ごはんを味わう7つのポイント!【年間400種のお米を楽しむライター柏木の「お米沼にようこそ」 第1回】

元新聞記者で現在は福島県の米農家と結婚し、年間400種以上のお米を食べながら“お米ライター”としてその魅力を発信する柏木智帆さん。

お米愛あふれる柏木さんに、お米をもっと楽しむヒントを教えていただく連載「お米沼にようこそ」が始まりました!

いつも何となく食べていたごはんも少し意識してみるだけで新しい発見がたくさん。魅力たっぷり、深い“お米沼”へみなさんをご招待します!

第1回は、お米の味や甘さを感じられる「ごはんを味わう7つのポイント」を紹介いただきます。


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お米ライターの柏木智帆です。

みなさん「ごはんはどれも同じでしょう」なんて思っていませんか?

ごはんはそれぞれ味わいが違いますし、同じお米であっても炊き方によって味わいが変わるくらい、ごはんとは一期一会の食べ物と言っても過言ではないと思っています。

よく「どの品種がおいしいですか?」という質問を受けることがあるのですが、おいしさは品種ごとに違うのではなく、お米ごとに違います。

たとえば、「『にこまる』という品種の粒立ちの良さは好きです」などと品種の特性の好みに絞れば答えられますが、「『にこまる』がおいしいです!」とは決して言いません。「にこまる」の味わいは栽培方法によって変わるからです。

Aさんがつくる「にこまる」とBさんがつくる「にこまる」を食べ比べると、「本当に同じ品種?」と思うくらい味わいが違う場合もあったりします。

品種特性は、あくまで品種特性。それぞれのお米ごとの「持ち味」を楽しもうとすると、きっとあなたも“お米沼”にハマるはず。「ごはんはおかずの味を中和するだけのもの」なんて思っている人は、ぜひ最後まで読んでもらえるとうれしいです。


味わいのポイントはおさえつつ「自分指標」も大切に


多くの人は白ごはんだけで食事を済ませることは少なく、必ず味噌汁やおかずなどと一緒にごはんを食べませんか? すると、ごはんの味わいに意識を向けて食事をする機会はどうしても少なくなりがちです。

意識を向けるとしたら、新米を食べるときや、ちょっとお高めのお米を食べるとき、自分や友人が育てたお米を食べるときなどでしょうか。

たとえお米に意識を向けたとしても「お米ってどう味わえばいいのかわからない」と言われることもあります。

そこで、今回は「ごはんを味わう7つのポイント」をご紹介します。

① 外観


炊き上がったごはんのツヤがあるかどうか、煮崩れていないかどうか、一粒一粒のそろいが良いか、粒が張っているかなどに注目。

② 香り


ごはんを鼻に近づけたときに鼻で感じる香りに加え、食べたときに口から鼻に抜ける風味がポジティブかネガティブかなどに注目。

③ 粘り


ごはんを歯で噛んで離すときの粘り気の強弱などに注目。

④ 弾力・硬さ


ごはんを歯で噛んで離すときの硬さや、歯を押し返すような程よい弾力があるかどうかなどに注目。

⑤ 粒感


ごはん粒の輪郭が感じられるか、ごはん粒の張りが良いか、ごはん粒の外側が煮崩れていないかどうかなどに注目。

⑥ 舌触り・喉越し


ごはん粒の外側のしっとり感、ごはん粒の外側の滑らかさ、ごはん粒を歯で噛んだときの滑らかさやしっとり感、飲み込むときののどの通りやすさなどに注目。

⑦ 味


「口に入れたとき」「噛んでいるとき」「飲み込むとき」「飲み込んだ後」に旨味や甘味をどこでどう感じるか、エグ味はないかどうか、味を邪魔する風味がないかどうかなどに注目。

そして、各ポイントを総合した「バランス感」にも注目します。

必ずしも、粘りが強ければ良いわけではなく、柔らかければ良いわけでもなく、甘ければ甘いほど良いわけでもありません。

審査ではないので、自分好みの味であることが一番です。もちろん、ここに書いていない点に注目する「自分指標」があって良いと思います。

私の「自分指標」では、「粒感」「しっとり感」「滑らかさ」「香りと風味」「弾力」を重視しています。それから、おいしいお米には共通して歯に吸い付くような感覚がある……と思っています。どなたか共感してくれる人いませんか?!

茶碗の中で変わりゆく味わいもまた一興



お米の味は、時間の経過とともに変わるもの。炊き立ての味わい、あら熱が取れたころの味わい、冷めてからの味わいはそれぞれ違います。

茶碗の中で変わりゆく味にも注目していくと、「炊き立ては好みじゃなかったけど、あら熱が取れてくるとだんだん好みになってきた」とか、「炊き立てはおいしかったのに、冷めるとあまり好みじゃなかった」とか、お米の違った面を楽しむことができます。

また、炊飯直後に食べた一杯目のごはんに比べておかわりした二杯目のごはんは、一杯目を食べている間に釜の中の余熱(あるいは保温熱)が入ることで、味わいが変わります。

同じごはんでもいろいろな顔があることを知ると、なんだかちょっぴり人間的に思えてきませんか?

さらに、おむすびにすると、また味わいが変わります。

個人的には、「ごはんで食べると好みではなくても、おむすびにするとおいしい」と感じるお米に出会うことは多いです。あまり好みではないと感じるお米があったら、おむすびにしてみても良いかもしれません。おむすびでも、やはりむすびたての状態と冷めてからの状態では味わいは変わります。


というわけで、今回はごはんを味わうポイントについて紹介しましたが、ごはんの味わい方がわかっても、そのお米の本来の持ち味が引き出されていなければ、真に味わうことはできません。お米をどう炊飯するかは重要なポイントです。

次回はお米の本来の持ち味を楽しむための炊飯方法についてご紹介します。

柏木智帆
米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター
神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。


 

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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