自動抑草ロボット「アイガモロボ」を活用した無農薬酒米が一等米の評価を獲得

山形県米沢市の酒造メーカーである株式会社小嶋総本店の契約農家・寒河江一紀氏が水田向け自動抑草ロボット「アイガモロボ」を活用して生産した酒米「出羽燦々」が、2022年9月27日にJA山形おきたまで実施された米の等級格付検査で良品質を表す一等米の評価を受けた。

一等米の検査格付結果通知表を手にする寒河江一紀氏。

「アイガモロボ」は、有機米デザイン株式会社が開発したボート型の自動抑草ロボット。
水田の泥をかき混ぜながら自律航行して、太陽の光を遮断し、雑草の成長に必要な光合成を抑制するのが特長で、設定したルートを自動で航行する機能や電源用の太陽光パネルも備える。

設定したルートを自動で航行する「アイガモロボ」

目標とほぼ同じ数量の収穫量を確保


今回、一等米の評価を受けた「出羽燦々」は、有機米デザインが全国を対象に実施している実証実験の一環で生産された無農薬栽培の酒米である。

実証実験では、農薬や化学肥料を使用した慣行栽培が行われていた寒河江一紀氏の水田を対象に「アイガモロボ」を導入して、抑草効果の確認と検証を実施。

その結果、除草作業に掛かる労力を大幅に削減できたほか、目標(1260キログラム)とほぼと同じ数量(1230キログラム)の収穫量を確保することに成功したという。

2022年5月下旬に「アイガモロボ」を入水し、3週間稼働させた。

2022年8月下旬頃の水田の様子。
泥を掻き上げることでできた柔らかい土壌が栄養を行き渡らせ、慣行栽培よりも背の高い稲に成長した。

いもち病などの病気にも罹患したが、稲を部分的に刈り取るなどの対処で被害を最少に。

収穫期を迎えた「出羽燦々」。(2022年9月中旬頃)

稲刈りの様子。

JA山形おきたまで実施された等級格付検査の様子。

一等米の評価を受けた検査格付結果通知表。

実証実験のメンバー。(中央:寒河江一紀氏)

醸造は2023年の春頃の予定で、約1700本程度(720ミリリットル換算)の製造量を見込んでいる。


自動抑草ロボット「アイガモロボ」
https://www.ymd1122.com/press-room/aigamoprototype
有機米デザイン株式会社
https://www.ymd1122.com/
株式会社小嶋総本店
https://www.sake-toko.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
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