TOWINGの高機能バイオ炭「宙炭」、農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業に採択

株式会社TOWINGは、農林水産省中小企業イノベーション創出推進基金事業(SBIR、フェーズ3基金事業:技術実証等)に採択されたと発表した。「高機能バイオ炭の大規模製造プロセスの開発および大規模農地実証」をテーマに技術実証を行っていく。

高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」で育ている作物の様子

高機能バイオ炭「宙炭」の商用化に向けた取り組みを開始


TOWINGは、名古屋大学発のアグリテック企業。温室効果ガス排出削減と化学肥料削減を実現できる土壌改良剤「宙炭(そらたん)」を開発し、2023年6月にはJ-クレジットの方法論のひとつである「バイオ炭の農地施用」で承認を受けている。

「農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業」は、農林水産省が造成した「中小企業イノベーション創出推進基金」を活用し、日本のスタートアップ企業が有する先端技術の社会実装促進を目的に行われたもの。111件(139社)の応募の中から、TOWINGの取り組みを含む25件(29社)のプロジェクトが採択された。

気候変動の影響が顕著となっている昨今では、世界的に温室効果ガス削減への関心が高まっており、2050年に向けた目標が掲げられている。日本においても「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け取り組みが強化され、農業では水田における中干し延長や不耕起栽培など、さまざまなアプローチが検討されているという。

同社が取り組むバイオ炭は、未利用バイオマスの活用による循環型社会の実現に有効とされているが、従来のバイオ炭では土壌酸性度が過剰に上昇する問題や、高コスト等の問題により農業生産者に積極的に活用されていないのが現状だ。

そこで同社は、もみ殻等の農業残渣、茶殻・コーヒーかす等の食料・飲料加工残渣、バークや竹など木質由来の残渣など、100種類以上の未利用バイオマスを使用した高機能バイオ炭「宙炭」を開発。散布時の過剰な土壌酸性度上昇を回避できるよう設計されていて、有機肥料の利用効率向上による化学肥料削減効果、土壌病害菌の繁殖抑止効果を確認しているという。

今回の事業では、「高機能バイオ炭の大規模製造プロセスの開発および大規模農地実証」をテーマに、商用化フェーズに移行させるための技術実証を行っていく。具体的な取り組み内容は以下の通りだ。

1.高機能バイオ炭の大規模製造プロセスの開発
多様なバイオマス原料の活用に向け、高機能バイオ炭の製造ばらつきを抑制し、歩留まりの高いプロセスを開発・確立。炭化条件や微生物培養時の環境制御条件の最適化を行いながら、低コストなプラントを開発し、運用モデルの確立までを実施する。

2.高機能バイオ炭の大規模散布・栽培実証による効果定量化
飲料・食料残渣などを原料とした高機能バイオ炭での検証を行う。既存農機を活用した散布手法の確立も行い、産地への導入手法の定着を目指す。

3.高機能バイオ炭製造・施用プロセスにおける、温室効果ガス排出削減効果の最大化
高機能バイオ炭の製造プロセスで生じるエネルギーの再利用や、製造プロセス・農地への施用プロセスの最適化を行う。また、未利用バイオマスを高機能バイオ炭として加工・製造し、農地に施用されるまでの一連のライフサイクルにおける温室効果ガス排出削減効果について、定量化・最大化を目指す。

同社はこれらの取り組みを実現させるため、九州や北関東を含む最大3拠点の大規模量産試作プラントを建設する予定だ。また、同事業を通じて高機能バイオ炭の大量生産モデルや、大量生産した場合のコストおよび製造プロセスを確立し、農業生産者の収益向上や農業における温室効果ガスの排出削減効果の最大化を目指していくとのこと。


株式会社TOWING
https://towing.co.jp/
農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金)
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/231228.html
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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