お米の持ち味を楽しむ炊飯のポイント【年間400種のお米を楽しむライター柏木の「お米沼にようこそ」 第2回】

お米ライターの柏木智帆です。

前回は「ごはんを味わう7つのポイント」をご紹介しました。

ただ、そのお米の本来の持ち味を引き出した状態でなければ、真に味わうことはできません。

そこで、今回はお米の炊飯についてお伝えします。

とは言え、炊飯のこだわりは人それぞれですので、これから紹介するやり方がすべてではありません。有益そうなところがあれば参考にしていただけますと嬉しいです。

▼前回の記事はこちら
ごはんを味わう7つのポイント!【年間400種のお米を楽しむライター柏木の「お米沼にようこそ」 第1回】

“氷炊飯”よりも冷蔵庫でつくる“冷水”を


まず炊飯の前に重要なのは、お米の状態です。

「購入してから1カ月以上経ったお米」や、「購入した米袋のまま常温で保管したお米」などは、そのお米の持ち味を引き出せない可能性が大きいです。

お米は牛乳や卵などのように腐ることはありませんが、保管の状態や期間で味が落ちるという意味では“半・生鮮食品”と言えます。

できれば精米から2週間ほどで食べ切れる量を選ぶようにすると、最後までお米の持ち味を楽しむことができます。一人暮らしで1日1合程度しか食べないという人も、2キロ袋で購入すれば、ちょうど2週間で食べ切ることができます。

また、保管は必ず密閉できる容器や袋に入れて冷蔵庫へ入れるようにしましょう。桐の米びつは素敵ではありますが、やはり常温の保管はおすすめできません。

さらに、前提条件として必要なのは、洗米や炊飯に使う水の温度です。

冷水」がベストですが、季節によっては水道から出る水が「冷水」ではありませんので、初夏から初秋にかけては水が10度以下になるように、あらかじめ冷蔵庫で冷やしておくと良いでしょう。

吸水時にお米の上に氷をのせて吸水させたり炊飯するという人もいますが、氷が置かれた部分だけ温度が低くなり、吸水速度にばらつきが出たり炊飯ムラが出たりしてしまいます。氷を使うのであれば、水に入れて氷を溶かしきってから洗米や吸水に使うことをおすすめします。

市販水を使う場合も常温ではなく冷蔵庫で保管するようにしましょう。個人的には硬度は30mg/l程度の軟水が良いと感じます。

お米と水はキッチンスケールで計量


まずはお米を1合150gで計算して計量します。

計量カップよりもキッチンスケールのほうが正確に計ることができます。キッチンスケールは料理にも使えるので、あると何かと便利です。

ボウルや釜でお米を計量したら、そのまま「0g」に設定すると、ボウルとお米の重さを引くことができるので、お米を洗った後の工程で水を計量することができます。

水を張った別のボウルに計量したお米を入れ、水の中でお米をさっとかき混ぜたら水を捨てます。お米が水に触れた瞬間にお米の重さの1割が急速にお米に吸われています。

お米に水を足して、優しくかき混ぜてから、ザルに上げます。この時は、もうほとんど吸水しません。

優しくかき回すのはお米の表面についた「肌ヌカ」と呼ばれる粘着力の強いヌカを取るため。お米が割れないように優しく洗いつつ、肌ヌカをできるだけ均一に取りたい。そこで、例外はあるものの、肌ヌカを取るときは水をお米に対して「ひたひた」くらいの状態で洗うようにしています。

優しくかき混ぜ終わったら、お米をザルに上げて水を切り、水を張ったボウルにザルごと沈めて優しく上下に動かすことでお米をふわりと泳がせて洗います。水を替えてこれをもう1回繰り返したら洗米は終了です。

お米に水をひたひたに入れた状態
ザルを上下に動かしてお米を泳がせる
水を切ったお米をボウルや釜に移してからキッチンスケールで計ると、お米の重量の1割ほど増えていることがわかります。たとえば、150gのお米の場合、お米が吸った15gほどの水の重さが表示されます。

ここから、炊飯に必要な水を足していきます。

水量はお好みですが、私の場合は1合(150g)につき200gを基本にしています。たとえば、150gのお米を洗米して14gの水を吸っている場合、186gの水を足して200gにします。

「ゆめぴりか」「ミルキークイーン」「ぴかまる」など、低アミロース米と言われる粘りが強い“半もち”の品種は、水を減らして190gに。何度か炊きながら、自分好みに水量を調整すると良いでしょう。

釜とお米(2.5合)の重さを引いて、水だけを計量

炊飯器は常にクリーンな状態で


吸水場所は冷蔵庫の中。吸水時間は最低2時間以上、できれば6時間以上がおすすめです。低温でじっくりと吸水させていくことで、お米の細胞のすみずみまで水が行き渡ります。

水は熱伝導の役割を果たすので、お米の芯まで熱を入れることができます。吸水時間が十分でないと、冷めてから硬くなったり舌触りが悪くなったりしてしまうので大事なポイントです。

吸水時の水を捨てて新しい水で炊いてしまうと、吸水中に水に流れ出たでんぷんなどを捨てることになってしまうので、吸水した水ごと炊飯するようにしましょう。

炊飯器ならば「早炊きモード(高速炊飯モード)」がおすすめ。炊きあがりに炊飯器メーカーごとの差異が生まれにくいのでお米の持ち味を知ることができます。ただし、蒸らし時間が含まれていないので、10分ほど蒸らす必要があります。

炊飯器の底にごはんがくっついていたり、蓋の裏が汚れていたりすると、炊飯やお米の味わいを邪魔してしまうため、炊飯器はこまめに洗ったり拭いたりすることも大切です。

ガス炊飯の場合は、使う鍋の材質や形状によって炊きあがりが変わります。沸騰までの時間や火力によっても変わります。そのお米のポテンシャルを引き出すような好相性の道具や炊き方を探ってみると、お米が喜んでくれると思います。

蒸らし終わったら、蓋を開けて、底から側面からほぐす作業を忘れずに。炊きムラをなくすとともに、余分な水分を飛ばします。

しゃもじをスライドさせてごはんをよそる
茶碗によそるときは、しゃもじを返してよそってしまうと、しゃもじに触れた部分が最初の一口になってしまい、見た目も食感も悪くなってしまいます。数回に分けて、茶碗に平行にしゃもじをスライドさせると、ふわりとよそることができます。


文章にするとなんだか面倒そうですが、実際にやってみると、そうでもありません。丁寧に炊飯したごはんを食べることで、ごはん好きな人が増えて、ごはんを食べる人が増えて、お米の消費量が増えていったら本望です!

柏木智帆
米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター
神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。


 

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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