AI灌水制御装置を用いた高品質・高機能トマト「Hapitoma(ハピトマ)」の試験栽培がスタート

AIによる農業支援や農産物の生産等を展開する株式会社Happy Qualityは、農業用ハウスの施工・販売等を手がけるイノチオアグリ株式会社と共同で、高品質・高機能のトマト「Hapitoma(ハピトマ)」の試験栽培を開始した。

今回の試験栽培は、Happy Qualityが開発したAI灌水制御装置の改良とアップデートを目的としたもの。試験栽培で収穫された「Hapitoma(ハピトマ)」は、2020年9月下旬から出荷されている。



Happy Qualityは、AIを活用した先端農業の企画立案や農産物の販売支援等を展開する農業コンサルティング企業。
「農業の新しいStandardをつくる」をビジョンにデータドリブン農業の研究開発を進める。同社の試験農場では、AIやビックデータ、 光学センサ等を用いた高品質・高機能トマト「Hapitoma(ハピトマ)」が栽培されている。

イノチオアグリは農業用ハウスの設計・施工や農業資材の販売、ICTを活用したハウス内環境制御システム等を展開する企業だ。多様な灌水パターンの設定が可能なオリジナル灌水制御盤システム「AQUA BEAT(アクアビート)」を提供する。

高品質・高機能トマト 「Hapitoma(ハピトマ)」


「Hapitoma(ハピトマ)」は、 光センサーによる選果機を用いて計測・選別された高品質・高機能のトマト。通常のトマトと比較し含リコピン量は2倍以上という。


「Hapitoma(ハピトマ)」は、農作物のストレス緩和の機能性を示した表示食品としての認定も受けているほか、天候に合わせた栽培管理を行うことで年間を通した安定生産を可能にしているそうだ。

AI潅水制御装置の普及モデルの完成を目指す


Happy Qualityでは、自社の主力製品である高品質・高機能トマト「Hapitoma」の安定生産を目的に、灌水装置に関するAIの研究を進めてきた。

2017年にスタートした静岡大学情報学部との共同研究では、「葉のしおれを画像認識により分析・潅水するAI潅水システム」を開発。これにより、多様なセンサによるデータ収集システムと深層学習を用いたAI潅水システムの確立に成功したという。

トマト生産は、日照量による果実表面温度や飽差、 蒸散量等を鑑みた潅水コントロールなど高度な栽培技術を要すると言われている。
今回の試験栽培は、AI潅水制御装置の普及モデルの完成を目指したもの。将来的にはHappy QualityのAI潅水システムと、 イノチオアグリの灌水制御盤システム「AQUA BEAT(アクアビート)」を組み合わせ、新たなAI潅水制御装置を開発したい考えだ。



株式会社Happy Quality
https://happy-quality.jp/
イノチオアグリ株式会社
https://www.ishiguro.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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