自動野菜収穫ロボット「inaho」が資金調達で量産開始 対応作物も拡大

自動野菜収穫ロボットを開発するinaho株式会社(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役:菱木豊氏/大山宗哉氏)は、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社、創発計画株式会社、株式会社ドフ、他複数の個人投資家からの資金調達を発表した。


自動野菜収穫ロボットを開発するinaho株式会社

inaho株式会社は、自動野菜収穫ロボットを活用したRaaSモデル*のサービス展開を進めている企業だ。

*Robot as a Serviceの略 ロボットメーカーとクラウドサービス企業による、必要な時に適切な費用のみでロボットが使用できるサービス

同社は、収穫など人の判断が必要とされる農作業のAI化や、ロボティクス化による取得データを用いて、人手不足や農業経営などの課題解決を目指す。
  1. 人がやらなくて良いことはテクノロジーで
  2. やりたいことができる時間をつくる
  3. 農業の未来を変える
上記3つのビジョンを掲げ、農業生産者に時間や選択肢、そして可能性を届けることをミッションに企業活動を行っている。

資金調達の目的

同社は今回の調達で、自動野菜収穫ロボットの製造及び対応作物の拡大と、高度なエンジニア人材の採用市場開拓、そしてアライアンス強化を目的としたマーケティング施策を講じていく方針だ。

現在の対応作物はアスパラガスのみだが、今後はキュウリやトマトなど人の目で判断しなければならない作物にも対応を広げ、また農家の高齢化や人手不足など、世界中の国々で起きている社会課題に対してもグローバルに対応できる企業を目指す考えだ。
さらに同社は、農業分野はもとより今後はそれ以外の分野でも、時間選択肢と可能性を届けるための挑戦を続ける。

資金調達先のコメント


伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 代表取締役副社長/パートナー 阿部 剛士氏

inaho社が事業を展開する日本の農業分野は「高齢化」「人手不足」という大きな課題に直面しています。同社のサービスは、農家の選択収穫プロセスにおける最も大きなペインである過酷な「人手による収穫作業」に対する即効性のあるソリューションとなり、人手不足と高齢化により農地を拡大できない、農業を続けられない農家の喫緊の課題を解決し、日本の農業の持続的成長に貢献できるものと期待しています。顧客農家の現場ニーズにきめ細かく対応しながらプロダクトを改良し、またデータ活用により新たな付加価値を創造し続ける同社は、農家と共に大きく成長すると確信し、今回出資させて頂くこととなりました。今後、ITVの持つリソース、ネットワークをフルに生かして支援して参ります。

創発計画株式会社 代表取締役 高野 元 氏

私のルーツは米農家ということもあって、高齢化が進んで衰退する一方の日本の農業に関心があり、機械化と大規模化が必要だと考えてきました。 inahoは、収穫ロボットという技術で人手の問題を解決しようとしています。またRaaSモデルはやる気のある農家の規模拡大を支援できると思いました。最新のAI技術を使った製品開発だけでなく、アグリコミュニケーターによる顧客開発を両輪で進めている点も魅力的です。 代表の菱木さんは以前からの知り合いで、こころの中から沸き起こる感情を大切にして、それに向き合うことのできる人だと感じてきました。そんな彼の周りに集まる才能ある仲間たちを応援したいと出資を決めました。

株式会社ドフ 代表取締役 齋藤太郎 氏

とあるベンチャーキャピタリストの友人が投資をする際の秘訣について「第一印象だけではなく、その人や事業が持つ本質を見極めることが重要だ」ということを言っていました。その時真っ先に脳裏に浮かんだのが菱木さんでした。ピッチコンテストに審査員として参加した際に、とにかく爽やかで、やんちゃな雰囲気の菱木さんの、目をキラキラさせて展開するプレゼンを聞いた時に「あぁ、この人がやっている会社を応援してみたいな」って思いっきり第一印象だけで好きになっちゃいました(笑)第一印象だけで終わらないよう、菱木さん率いる事業と仲間たちの挑戦が、きちんと結果を出して世の中を変える存在になることを心から祈念しています!

inaho株式会社のコメント


代表取締役 CEO 菱木 豊氏
間もなくサービスインを迎え、これから本格的な量産体制に入ってまいります。優秀な人材を採用し、開発と検証を繰り返しながら数台から数十台、数百台、数千台へと量産していくためのファーストステップとして、今回の資金調達を行いました。 現在、さまざまな野菜や果樹の生産者様から「ロボットの開発を早く進めて欲しい」と叱咤激励を受けております。今後のロボットの開発目標として、まずは対応作物の拡大を目指すとともに、我々のサービスを待ってくださっている多くの生産者様に、より早く、より優秀なロボットを提供するため事業を加速させます。日本の、そして世界の食糧事情を変革するサービスに成長させるべく、多くの方のご支援を頂戴できれば幸いです。

代表取締役 COO 大山 宗哉氏

多くの農家さんが、日々の収穫作業や雑草取りに「考える時間」を奪われています。どうやったらもっと美味しい野菜をつくれるか、どうやったらもっと収穫量を増やせるかを考える時間が欲しい、と皆さま悩まれています。 inahoのプロジェクトは、「人がやらなくて良い仕事はロボットがやる」を実現することで、人に選択肢と時間を生み出そうという野心的なプロジェクトです。 今回の資金調達を通じて、いよいよ事業はサービスを提供するフェーズに入ります。農家の皆さまの期待をしっかりと受け止めて事業を推進してまいります。

<参考リンク>
inaho株式会社
伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社
創発計画株式会社
株式会社ドフ
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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