機能性が向上、自動抑草ロボット「アイガモロボ2」が2025年3月に販売開始

株式会社NEWGREENは、自動抑草ロボット「アイガモロボ2」を2025年3月より販売開始すると発表した。2023年に発売した「アイガモロボ」のフルモデルチェンジを行い、機能性が大幅に向上しているという。

アイガモロボ2外観

さまざまな圃場で利用可能に


株式会社NEWGREENは、農業資材の開発や米の流通などに取り組む企業。水田に浮かべる自動抑草ロボット「アイガモロボ」の開発製造も行っている。

「アイガモロボ」は、水田全体を走り回り水を濁らせることで、光合成が妨げられ雑草の生育を抑制できるというもの。全国での実証において除草工数の58%削減、収量の10%向上が認められている。

一方で、圃場の均平や水位の維持などの稼働条件をそろえられる圃場が限られていた。今回発売される「アイガモロボ2」は、フルモデルチェンジによって機能性が向上し、課題が大幅に改善された。

機能性向上のポイント
・新採用のブラシ型パドルにより、航行能力・地形対応力が大幅に向上。
・航行ルート設定が不要に。自動で畔を認識し、網目状にくまなく稼働できる。
・64%の軽量化を実現。約6kgと軽く、誰でも容易に持ち運びが可能に。
・ブラシ型パドルがアンカーの役割を果たし、強風適応性が向上。
・航行能力の向上により、10a~1.5haまで適応面積が拡大。
・航行能力の向上により、イネが50cm程度でも稼働が可能。

稲に優しいパドル型ブラシ

50aで10時間稼働の場合の稼働軌跡

また、新潟食料農業大学等と共同で進めている「水田抑草ロボット『アイガモロボ』の機能高度化と運用最適化に資する農業生物学的およびロボット工学的研究」、および2024年9月に日本生物工学会で発表した「有機栽培支援ロボット(アイガモロボ)による水田微生物叢変化」では、ジャンボタニシの払い落とし効果や食害抑制が確認されているという。

さらに、メタンガスの発生量を低減する効果も期待されている。

これまでアイガモロボを稼働した水田では、メタンガスが稼働開始から収穫時期まで大幅に低減されている傾向が確認されていたが、日本生物工学会での学会発表内容「有機栽培支援ロボット(アイガモロボ)による水田微生物叢変化」によって、そのメカニズムが明らかになってきた。



「アイガモロボ2」は、中山間地の小さい水田においても採算性が確保できる価格帯を目指し、希望小売価格は従来の半額となる27.5万円(税込)で販売される。

なお、これまでアイガモロボは井関農機でのみ販売していたが、新たにJA全農での取り扱いが決定している。複数台導入する際に初期投資の金額を抑えた導入が可能となるよう、リース利用の調整も進めているとのこと。


株式会社NEWGREEN
https://newgreen.inc/
「アイガモロボ2」
https://products.iseki.co.jp/kanren/aigamo/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
パックごはん定期便