東京農工大学、植物工場で生産したブルーベリーの冬季出荷に成功

国立大学法人東京農工大学と日本ガスコム株式会社は、荻原勲名誉教授が開発した通年生産技術と日本ガスコムのグループ企業であるアグリガスコム株式会社の植物工場を活用して生産したブルーベリーの冬季出荷に成功した。

東京都新宿区にある伊勢丹新宿店に出荷されたブルーベリー
出典:https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2021/20211203_01.html

連続開花結実法を開発


ブルーベリーの収穫時期は6月から9月の間で、冬の時期を迎える12月頃になると休眠期と呼ばれる時期に入るため通常は冬季に出荷できない。

研究では、荻原 勲名誉教授らが東京農工大学のキャンパスにある先進植物工場研究施設内に、春・夏・秋・冬それぞれの環境を再現できる部屋を設置して、ブルーベリーのライフサイクルを短縮する研究を実施。その結果、通常の4~5倍の収量が見込めて通年栽培が可能な連続開花結実法を開発した。

ライフサイクルの短縮化と高収化のシナリオ
出典:https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2021/20211203_01.html

連続開花結実の状況
出典:https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2021/20211203_01.html

この技術を社会実装するためアグリガスコムの植物工場(6000平方メートル)を利用して、連続開花結実法を誘導する温度、日照の制御を行ってみたところ、9月に花が開花して、11月に果実が成熟しはじめたそうだ。

アグリガスコムの植物工場
出典:https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2021/20211203_01.html

収穫したブルーベリーは伊勢丹新宿店で12月から販売を開始。両者は、高品質な国産のブルーベリーを安定的に供給できる環境を整備していくことで、「国内果樹生産の高度化に貢献したい」としている。


国立大学法人東京農工大学
https://www.tuat.ac.jp/
日本ガスコム株式会社
https://n-gascom.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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