日本人のお米離れが進んでいる? お米の消費拡大のために行われている取り組みを紹介

日本人の主食といえばお米ですが、国民1人当たりの消費量は減少し続けているというのをご存知ですか? 米離れが加速していると言われている日本のお米事情はどうなっているのでしょうか。

この記事では、日本の米消費がなぜ減少しているかをはじめ、消費拡大のために行われている取り組みを紹介します。


米の消費量の現状は?


国民1人が1年間に食べているお米は、1962年の118.3kgをピークに年々減少していて、2022年では50.7kgと約半分の消費量となっています。ここまでお米の消費が減少している理由には、食生活の多様化、少子高齢化、世帯構造の変化などさまざまな要因が挙げられ今後もさらに加速していくと考えられています。

一方で、手軽に食べることのできるコンビニなどの中食や外食などでの消費は増加傾向にあり、米消費の3割程度がそれらで消費されていることもわかっています。

これには、共働き家庭や単身世帯の増加から、料理に時間をかけない人が増えてきていることが大きく関係しています。また、ご飯と比べて手間がかからないパンや麺類が選択されることも多く、主食の多様化も原因の一つです。

日本人にとっての米の重要性とは



お米は私たちのエネルギー源となるだけでなく、正月にはお餅、祝い事では赤飯というように、昔からある年間行事には必ずと言っていいほどお米を使用した食べ物を口にしています。また、おせんべいや日本酒など日本人にとってなじみ深い食品の原材料としても欠かすことのできない存在です。

食文化の基礎としてここまで根付いた理由には、梅雨があり夏は熱帯地域と変わらないほどの気温になるなど日本の気候が米の栽培に適していたからと考えられています。

食料を輸入に頼っている部分が大きい日本ですが、お米に関してはほぼ100%に近い自給率を維持していることから食料安全保障の要ともされていて、気候変動による生産減少など不測の事態に対応するためにも不可欠な作物だと考えられています。

米の消費拡大のために行われている取り組み


お米の消費量を上げることは食料自給率の向上はもちろんのこと、日本の食文化を継承するという意味でも重要な課題です。ここでは、実際にどのような取り組みが行われているのかを紹介します。

米飯学校給食の推進


農林水産省では、米の消費拡大や食育という観点から小中学校で米飯給食の提供を推進しています。

主な取り組みとしては、ご飯に合う和食の献立開発やセミナーをはじめ、米飯給食の回数を増やした学校に対して政府備蓄米の無償交付が行われています。

米の健康効果についての普及・啓発


農林水産省補助事業として2021年12月18日に「米と健康」をテーマにしたシンポジウムが行われ、玄米の科学的根拠に基づいた健康効果や脳機能に効果のあるGABAが多く含まれた「高機能玄米」の存在など、玄米やお米の持つ可能性が示されました。

また、健康に配慮した「機能性米」の研究に取り組む秋田県立大学では「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」を多く含むお米「まんぷくすらり」を開発。レジスタントスターチとは、穀物やイモ類などに少量含まれているでんぷんの一種で、糖尿病などの生活習慣病予防やダイエットに役立てることができると注目されています。

「まんぷくすらり」は、通常のお米のように炊いて食べると、性質上、食感の硬さが気になるという意見もありますが、きりたんぽや味噌などに加工した商品を開発し、違和感なく食べられるように工夫しています。

新しい品種の開発


農業や食品に関する研究を行う農研機構では、全国6か所の研究機関でお米の品種開発が行われています。研究では食味がいいお米の品種開発はもちろんですが、健康志向に対応するお米や特定の料理に向いたお米など、さまざまな用途に合わせた品種が誕生しています。

健康志向に対応した品種
・恋あずさ、金のいぶき
一般の品種と比べて胚芽部分が大きく、GABAを多く含む。

料理に適した品種
・和みリゾット
歯ごたえがあり粘りが少ないのでイタリア料理のリゾットに適している。
・笑みの絆
ほどよい硬さとほぐれやすさが特徴で寿司に適している。

産地と外食事業者とのマッチング


全国農業再生推進機構は、農林水産省補助事業として需要が拡大しつつある中食・外食向けの実需者と生産者の米マッチングイベントを開催しています。2020年度はコロナ渦ということもありオンラインで商談会が実施されました。売り手121団体、買い手306社が参加する中、健康食品メーカーやレストランチェーンとの契約栽培が決定したという事例も。

また、2021年には業務用米の栽培に意欲のある生産者と実需者を繋ぐためのツールとして「業務用途米マッチングサイト」を構築しています。

米粉の普及・輸出拡大


健康志向からグルテンフリーの食品が注目され、米粉の需要が高まってきていることを受け、さらなる普及に向けて「ノングルテン米粉の製造工程管理JAS」が制定されました。これは、米粉の製造工程でグルテンの混入を防ぎ、製品に含まれるグルテンの含有量が1ppm以下になるように管理するためのものです。

欧米では20ppm以下がグルテンフリーの認証基準として主流のため、それよりもかなり低い含有量であることや、味・食感の良さといった日本産の米粉の品質の高さから輸出拡大にも力を入れています。


お米は私たちの生活や文化に欠かせないだけでなく、有事の際の食料としても重要な存在です。また、水田は一時的に雨水を貯留するという機能もあるため、洪水や土砂崩れを防ぐといったことにも繋がります。お米の消費が減れば、当然お米を作る農家も減少し、水田を守っていくことも難しくなってしまいます。

私たち消費者ができることといえば、お米をできるだけ食べることです。ご飯として食べる以外にも米粉を利用したパンやお菓子なども取り入れながらお米消費の回復に貢献していきましょう。

農林水産省「米をめぐる関係資料」(pdf)
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/210729/attach/pdf/index-10.pdf
「医療同源・玄米で健康シンポジウム」
https://genmai-health.com/
農林水産省「秋田県立大学が開発した新品種米」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2110/univ01.html#main_content



■スマート農業で農薬を最小限に抑えた「スマート米」


毎日食べるお米は、子どもや家族みんなにあんしんな商品を選びたいですね。

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、AI・ドローンなどを利用し、農薬の使用量を最小限に抑えたお米です。

玄米の状態で第三者機関の検査により「残留農薬不検出」と証明されたお米、農林水産省ガイドライン「節減対象農薬50%以下」のお米、そして「特別栽培米」もお選びいただくことができます。

また、スマート農業技術を活用することで、高齢化や過疎化が進む地域でも持続可能な米作りに貢献しています。

各地の人気銘柄から、あまり見かけない貴重な銘柄をラインナップ。お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

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WRITER LIST

  1. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  2. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  3. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  4. 福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  5. 窪田新之助
    農業ジャーナリスト。福岡県生まれ。日本経済新聞社が主催する農業とテクノロジーをテーマにしたグローバルイベント「AG/SUM(アグサム)」プロジェクトアドバイザー、ロボットビジネスを支援するNPO法人Robizyアドバイザー。著書に『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来』『GDP 4%の日本農業は自動車産業を超える』(いずれも講談社)など。