AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」、土耕栽培初のAI施肥制御機能をリリース

株式会社ルートレック・ネットワークスのAI潅水施肥システム「ゼロアグリ」で、土耕栽培で施肥量を自動制御する「AI施肥制御機能」をリリースした。土耕栽培でのAI施肥は国内初だという。


土耕栽培における環境制御と施肥をAIで


ゼロアグリは、これまでAIによる潅水の自動化を提供してきたが、施肥は生産者が作物の状態を見ながら、自ら濃度を設定し運用する必要があった。

AI施肥制御機能では、生産者は土壌センサーで計測したEC(肥料の成分である硝酸体窒素の量を示す指標となるもの)の目標値を設定するだけで、ゼロアグリのAIが施肥量を自動で制御し供給可能になる。これにより、土耕栽培における環境制御の高度化/自動化による収益向上を実現した。

また、多施肥による地下水汚染や温暖化効果ガスの排出も課題となっているが、本機能を活用し必要最小限の施肥で栽培の最大化を行うことで、環境に優しい持続型の施設園芸栽培を実現するという。

目標EC値の設定画面目標EC値の設定画面

ゼロアグリ上のEC値グラフゼロアグリ上のEC値グラフ

導入生産者による実証結果


今回の発表では、「ゼロアグリ」を導入している一部生産者の実証により、作物の栽培管理の向上、および肥料の削減、作業の省力化に関しての成果も公表された。

栃木県 トマト栽培生産者コメント(栽培面積70a/家族経営)


・増益のために、「美味しいトマトが高く売れる時期にECを上げて食味を増やそう」とか「いまトマトが安いから味を落としてでも肥料消費量を抑えよう」といった、農業経営におけるコントロールが可能になる点が魅力。
・肥料を節約したいときにECを低めに設定して使っている。現状の本音では肥料が高くて野菜が安いので肥料消費量を最小限に抑えたい。

広島県 トマト栽培生産者コメント(栽培面積50a/家族経営)


・AI施肥制御機能の利用により、昨年比べ玉の肥大が良好になり、M玉よりL玉が増えた(単価の向上)。
・トマトの成長の波に合わせて欲しいタイミングで、手間なく肥料を与えられるようになったことが大きなメリットで、結果トマトの生育にも良い影響を与えられている。

設置されたゼロアグリ​設置されたゼロアグリ
AI施肥制御で栽培されているトマトAI施肥制御で栽培されているトマト
土耕栽培でもAI制御できることにより、これまで土耕で施設栽培してきた生産者も「ゼロアグリ」を導入しやすくなる。新たな栽培環境へのコストを抑えつつ、AI施肥を導入しやすくなりそうだ。


ゼロアグリ公式サイト
https://www.zero-agri.jp/

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WRITER LIST

  1. よないつかさ
    1994年生まれ、神奈川県横浜市出身。恵泉女学園大学では主に有機栽培について学び、生活園芸士の資格を持つ。農協に窓口担当として5年勤め、夫の転勤を機に退職。アメリカで第一子を出産し、子育てをしながらフリーライターとして活動。一番好きな野菜はトマト(アイコ)。
  2. syonaitaro
    1994年生まれ、山形県出身、東京農業大学卒業。大学卒業後は関東で数年間修業。現在はUターン就農。通常の栽培よりも農薬を減らして栽培する特別栽培に取り組み、圃場の生産管理を行っている。農業の魅力を伝えるべく、兼業ライターとしても活動中。
  3. 槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  4. 沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
  5. 田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。