ネイチャーダイン、電気や機械不要の灌水システム「SPOEQ 点滴灌漑システム」開発

ネイチャーダイン株式会社は、電気や機械を使用しない自然型農業用灌水システム「SPOEQ(スポーク)点滴灌漑システム」を開発した。
特許出願は既に済んでおり、システムの基盤技術をもとにしたアプリケーションの開発やさらなる応用技術への展開を目指す考えだ。


自然型農業潅水「SPOEQ(スポーク)点滴灌漑システム」


「SPOEQ点滴灌漑システム」は、従来の点滴灌漑システムには不可欠だった高精度な点滴ノズルや高圧ポンプシステムなどを一切使用せずに開発された自然型の配管システムだ。

点滴灌漑システムの最重要ポイントは、ごく少量の水をいかに均等に、広域に、行き渡らせる「制御システムのコストパフォーマンス」が重要といわれている。

従来の点滴灌漑システムは、水や肥料の消費量を最小限にするために、細いチューブや吐出口の狭いノズルを使用した灌漑方式がとられてきたが、ノズルが詰まりやすく、広域で使用する場合には調整が必要になるなど、システムコストが高額になる傾向にあったという。
結果、「通常のスプリンクラーで水や養液を撒く方が低コストになる」といった事例もあり、点滴灌漑システムのメリットが生かしきれていない側面があった。

しかし、「SPOEQ点滴灌漑システム」は、重力による水圧や気圧、物質の表面張力や浸透圧など、自然環境を利用したシンプルな構造原理で動作し、少ない流量を均等に分配しながら広域に渡って灌水させていく。名称であるSPOEQ(Spontaneous Equalizing)は、「自然に起こる自発的な均等化現象」を意味しているという。

「SPOEQ点滴灌漑システム」の開発は、「自動栽培システムSoBiC」の大規模化ニーズに応えたもので、今後は大規模設置の案件や試験導入など、それぞれの目的に応じたシステムを提供する。革新的な独自の栽培技術をベースに、家庭菜園市場や機動力農業へ新たなソリューションを提供するとともに国内外への普及を進めたい考えだ。


ネイチャーダイン株式会社
https://www.naturedyne.com/index.html
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
パックごはん定期便