発芽玄米とは?おうちで発芽させる方法・炊飯器での炊き方を紹介【管理栄養士コラム】

管理栄養士の大槻万須美です。

発芽玄米」のこと、どのくらい知っていますか?

「玄米を発芽させたもの……?」「玄米より食べやすくなると聞いたことがある」など、知っているようで知らない発芽玄米について、自宅での発芽玄米の作り方やおいしい炊き方などを解説します。

お茶碗の発芽玄米

こんなに栄養アップ! 発芽玄米の栄養素


発芽玄米とは、文字通り、玄米をわずかに発芽させたもの。スプラウト(発芽野菜)が話題になったように、植物の種子が新芽を出すときには、栄養素が凝縮されるとともに、新たな栄養成分が生まれ、玄米以上に栄養価が高まった状態になるといわれています。

玄米は白米に比べると、ビタミンB1・B6、マグネシウム、カルシウムなどのビタミン・ミネラルや、たんぱく質、食物繊維が豊富ですが、さらに、発芽することで「GABA(γ-アミノ酪酸)」という成分が大幅にアップすることが注目されています。

GABAは、白米や玄米にも含まれている成分ですが、発芽玄米では、白米の10倍、玄米の2~3倍に増加するといわれています。

GABAには、

  • リラックス効果・ストレス軽減
  • 脳の働きを活性化
  • 中性脂肪の増加抑制
  • 高めの血圧を安定させる

などの働きがあるといわれており、さまざまな機能性表示食品に活用されている上、血圧高めの方に適した特定保健用食品(トクホ)の保健効能成分(関与成分)としても知られています。

さらに、玄米でありがちな食べにくさや消化の悪さなどが、発芽玄米になることで解消されやすくなっています。

これは、玄米が発芽する際に酵素が出ることで栄養価が増加するだけでなく、玄米に含まれている糖質やたんぱく質が分解されて甘みが増すとともにうまみが増幅するためであるとされ、発芽する際にぬか層もやわらかくなり、消化吸収されやすくなると考えられます。

▼もっと詳しい情報はこちらのページをチェック
胚芽米、発芽玄米の栄養は玄米、白米とくらべてどう違う?

おうちで発芽玄米を作る方法


発芽玄米は、スーパーマーケットなどでも手に入れることができますが、実は玄米を原料として簡単に自分で作ることもできるんです。

高価なイメージの発芽玄米ですが、少量から自分で試せるとなると、ぜひチャレンジしてみたいですよね。

発芽玄米の作り方をご紹介しましょう。

浸水中の玄米▲浸水中
1.準備した玄米を計量し、ボウルや蓋つきの容器に入れて洗います。
無洗米の場合はさっとすすぐ程度でOK。初めての場合はⅠ~2合から始めるのがおすすめです。

2.ひたひたの水に浸水させます。少なくとも朝晩や昼間は数時間ごとに水を入れ替えます。
それ以外にも水ににごりや泡が出てきたらすぐに水を替えるようにしましょう。水を替える際、容器をゆすってお米を空気に触れさせるようにするのもポイントです。

玄米と発芽玄米▲普通の玄米(左)と 発芽した状態(右)
3.夏なら1~2日程度、冬は2~3日程度常温で浸水させると、胚芽の部分の先がとがり、角のようなものが見えるようになります。
水温により発芽するまでの時間に多少の差があるので、状態を確認しながら浸水時間を調節しましょう。すべての玄米が発芽状態になっていなくても大丈夫です。


浸水後の発芽玄米▲浸水終わり
4.炊飯前に浸水させていた水をすて、さっとすすいでざるにあげて準備が整います。

※ 夏場など室温が高くなる時には、時間が長くはなりますが冷蔵庫で浸水させるのが衛生的です。においが出てきていたら菌が繁殖していることも考えられます。冷蔵庫でも過信せずに、こまめに状態を確認しましょう。

発芽玄米の炊き方&保存方法


炊飯後の発芽玄米▲炊きあがり

発芽玄米の炊き方


発芽玄米はしっかりと浸水が終わっています。水加減は1合あたり220ml前後ですが、お好みで水を増減させて炊いても良いでしょう。炊飯器の目盛りを目安にする場合は、 お米の量に対して、通常の目盛りと次の目盛りの中間あたりが適度な水加減です(お米の量が2合であれば、2合と3合の目盛りの間)。こちらもお好みによって増減させてくださいね。

ひとつまみの塩を加えると、皮がやわらかくなったり、アクが抜けやすくなったり、玄米特有の香りが和らいだりと、さらに食べやすくなります。

炊飯器で炊く時は「玄米モード」がおすすめですが、「白米モード」でも炊くことができます。炊き上がった時に「カニ穴」と呼ばれる大きな穴が開いていれば大成功。カニ穴はごはんがおいしく炊けた印です。

炊きあがった発芽玄米は、よく噛んで食べることが大原則。玄米と比べて消化が良くなっているとはいえ、食物繊維も豊富で、食べ慣れていないとお腹に負担がかかる場合があります。いつもよりも時間をかけて食べるようにすると安心です。

白米と混ぜて炊いたり、白ごはんと合わせて食べるのもおすすめです。

発芽玄米の保存方法


発芽玄米のごはんも、白米のごはんと同様に冷凍保存することができます。一般的に発芽玄米ごはんは白ごはんよりも傷みやすいといわれています。炊飯器で保温状態にしておくのではなく、冷蔵庫や冷凍庫で保存するようにしましょう。

冷凍する場合は、1回に食べる分量を、炊き立ての熱いうちにラップや保存容器に小分けしてふたをし、粗熱をとってから保存しましょう。金属製のバットなどにのせると急速冷凍ができ、よりおいしく保存することができます。


玄米にチャレンジしてみたいけどハードルが高い、という人にも発芽玄米はおすすめです。ダイエットはもちろん、食べ過ぎたときのリセットなど短期間でも試してみてはいかがでしょうか。

▼圧力鍋・普通の鍋を使用して炊く場合はこちら
おうちで簡単にできる!栄養満点の発芽玄米の作り方をくわしく解説
▼発芽玄米のスイーツアレンジ
レンジでかんたん!「発芽玄米の手作り大福」【ごはんソムリエの玄米レシピ】

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。 

■発芽玄米を作るなら、あんしん・安全な玄米を選ぼう!


「発芽玄米」をおうちで玄米から発芽させたいと思ったときに気になるのが農薬の問題です。

お米に残留農薬がある場合、農薬は油に溶けやすい性質があるため、7割〜8割は脂質が多いぬかや胚芽の部分にたまるとされています。ぬかや胚芽は精米すれば取り除かれる部分ですが、それらが残ったままの玄米で食べる時には少し気をつけたいところ。

玄米を選ぶ時には、「農薬残留検査」をしっかりした商品を選びたいものです。

全国各地のこだわりの農家さんとつくっている「スマート米」は、AI・ドローンなどを用いて農薬の使用量を抑えて育てたお米です。

スマート米は、玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米、農林水産省ガイドライン「節減対象農薬50%以下」のお米、そして「特別栽培米」もお選びいただくことができます。

各地の人気銘柄から、あまり見かけない貴重な銘柄をラインナップ。
お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。



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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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