正しい研ぎ方は?虫がついたらどうする?ごはんソムリエの【お米を楽しむQ&A】

料理研究家でごはんソムリエの秋元です。この連載ではお米をおいしく食べるために“知っておくと役に立つお話”やレシピをお伝えしています。

今回は、お米の「賞味期限」ってあるの?虫がついてしまったけど食べて大丈夫?どこまで研げばいいの?といった、「お米のちょっとした疑問」にQ&A形式で答えていきます。


Q1.賞味期限はなぜ書いていないの?

A.農産物なので「精米年月日」が表示されます。


「賞味期限」や「消費期限」は、スーパーなどでお買い物をする時に必ず目にする表示ですよね。しかし、いざ米袋を見ると書かれているのはどちらでもなく「精米年月日」

なぜかというと、これらは“加工食品“に記載される表示だからです。お米は法律上農産物の扱いになるため、きゅうりやキャベツなどのお野菜に賞味(消費)期限が書かれていないのと同様に表示がないのです。

表示はありませんが、お野菜同様に保存の仕方でカビが生えてしまったり、状態は変化していきます。最適な保存法で美味しく召し上がってください。


Q2.お米はどうやって保存すればいい?

A.密閉した容器に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。


買ってきたお米を米袋に入れたまま保存していませんか? 密閉されているように見える米袋には、実は小さな穴が開いています。この穴は運送や陳列の際にパンクを防ぐための空気穴です。

お米は空気に触れることで酸化し、乾燥により水分が減って割れやすくなり、食味が悪くなります。15℃以下で保存することで、カビ、害虫の発生も抑え、酸化もゆるやかになりますので、「密閉した容器に入れ(食品保存袋などでもOK)、冷蔵庫の野菜室に入れて保存」してください。

私が実践している具体的な方法はこちらでご紹介しています。
ごはんソムリエが教えるお米のおいしい炊き方&保存法


Q3.お米に虫がついてしまったが、食べて大丈夫?

A.取り除くことで食べられますが、アレルギーが心配な方は注意しましょう。


保存していたお米に発生する主な害虫は、取り除くことで食べることはできます。しかし、大量に発生した場合には食味も落ちていますし、アレルギーが心配な方には食べることをおすすめできません。

発生しないよう保存することが一番大切です。清潔な容器や保存袋に密閉して入れ、害虫が活動しにくい15℃以下で保存しましょう。


Q4.新鮮なお米とは? 精米したてのお米を買うべき?

A.鮮度という点では「精米日」も大切です。


お米は一年に一度収穫される農産物です。新鮮なお米という言い方をすれば、まずは新米がこれに当たるでしょう。そして、お米は常温で長期保存すると、酵素の働きが弱くなり細胞壁も硬くなるため食味が落ちます。

酵素の働きが失われると、炊飯してもでんぷんやたんぱく質の分解が行われず旨みや甘みが出てこなくなったり、ふっくらと炊き上がらなくなってしまうのです。古米臭が出て香りが悪くなるのも食味が落ちる一因です。

精米すると品質の低下が早くなるので、鮮度という点では「精米日」も大切なポイントになります。精米日を確認し1カ月で食べきれる量を購入するのがおすすめです。


Q5.新米はなぜおいしいの?

A.収穫されたばかりで細胞壁がやわらかく、ふっくらと炊き上がるためです。


秋頃からお米の袋に「新米」のシールが貼ってあるのを見かけますよね。この表示は、お米が生産された年の12月31日までに精米・包装されたものに表示できるものです。新米は細胞の壁はまだ硬くなっていないため、軟化するのも早く、ふっくらと炊き上がります(水加減を控えめにするという理由もここにあります)。

保存状態によっても大きく変わりますが、時間の経過とともにお米の酵素の働きが弱まり、甘み・旨みも弱まってしまうのです。


Q6.無洗米は白米とどう違うの?

A.無洗米は“肌ぬか”を除去したお米です。


洗わずにそのまま炊飯できる「無洗米」。私もキャンプの時には、計量済みパックの無洗米を必ず持って行きますが、普通の白米と何が違うのかご存知ですか?

白米には、通常の精米装置では取り除くことのできない“肌ぬか”という粘着性の高いぬかが残っています。お米を洗うのは、この肌ぬかを取るためですが、無洗米は特別な精米装置によって肌ぬかを完全に除去したお米です。

ぬかやタピオカでんぷんの粘着性を利用して取り除く方法の他、表面をブラシ布で磨く、水洗いして乾燥させるなどの方法があります。

白米より多く削るためお米の粒は若干小さいので、炊飯器に無洗米コースがない場合には、水を少し多めに炊くのがポイントです。


Q7.研ぐときに水が白く濁るけど、どこまで研げばいいの?

A.水が完全に透明になるまで洗う必要はありません。


精米技術が進歩したため、現在ではお米を「研ぐ」ではなく「洗う」というのが一般的になりました。

お米を洗う時に水が白く濁るのは、お米の細胞壁が破れてデンプンが流出しているからです。これは汚れではないので、完全に水が透明になるまで洗う必要はありません。とても割れやすい品種もありますので、表示を確認の上、正しい洗米方法に従ってください。

【正しい洗米方法】
1.1回目は米を入れたボウルにたっぷり水を入れ、手早くお米をかき混ぜさっと捨ててぬかやゴミを流す。
2.指を立てて10〜20回かき混ぜ、再びたっぷりの水を加えサッと混ぜ捨てる。
3.2をもう1回。
4.最後にたっぷりと水を入れ、ざるに上げて1分ほど水切りする(長い時間ざるに上げておくと乾燥してお米が割れやすくなります)。
※1〜3を3分程度でさっと行うこともポイントです。



■新米もいよいよ登場、安心・おいしい「スマート米」

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、先進のIT技術を利用し、農薬や肥料の使用量を最小限に抑えて育てたお米です。特別栽培米や残留農薬不検出のお米も。各地のおいしい銘柄をラインナップしています。白米と同じように手軽に炊ける無洗米玄米もあります。お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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