JAXA認定ベンチャー天地人が「宇宙ビッグデータ米」栽培に着手

株式会社天地人、株式会社神明、株式会社笑農和の3社は、宇宙技術を活用した農業を確立するプロジェクトとして「宇宙ビッグデータ米」の栽培に取り組むことを発表した。

農業人口の減少や耕作放棄地の増加、気候変動等を理由に将来の減収が予想されているコメの生産増を実現するための農業施策である。田植えは2021年5月に実施し、2021年中の販売を予定している。

 

ICTを活用した栽培と慣行栽培の検証を実施


日本のコメ生産は、農業人口の減少や生産者の高齢化、耕作放棄地の増加、将来の気候変動等を理由に、今後の供給力不足への懸念が指摘されている。農林水産省が2020年に実施した調査では、2015年に約176万人いたとされる農業就業人口が、わずか5年で約136.1万人まで減少したことが報告されている。

3社が取り組む「宇宙ビッグデータ米」の栽培は、そんな日本農業が直面する人的課題の解決と将来に起こりうる気候変動に対応する新たなブランド米の生産を目的にしたもの。

取り組みの内容は以下の通りである。

  1. 地球観測衛星データを活用した天地人の土地評価エンジン「天地人コンパス」を活用して、収穫量が増える圃場やよりおいしく育つ可能性のある圃場を見つける。
  2. 笑農和が提供する“スマホで簡単に水管理”ができるスマート水田サービス「paditch(パディッチ)」を活用して、適正な水温・水量を維持することで食味のよさと多収化を目指す。
  3. 生産した「宇宙ビッグデータ米」は、米穀事業を展開する神明の直営店「米処 穂」で2021年中に販売予定。

天地人コンパスで特定した同一条件の圃場を実証フィールドに、「paditch」などICTテクノロジーを活用した栽培と慣行栽培の2つの栽培方法を試して、食味や収量等の比較検証を実施していく予定だ。

土地評価エンジン「天地人コンパス」の紹介動画


株式会社天地人
https://tenchijin.co.jp/
株式会社神明
https://www.akafuji.co.jp/
株式会社笑農和
https://enowa.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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