南房総市とココロマチ、起業&農業ビジネス実践講座「南房総2拠点大学2019」開催

2019年10月5日より、千葉県南房総市と地域プロモーションを手がける株式会社ココロマチは、南房総市でのナリワイづくりや起業をテーマとするローカルビジネス実践講座「南房総2拠点大学2019」を開催する。なお、同講座への申し込みは8月31日が期限となる。


南房総で「しごとづくり」に挑戦

千葉県の最南端に位置する南房総市。都内から約90分の立地にありながら、里山・里海に囲まれた昔懐かしい情景が残るエリアだ。

市域の広い南房総ではここ数年来、地域への移住をはじめ、サテライトオフィス、ローカルビジネスなどの多種多様な形で関わる関係人口が増加しつつある。地域住民による空き施設・古民家活用や就労支援などの動きも注目されている一方、同市では南房総・安房地域の特性や現状を踏まえながら、新たなフィールドで活躍する人材を必要としている。

これらを背景に2019年10月以降、同市は株式会社ココロマチとの共催により、南房総エリアの特長を生かしたローカルビジネスやナリワイづくりを学ぶ講座「南房総2拠点大学」を実施。期間中は、南房総市内と東京都内に拠点を置き、地域住民などの多様な主体とともに活動していく見通しだ。

昨年に続き2019年は、チームで学びながら民宿街再生や農業ビジネス、獣害ビジネスなどの企画を立案する「実践スタディコース(初級編)」と、一人でも始められる仕事づくりを学ぶ「ナリワイ的起業コース(中級編)」の2コースを同時開講する。

講師やプロジェクトリーダーをはじめ、OB・OGを招きながらプログラムを実践し、最終日にはチーム同士の発表を兼ねた「文化祭」も執り行う予定だ。

【「南房総2拠点大学2019」講座概要】
<講座日程>
第1回:2019年10月5日 10時〜19時 @南房総
(道の駅富楽里とみやま集合・解散予定)
第2回:2019年10月6日 10時~19時 @南房総
(道の駅富楽里とみやま集合・解散予定)
第3回:2019年10月23日 19時~22時 @東京
(HAPON新宿集合・解散予定)
第4回:2019年11月30日 10時~19時 @南房総
(道の駅富楽里とみやま集合・解散予定)

<参加費>
10,000円(昼食2回・市内交通費含む)

<実践スタディコース(初級)>
①民宿街再生
リーダー:富山地区地域団体「i.PLANNER」
②農業ビジネス
リーダー:株式会社代官山ワークス代表取締役/農業プロデューサー 丸山孝明氏
③獣害ビジネス
リーダー:合同会社アルコ代表取締役/館山市地域おこし協力隊獣害担当 沖浩志氏
④不動産・スペース活用
リーダー:株式会社ココロマチ代表取締役 吉山日出樹氏
イベント(文化祭)企画
リーダー:北条海岸ビーチマーケット企画運営メンバー/房日新聞社ライター 東洋平氏

<ナリワイ的起業コース(中級)>
推奨テーマ:域内交通/空き物件・不動産活用/商品開発/娯楽/ヘルスツーリズムなど
講師:仕事づくりレーベル「ナリワイ」代表 伊藤洋志氏
ゲスト講師:館山信用金庫経営支援部 溝口耕一氏

<申込条件>
全日程に参加可能であること

<申込締切>
2019年8月31日
※申込多数の場合は、応募内容に基づいた選考を実施し、通過者には9月上旬頃に別途連絡。

<申込方法>
下記フォームに必要事項を記入の上、送信する。
参加申込URL:https://forms.gle/wFPV2ZJhjve9MEJ97

<主催>
南房総市

<企画運営>
株式会社ココロココ編集部・合同会社AWATHIRD

「南房総2拠点大学2019」各コース・テーマ紹介

実践スタディコース(初級編)

①民宿街再生チーム
南房総市富山地区に広がる岩井海岸では、多数の宿泊所が立ち並ぶ民宿街を形成している。JR岩井駅から徒歩10分、高速バス停留所の富楽里からも程近いエリアでありながら、近年は海水浴客の減少や高速道路整備に伴い、年間を通して宿泊客が減少傾向にある。

