キューサイとNTTドコモ九州、ケール栽培にドローンを活用

キューサイ株式会社は、株式会社NTTドコモ九州支社とともに、「ドローン」を活用した新規事業プロジェクトを開始する。青汁の原料であるケールの栽培に、ドローンや画像解析システムを活用する。


さまざまな問題をかかえている農業や漁業などの第一次産業は、就業人口は年々減少傾向にあり、高齢化も深刻。また、第一次産業では長年の経験や勘で育成状態の把握や収穫量の予測をする場合が多く、後継者への継承が難しくなっている。

そんななかで今回、農業関連のシステム開発を進めるNTTドコモと連携をはかり、最終的には生育状態の把握や収穫量の予測、病害虫の検知が可能となるようなシステムの開発を予定している。

島根県 農林水産 総務課資料

ケールの栽培にドローンと画像解析を活用

キューサイは、自社グループ農場の株式会社キューサイファーム島根でケール青汁の原料である「ケール」を栽培している。今回のプロジェクトでは、ドローン技術を活用して、東京ドーム約6.6個分あるケール畑の定点観測撮影を実施し、撮影した画像データをNTTドコモの開発した解析システムでNDVI(※)のデータを構築し、ケールの収穫量の予測や、ケール株の病虫害被害の検知などを行う。
※ 植物の近赤外領域の波長の反射率を数値化したもので、植物の分布や活性度を測る指標

ドローンで撮影画像データを膨大に蓄積することで、経験値となりシステムの精度が向上。これにより、パソコンやスマートフォン、またタブレット端末などさまざまなデバイスで管理できるようになり、人手不足の解消や病虫害の早期発見、収穫量予測の精度向上が期待される。


現在は人手不足や専門的知識の継承問題などに取り組んでいるが、そのほかにもドローンで撮影した画像を解析し、生育状態が悪い株のみにピンポイントで肥料を散布することができれば、東京ドーム約6.6個分もある広大な畑の肥料コストの大幅な削減が期待される。また、解析したデータを各農作業機械やトラクターの自動走行と連動させることで、作業効率の向上や栽培コストの削減の見込みもある。

キューサイファーム島根の四橋さんは「ドローンはいろいろな可能性を秘めたツールだと思っています。稲作では取り組みが進み、既に実用化されていますが、ケール栽培においてはこれから私たちが発展させていく分野だと思っています。検証は最低1年はかける予定で、大変な作業ですが、この取り組みが成功して、人手不足や継承問題など、同じ課題をかかえている地域社会の課題解決の糸口になればと思っています」と語っている。

株式会社キューサイファーム島根 四橋 雅美さん

<参考URL>
キューサイ株式会社
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
パックごはん定期便