マイナビ農業、「ユーザーが選ぶ2020年注目の農業トピック」で「スマート農業」が1位に

株式会社マイナビが運営する農業総合情報サイト「マイナビ農業」にて、「ユーザーが選ぶ2020年注目の農業トピック」が発表された。


本調査は、「マイナビ農業」のユーザー385名に対して、2020年に印象的だった農業に関するトピックを調査し、集計したもの。

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から農作物の販路や消費者の需要などが大きく変わり、今までの農業に対する価値観が変わる1年となった。このような状況下、国内ではどのような話題に対して関心を抱いていたのかを調査しランキング形式にまとめている。

「ユーザーが選ぶ2020年注目の農業トピック」トップ5


※以下、マイナビ農業のレポートをそのまま掲載しています。


1位:スマート農業の導入続々 産地で大規模化、効率化の動きが加速(48票)
全国で導入が進むスマート農業(※1)が1位に。「スマート農業を取り入れたい」「ITの力で業務改善をしたい」といった生産者の声が多くありました。農林水産省は、2025年までに「担い手のほぼ全てがスマート農業を実践する」ことを目標に掲げており、期待の大きさを感じさせます。
※1 )スマート農業:ICTIoTロボット技術、AIなどを駆使することで、農作業を自動化・省力化する農業の手法。

2位:新型コロナで産直ECサイトの需要高まる(39票)
飲食店の営業自粛の影響で、卸先が減ってしまったため一気に広がった産直ECサイトが2位に。ECサイトでの販売額が前年比の1,000%以上となる例もあり、うまく販路を切り替えた生産者もいたようです。

同率2位:市民農園人気、野菜苗売上増(39票)
同率2位は市民農園(※2)人気。巣ごもり需要で趣味と実益を兼ねて始める人が急増しました。ホームセンターでは苗が品薄状態になるなど、その人気ぶりがうかがえました。
※2 )市民農園:農家でない方が小さな面積の農地を利用して、自家用の野菜や花を栽培する農園。自治体、農協、民間企業などが農園を開設していることが多い。

4位:農家の大規規模化が加速 常時雇用者も増加(33票)
後継者がいない高齢農業者が増加するなか、リタイアする際に近隣の農家に農地の引き受けを依頼することで、農地規模を拡大する農家が増えています。家族経営から法人化をして社員を雇用する農家もあり、新たな農業経営に注目が集まっているようです。

5位:数日で子豚160頭超が盗まれる 家畜、農作物、トラクターの盗難被害が相次ぐ(31票)
テレビでも報道され、農家だけでなく消費者からも怒りの声が集まった盗難被害が5位に。「真面目に働いている外国人労働者も多いなか、犯罪のイメージがついてしまうことも問題だと思う」という生産者の声も。

同率5位:コロナ禍で米が品薄、和牛と花は需要減。需給バランス変わる(31票)
農作物の需給バランスの変化が同率5位にランクイン。現在、深刻な米余りに転じており、「次年度の作付動向の情報が欲しい」という稲作農家の声も多く集まりました。

総評
今年は、新型コロナウイルスのパンデミックという未曾有の事態が起こり、社会情勢が一変したことが農業現場に大きな影響を与えました。飲食店の営業自粛、入国制限、輸出制限…あらゆる要因が生産者を苦しめた1年だったといえます。一方で、消費者の食への関心が高まり、「農家は『エッセンシャルワーカー(社会生活に欠かせない労働者)』である」という事を社会が再認識するきっかけになりました。

今回のランキングでは、多数のコロナ関連のトピックを抑えてスマート農業が1位という結果に。
暗いニュースが多かったからこそ、スマート農業のような明るい未来を感じさせるトピックに注目が集まったのではないでしょうか。
また、当社が運営する、農業を体験したい人と人手に悩む農家をつなぐマッチングアプリ『農mers(ノウマーズ)』の利用者も今年は大きく増加しました。都心に住む人が田舎暮らしや農業に興味を持ち始めるなど、新しい生き方、働き方のきっかけになったと感じます。

2021年は、予測不可能な時代を生きるために、考え、動き出す年になります。生産現場からは農政やJAの新たな施策が期待されています。また、民間企業の動きも加速するでしょう。
私たち『マイナビ農業』も、新たな選択肢を農業界に提供していきたいと考えています。

株式会社マイナビ 農業活性事業部 事業部長 池本博則氏

調査概要


『マイナビ農業』ユーザーが選ぶ2020年注目の農業トピック
調査方法:編集部が、今年注目された農業トピックを15項目ピックアップ。
その中から「マイナビ農業」ユーザーが、最も注目したトピックを択一式で回答。
アンケート方法:WEBアンケート
調査期間:2020年10月30日(金)~12月4日(金)
有効回答者数:385名


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マイナビ農業
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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