これらの課題を踏まえ、「民宿街再生チーム」では岩井民宿街の活性化をテーマに取り上げ、恒常的な賑わいづくりや地域経済の活力向上に向けた取り組みを実施。チームリーダーである地元の地域団体「i.PLANNER」との連携を図りながら、民宿街再生における戦略プロジェクトやスペース活用についても学んでいく。

プロジェクトリーダー:富山地区地域団体「i.PLANNER」

②農業ビジネスチーム
農業は地方活性化を担う基幹産業として大きな役割を持ちながらも、成長産業へと飛躍させるためには各課題への解決が急務となる。高品質な農作物を生産するだけに留まらず、農業と産業を紐付け、物流・労働・販売といった農業ビジネス全体の理解と実践が必要だ。

「農業ビジネスチーム」では、南房総市の地域的特性を生かした農業について実践的に学んでいく。同市の圃場を実際に訪問し、農家の話を聞くフィールドワークを通して、チーム内で農業ビジネスモデルの企画立案などを行う計画だ。

プロジェクトリーダー:丸山孝明氏

③獣害ビジネスチーム
近年、南房総市が頭を抱えているのは、獣害による多大な農作物被害だ。21世紀以降に猪や鹿の数が急増し、農作物に甚大な被害を与えている一方で、それらを仕留める猟師は年々高齢化が進み、担い手不足も手痛い問題となっている。また、とらえた猪や鹿の活用方法としてジビエ肉が注目を集めていながらも、解体施設や流通の問題などの課題が多く、実用化・ビジネス化には至っていない現状がある。

「獣害ビジネスチーム」の取り組みとしては、南房総エリアの獣害問題や地域が抱えている課題について、実際に現場を見て学ぶことから始める。ひとことで片付けられがちな「獣害対策」と「狩猟」にも考え方としての根本的な違いがあり、どちらに重点を置くかによって、ビジネス企画の方向性も変わってくるとのこと。同市の課題を正しく理解した上で、短期的・中期的に講じる対策や、各方面でのビジネス化の可能性を探っていく。

プロジェクトリーダー:沖浩志氏

④不動産・スペース活用チーム
日本全国の各地域と同様に、南房総エリアでも人口減少や少子高齢化に伴い、空き家・空きスペースが年々増加。土地活用していない空き家の存在は、町の活気を低下させるばかりでなく、景観上・防犯上などの観点からも多様な問題を引き起こす。今後も拡大が予想される空き家問題に対して有効的な対策が求められる一方、これらの動きをチャンスととらえ、空き家売買や管理ビジネスなどを展開する企業が多数に上っている。

「不動産・スペース活用チーム」では、株式会社ココロマチが同市に保有する不動産を題材に、空き家・空きスペースを活用するまでのプロセスを学んでいく。そのほか、千倉白子エリアの山林を実際に現地で視察し、山林活用に適したモデルの企画・提案も同時に行う。

プロジェクトリーダー:吉山日出樹氏

⑤イベント(文化祭)企画チーム
facebookやPeatixなどのプラットフォームが発達したこともあり、現在では誰もが気軽にイベントやマルシェの企画・開催ができるようになった。その一方で、参加者や出店者、スタッフとwin-winの関係を築きながら、同時にイベントの収益面や内容面の充実を図ることは難しいとされている。

「イベント(文化祭)企画チーム」では、イベントやマルシェの開催に不可欠な企画・運営・収益化について学ぶ。具体的には、南房総2拠点大学の最終発表会でもある「南房総2拠点大学・文化祭(仮)」を題材とし、物販や展示、プレゼンなどの複数の要素から成るイベントをチームでつくりあげていく。

プロジェクトリーダー:東洋平氏

ナリワイ的起業コース(中級編)

「ナリワイ的起業コース」では、個人の関心や技術を南房総市の特性と掛け合わせ、自分自身を主体としながら、新しいナリワイづくりに挑戦する人材を募集。個人で取り組むテーマが見つからない場合でも、同市ならではの地域課題や地域資源をもとに、情報の収集・分析、企画の立案・実践まで、計画性を持って行動していく。なお、同コースの推奨テーマとしては、域内交通、空き物件・不動産活用、商品開発、娯楽、ヘルスツーリズムなどがある。

講師:伊藤洋志氏

ゲスト講師:溝口耕一氏


<参考URL>
南房総市
株式会社ココロマチ

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WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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