白米・玄米・胚芽米・雑穀米それぞれの違いやどんな人におすすめ?【管理栄養士コラム】

管理栄養士の大槻万須美です。

主食にしているお米ですが、白米だけでなく玄米、胚芽米、雑穀米と、実は種類が豊富で、それぞれに特色があるのをご存知ですか?

どんな栄養素を含み、どんな味や食感を持ち、どんな人におすすめなのか、特徴をまとめてみました。


「白米」おいしく誰でも食べやすい


白米は、収穫されたもみから、もみ殻、米ぬか、胚芽を取り除いたもので、胚乳の部分だけを食すものです。主成分は糖質である「でんぷん」ですが、たんぱく質も6%ほど含まれています。

白米の特徴はなんと言っても食べやすさと消化効率の良さ。水加減や調理によりおかゆやペースト状にもなりやすく食感もやわらかです。脂質や食物繊維が少ないため、離乳食や介護食にできるほど、胃腸に負担をかけずに栄養素を摂取することができます。

いろいろな種類の銘柄があり、好みに合わせて選びやすいといった長所があります。

味もクセがないため、さまざまな料理にあわせやすく、冷めても食べやすい、傷みにくいといった理由からお弁当にも向いています。

浸水時間も30分程度ですみ、調理もしやすいといえるでしょう。無洗米も多く出回っており、忙しい現代人にはぴったりの主食ですね。

一方で、製造過程でぬかと一緒に取り除かれてしまっている栄養素があるという側面もあります。玄米などと比べるとビタミンB1などのビタミン類とミネラルが少ないため、おかずで意識的に摂取したり、玄米や雑穀とブレンドして栄養価をアップさせたりすると良いでしょう。

▼白米と玄米のブレンド方法はこちら
<白米と玄米を混ぜて炊く方法>おいしい水加減や浸水時間は?

「玄米」ビタミンや食物繊維など栄養価が高い


玄米は、もみからもみ殻のみを取り除いたもので、基本的には米ぬかや胚芽を残した状態になっています。

白米と比べると、玄米は、ビタミンB1・B6、マグネシウム、カルシウムなどのビタミン・ミネラルや食物繊維などが多く含まれています。

栄養価が高い一方で、ぬかくささが苦手な人や消化しきれない人もいます。食べ慣れていない人が突然大量に食べると、お腹を壊したり胃もたれや便秘などになってしまったりすることも少なくありません。

現在では、無洗米やロウ層をカットしたもの、短時間浸水でOKな加工をしているような玄米も出回っており、比較的食べやすいものが多くなっています。消化の悪さは、しっかりと時間をかけて浸水させることやよく噛んで食べることである程度解消することができます。

玄米をわずかに発芽させた「発芽玄米」も、食べやすい玄米の一つです。

発芽玄米は、玄米でありがちな食べにくさや消化の悪さなどが解消されているうえ、リラックス効果や高めの血圧を安定させるなどの働きがあるといわれている「GABA(γ-アミノ酪酸)」という成分が大幅にアップすることでも注目されています。

GABAは、白米や玄米にも含まれていますが、発芽玄米では、白米の10倍、玄米の2~3倍にも増加するといわれているのです。

玄米のもつ栄養価の高さは、健康保持やダイエットにも最適と言われており、便秘の解消や不定愁訴の改善でも知られています。ゆっくりと時間をかけて食事をとることができる人におすすめですよ。

▼発芽玄米の作り方はこちら
発芽玄米とは?おうちで発芽させる方法・炊飯器での炊き方を紹介【管理栄養士コラム】

「胚芽米」玄米より食べやすく白米よりも栄養豊富


胚芽米とは、特殊な精米技術で玄米の胚芽が8割以上残るようにぬか層を削り取っているお米です。精米の程度を調整している「分づき米」とは異なります。

ビタミン・ミネラルや食物繊維といったお米の栄養素は主にぬか層や胚芽部に含まれているため、玄米と比べると多少栄養価は落ちますが、ぬかのにおいや独特の食感がやわらいでおり、白米の食べやすさと玄米の栄養価の高さ、両方をとったような魅力があります。

白米と比べると、糖質をエネルギーに変換するビタミンB1をはじめとしたビタミンやミネラルなどあらゆる栄養素において高くなっています。さらに、自然とよく噛んで食べるようになるため、満腹中枢を刺激してダイエットに役立つばかりでなく、リラックス効果や免疫力アップなどの作用が期待できます。

玄米は苦手でハードルが高いけど、白米よりも栄養価をアップさせたい、という健康志向の人に向いています。玄米よりは消化されやすいので、子どもでも噛む力がついていれば、様子を見ながら少しずつ試してみることもできますよ。

「雑穀米」手軽に栄養価をアップできる


雑穀米は、いろいろな雑穀を白米に混ぜて炊いたものをさします。一般的に売られている雑穀はブレンドされたものも多く、アワ、ヒエ、キビ、ハトムギ、モチムギ、キヌア、アマランサスなどの雑穀や、赤米、黒米などの古代米、さらにはごまや、黒豆・小豆などの豆類が加えられている場合もあります。

雑穀の種類により栄養価は異なりますが、ビタミン・ミネラル・食物繊維のほか、ポリフェノールやGABAなどを多く含む雑穀もあります。

お米1合に対して大さじ2杯程度を混ぜて炊くだけなので、手軽に栄養価もアップできるというわけです。

白米をベースとしているため、比較的食べやすいのが特徴ですが、雑穀の種類によっては炊きあがりのにおいや色が気になることもあるかもしれません。

ブレンドされている雑穀の種類や量も商品によって異なるので、いろいろと探してみると食べやすいお気に入りが見つかるかもしれません。どれがよいのかわからない場合は、種類が多く入っているものを選ぶのも良いですが、味が混ざりあい、おいしさがわかりにくいことも。1種類ずつの分量もおのずと少なくなってしまうことから、ピンポイントに1種類の雑穀を選ぶのもおすすめです。

雑穀は白米に比べると消化があまり良くないので、小さい子どもや年配の人は様子を見ながら少しずつ取り入れることとしっかり噛んでたべることが大切ですよ。



おすすめのお米

  • 白米……おいしく消化にいいお米を食べたい方
  • 玄米……栄養価を重視する方
  • 胚芽米……玄米は苦手だけど栄養価は気になる方
  • 雑穀米……いつもの白米の栄養価を手軽にアップさせたい方

このように、ひと口にお米といってもそれぞれに特徴があります。

おいしさや消化吸収重視の白米や、高い栄養価の玄米、白米と玄米の中間の特徴をもつ胚芽米や、混ぜるだけで栄養価をアップさせられる手軽な雑穀米など、お好みや家族構成などに合わせて試してみるといいですね。

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。


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お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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