

9~11月に収穫ピークを迎えるお米を「新米」として表示できるのはほんの数カ月の間だけということになりますが、新米の表記ができなくなった翌日から「古米」になるかというと、そうではありません。

「古米」の呼称は、「新米」が出始めたころから、今年度産の新米と前年度に収穫されたお米を区別するために使われることが多くなっています。

そのため、収穫から1年過ぎたものを「古米」とすることが一般的です。

新米の特徴は、フレッシュで繊細な風味と、米粒の細胞組織のやわらかさ。

対して古米は、玄米の状態で保管されていたとしても酸化や乾燥がゆっくりと進んでいってしまうため、収穫されてから時間が経てば経つほど、ごはん粒のかたさやぬかの臭いなどが感じられやすくなります。また、古米は炊き上がりの粘りが少なくパラパラとした食感になりやすいです。

新米と古米を一緒に炊いてもいい?



新米が出始めた時期に、手元に残った古米を一緒に炊いてもよいか迷うときもありますよね。

新米と古米はそれぞれの特徴に合わせて炊き方も異なるため、おいしさを引き出すには、別々で炊くことがおすすめです。

特に、洗米と浸水時間、水加減、保温時間・保存などに違いがみられます。

・洗米


新米:米粒がやわらかいので、洗いすぎは禁物。短時間でやさしく洗うように
古米:ぬか臭さが気になる場合はしっかりめに洗うことも


・浸水時間


新米:浸水時間が短くても吸水しやすい
古米:吸水率が低いため、浸水時間をやや長めにとる必要がある


・水加減


新米:新米は細胞組織がやわらかく加熱時間も短くてすむため、水を少なくすることが多い
古米:古米の状態によって水加減を調節することがおすすめ。水加減によっては芯が残ったり逆にべたついてしまったりすることも

一般的なおすすめの水の量は、普通の精白米の場合、洗う前の米の容量の20%増し、新米の場合は10%増しといわれています。


・保温時間と保存


新米:保温時間が多少長くなってもおいしさが持続する。冷蔵・冷凍保存をしてもやわらかさがある
古米:保温しているとかたくなりやすい。水分が抜けやすいため冷凍保存後でも早めに食べきる

一方で、新米に古米を混ぜて「ブレンド米」として販売されているお米もあり、その場合は炊き方に工夫が必要な場合もあります。

安いだけではない「ブレンド米」とは? 購入時に知っておきたいポイント

古米のおすすめの食べ方



新米が手に入るとどうしても新米ばかりになって、古米がなかなか使い切れない、なんてこともあるかもしれません。

ですが、実は新米にはない古米ならではのおすすめの食べ方がたくさんあるんですよ。

古米の魅力はパラパラ食感。基本的に新米はやわらかくてもっちりしているので、古米の方がおいしく感じられる料理も多くあります。

例えばカレーライスやチャーハン。パラパラとしたごはんに炊き上がる古米は、新米よりも向いているといえるでしょう。ピラフやパエリア、混ぜご飯なども、パラパラしている古米が適しています。

また、のり状になりにくい古米は、リゾットなど、ごはん粒の食感を残したい場合にも最適。サラサラと食べたいお茶漬けにもおすすめですよ。

逆に、パサパサ感が気になるときはひと工夫。お湯で吸水させることで吸水率をアップし、やわらかさや粘りが改善されるようですよ。

炊く前に一度水をすててから冷水で炊飯すると甘みもよみがえります。ぬかの臭いが気になる際には、お湯が臭いを強めてしまうこともあるため、少量で試してみてください。


お米は精米してからどんどん劣化が進んでしまいます。手元に残った古米はおいしいうちに早めに食べきるようにしたいですね。

新米の時期が到来したら、白ごはんは新米で楽しみ、一方で、古米は炊き方を工夫したり、古米のもつ特徴によってさらにおいしさを引き出せる料理に使ったりして、その魅力を感じてみてはいかがでしょうか。


農林水産省「新米の表示の定義を教えてください。また、新米を美味しく炊く方法についても教えてください。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1710/01.html
調理科学Vol.19 No.4「貯蔵期間の異なる米の搗精歩合と浸水時間の相違が炊飯に及ぼす影響について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/19/4/19_313/_pdf

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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