日本産食品の放射線物質による輸入規制を米国が撤廃 規制国は14カ国に減少

農林水産省は2021年9月22日、米国による日本産食品の輸入規制が撤廃されたことを明らかにした。

輸入規制は、2011年に起きた東日本大震災により東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質の影響を鑑みての措置。米国食品医薬品局(FDA)による科学的根拠に基づき、撤廃となった。

日本政府の10年以上に及ぶサンプリングや、除染や監視措置を受けて、FDAが日本から輸入した農産物の米国民へのリスクが低いと判断した形だ。具体的には、市町村・区域で出荷制限措置が取られている品⽬(福島県等14県)について、⽶国は県単位で輸⼊を規制していたが、それらが輸入可能となった。福島県産のコメや原⽊シイタケなどが該当する。

米国は日本にとって第3位の日本産農林水産物・食品の輸出相手国であり、2020年の輸出額は1188億円にのぼる。国が掲げる2025年までに農林水産物食品の輸出額を2兆円、2030年に5兆円に増加させる目標を達成する上で、輸出拡大に大きな弾みとなりそうだ。

なお、東日本大震災ののち、55の国・地域が輸入規制を導入したが、今回の米国の規制撤廃により、14か国・地域に減少。政府として引き続き、規制撤廃に向けて働きかけを行っていくとしている。

日本産農産物の輸入規制状況(2021年9月現在)


輸入規制の状況


  • 規制撤廃
    カナダ、ミャンマー、セルビア、チリ、メキシコ、ペルー、ギニア、ニュージーランド、コロンビア、マレーシア、エクアドル、ベトナム、イラク、オーストラリア、タイ、ボリビア、インド、クウェート、ネパール、モーリシャス、イラン、カタール、ウクライナ、パキスタン、サウジアラビア、アルゼンチン、トルコ、ニューカレドニア、ブラジル、オマーン、バーレーン、コンゴ、ブルネイ、フィリピン、モロッコ、エジプト、レバノン、アラブ首長国連邦、イスラエル、シンガポール、米国
  • 輸入規制を継続(検査証明書を要求)
    インドネシア、仏領ポリネシア、EU等(EU27カ国、EFTA(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)および北アイルランド)、英国(北アイルランドを除く)、ロシア、
  • 輸入規制を継続(一部都県から輸入停止)
    韓国、中国、⾹港、マカオ、台湾

原発事故に伴い輸入停止措置を講じている国・地域(カッコ内は輸入停止品目)

 
  • 香港
    福島(野菜、果物、牛乳、乳飲料、粉乳)
  • 中国
    宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、長野(すべての食品、飼料)
    新潟(コメを除く食品、飼料)
  • 台湾
    福島、茨城、栃木、群馬、千葉(すべての食品(酒類を除く))
  • 韓国
    日本国内で出荷制限措置がとられた県(日本国内で出荷制限措置がとられた品目)
    青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉(水産物)
  • マカオ
    福島(野菜、果物、乳製品、食肉・食肉加工品、卵、水産物・水産加工品)
※ 中国は10都県以外の野菜、果実、乳、茶葉等(これらの加工品を含む)について放射性物質検査証明書の添付を求めているが、放射性物質の検査項目が合意されていないため、実質上輸入が認められている

米国食品医薬局(FDA)プレスリリース
https://www.fda.gov/news-events/public-health-focus/fda-response-fukushima-daiichi-nuclear-power-facility-incident
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応
https://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
米国の輸入規制措置の概要(撤廃前)
https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/sum_usa.pdf
米国の輸入規制措置の撤廃
https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/chiiki/attach/pdf/210922-2.pdf


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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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