筆ポリゴン更新を1年に短縮 農水省と産総研がAIによる人工衛星画像解析技術を開発

農林水産省と国立研究開発法人産業技術総合研究所は、農地の区画情報である筆ポリゴンの形状変化に対応する新技術を開発した。両者が開発した技術は、AIが人工衛星画像等を解析して農地の変化を特定するもの。

この技術を活用すれば、これまで5年を要していたという筆ポリゴンの更新が1年に短縮できるほか、スマート農業の推進やデータ駆動型の農業経営の実現にもつながるそうだ。



筆ポリゴンとは、人口衛星で撮影した画像を基に作成された農地の区画情報。200メートル四方(北海道は400メートル四方)に区画した日本の土地の中から、約290万区画の農地を圃場の形状に沿って特定する。

出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所
筆ポリゴンの更新作業は、衛星画像等を目視で確認した職員らの手のよって行われているため、1年間に更新できる面積は全国の5分の1程度だそうだ。

時期の異なる衛星画像データをAIが比較・解析し、農地の変化を特定


農林水産省と産業技術総合研究所が開発した新技術は、筆ポリゴンの迅速な更新を実現したもの。時期の異なる衛星画像データを基にAIが比較・解析し、農地の変化を抽出するという。

出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所
新技術の開発は、両者が締結した共同研究契約によるもので、今後はこの技術を活用した「画像解析による農地の区画ごとの作付状況の把握手法の開発」にも取り組む考えを示している。

出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所
「画像解析による農地の区画ごとの作付状況の把握手法の開発」では、AIの機械学習技術と人工衛星画像データ等を組み合わせることで、農作物の作付状況を農地の区画ごとで判別する技術の開発を進めるそうだ。

農林水産省と産業技術総合研究所は、開発を通じて「職員等が実施する統計調査の効率化に貢献したい」としている。


農林水産省
https://www.maff.go.jp/
国立研究開発法人産業技術総合研究所
https://www.aist.go.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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