新潟県関川村とオプティム、「自動飛行ドローンによる打込み条播」の実証を公開

新潟県関川村は2022年5月17日、村内の圃場ドローン水稲直播の実証見学会を開催。株式会社オプティムが開発した直播装置を搭載する自動飛行ドローンを用いて、40aの圃場に約1時間でコシヒカリを直接播種した。

実証に使用した直播ドローン。XAG社のドローンにオプティムの直播ユニットを搭載

自動飛行で条を作りながら直接播種


今回の実証を主催したのは、関川村農業DX推進協議会。関川村、JA岩船農業協同組合、新潟県農業共済組合、関川村土地改良区などの農業機関が協力し、新潟県の指導・協力を受けて2022年5月6日に設立された。その協議会事業の第一弾として、ドローンによる水稲直播事業に取り組む。

稲の直播技術は、育種と移植の作業時間の削減、播種の時間効率の改善による収穫時期の調整、田植機のコスト軽減などの目的から、さまざまな手法が開発されてきた。

中でも、ドローンによる播種はこれまで、単に種籾を撒くだけの「散播」が一般的だったが、オプティムの大澤氏は、「生育ムラの防止とコンバインによる収穫作業のしやすさなどを考慮し、一般的な田植機と同様に条を作ることが現場の生産者から求められた」と、4条直播できるドローンを開発した経緯を説明する。

種籾を打ち込んだ圃場の様子
このドローン直播技術は、石川県農業試験センターと一緒に開発し、同社が行う「スマートアグリフードプロジェクト」に参加している生産者とともに研究・開発を進めてきたもの。最新モデルは種の詰まりや飛行精度なども改良され、同社が実施している2022年産の「スマート米」の栽培にも全国各地で使われている。

参考:自動飛行ドローンによる水稲直播 × AI解析ピンポイント農薬散布に世界で初めて成功!【石川県×オプティムの取り組み 前編】
https://smartagri-jp.com/smartagri/1049
「自動飛行ドローン直播技術」をわずか2年で開発できた理由【石川県×オプティムの取り組み 後編】
https://smartagri-jp.com/smartagri/1078


オプティムの大澤氏
具体的には、独自開発した直播ユニットに4つの射出口を設けて、一度の飛行で4条を作りながら播種していく。単に散播するだけではなく、種籾を打ち込むように射出することで、代かきした圃場にしっかりと種籾を埋め込み、鳥などに食べられてしまう被害も最小限に抑えている。

オプティムオリジナルの直播ユニット

栽培地域を問わず労力も軽減できる、期待の直販技術


今回、実証を行った圃場の生産者は、「これまで乾田直播を推進してきましたが、ドローン直播なら田植機などが入りにくい山間地や狭小な圃場でも播種できます。代かきするだけであとはドローンで撒けるので簡単ですし、雪深い関川村では育種のためのハウスも不要になります」と、ドローン播種のメリットを語る。

関川村 村長の加藤弘氏は、「関川村をスマート農業の先進的な自治体として、実証も含めて推進していきたい」と、農業DX協議会の取り組みに意欲を見せた。

関川村の加藤村長
協議会では、ドローン直播事業について秋にも実証成果をまとめる予定。また、8月中旬には、農家の省力化と敵機防除システムの構築を目的として、ドローンによる水稲共同防除事業を実施する。こちらはオプティムが提供する「ピンポイントタイム散布」サービスをもとに、協議会として村内の生産者と一緒に進めていくという。

自治体レベルで播種や防除を取りまとめる例はまだまだ少ない。自治体とJAが地域の生産者をまとめ、より低コスト化、省力化できるスマート農業を推進する事例として、協議会の今後の展開が注目される。


関川村
http://www.vill.sekikawa.niigata.jp/
ピンポイントタイム散布
https://www.optim.co.jp/agriculture/services/pts

SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。